好事家の世迷言。

調べたがり屋の生存報告。シティーハンターとADV全般の話題が主。※只今、家族の介護問題が発生中です。あしからず。

雪に閉ざされる塔の密室。

2017-08-11 | その他ミステリ
『あいにくの雨で』(by麻耶雄嵩)、読了。

この本には、木更津もメルカトルも登場しない。
一応、独立したストーリーと考えられる。
一応と断るのは、主人公が「如月烏兔(きさらぎ うと)」という
名前のためだ。
調べたところ、烏有の弟……らしい。(明言はされてない)

この作品の特徴は、何と言っても、いきなり「13章」から始まる点だろう。
本来なら物語の肝心要だろう部分、裏表紙の惹句にもある
密室トリックが、冒頭で一通り明かされてしまうのだ。
まるで、賭けポーカーの手札5枚を、
賭けの最初にショーダウンしてしまうかのように。
が、その一見無謀な展開こそ、こちら読者の目を欺く作者の手腕。
事件の展開自体には、最後まで目が離せない。

個人的にやるせないのは、やはり作風の暗さ・重さだ。
高校生たちによる生徒会での裏家業、学校内のスパイ探しと
並行して描かれる、連続殺人事件。
最後の真相が明かされた時、残されるのは絶望しかない。救いはない。

あと、正直なところ困るのが、人名地名などの固有名詞が
本当に読みづらく、覚えられない点。
「蒜田(さんだ)」と「崖瓜(がいら)」が、
(深い意味のない)怪獣ネタだと知った時は軽く頭痛がした。
出来れば、人物紹介欄が欲しかったな。

それでは。また次回。

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