「落ち着いて下さい。ナオ」
「!?」
霞む視界の中、聞き慣れた声へ目を凝らした。
とびきり輝く美女が、そこにいた。
赤い髪と白衣(びゃくえ)を揺らし、俺のそばに控えている。
彼女が声を出している事から、俺も同じように口を動かした。
「キャリイ? 何で、お前」
「先程の『エルフの粉』の影響でしょう。
それに今のここは、信じられないほどの魔力に満ちています。
予想しがたい事が起こっても不思議ではありません」
「その顔。あの時の、サリイに似てるな」
「そうですね。髪型だけは、あなたの好みに合わせ、短くしましたが。
……どう? 冷静になれましたか?」
「ああ。何とか」
呼吸を整える。部屋の天井付近では、魔王が刻々と実体化を図っている。
これも伝承歌の展開と同じだ。
完成する前に潰さなければ、この世が終わる。
たとえ話でなく、自動的にだ。
「ナオ。あなたの心に触れてきたわたしには分かります。
あなたの使うべき武器を今、喚び出します。
それを見れば、きっと思い出せるはずです」
「!?」
霞む視界の中、聞き慣れた声へ目を凝らした。
とびきり輝く美女が、そこにいた。
赤い髪と白衣(びゃくえ)を揺らし、俺のそばに控えている。
彼女が声を出している事から、俺も同じように口を動かした。
「キャリイ? 何で、お前」
「先程の『エルフの粉』の影響でしょう。
それに今のここは、信じられないほどの魔力に満ちています。
予想しがたい事が起こっても不思議ではありません」
「その顔。あの時の、サリイに似てるな」
「そうですね。髪型だけは、あなたの好みに合わせ、短くしましたが。
……どう? 冷静になれましたか?」
「ああ。何とか」
呼吸を整える。部屋の天井付近では、魔王が刻々と実体化を図っている。
これも伝承歌の展開と同じだ。
完成する前に潰さなければ、この世が終わる。
たとえ話でなく、自動的にだ。
「ナオ。あなたの心に触れてきたわたしには分かります。
あなたの使うべき武器を今、喚び出します。
それを見れば、きっと思い出せるはずです」