リーメンシュナイダーを歩く 

ドイツ後期ゴシックの彫刻家リーメンシュナイダーたちの作品を訪ねて歩いた記録をドイツの友人との交流を交えて書いていく。

121. 3冊目の写真集 ▶産みの苦しみ その1

2017年11月02日 | 日記

産みの苦しみ その1


  

 藤の花で有名な足利フラワーパークにて…時期は既に遅く、藤は終わっていました。

 しかも雨。でも、ちょうど今の私の気持ちにぴったりなので、このシリーズには花の写真を載せていきます。

 

 ここのところ、何とも苦しい日々が続いています。

 私の本作りは、まず写真の選定から始まります。これなら私が胸を張って本に載せられる、つまり作者の思いや作品の心を伝えられるのではないかなと自分で思える写真を選ぶわけです。『祈りの彫刻 リーメンシュナイダーを歩く』、『続・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーを歩く』はリーメンシュナイダーやその工房、弟子たちの作品を是非日本の皆さんに紹介したいという強い気持ちで選ぶことができました。しかし、今回の3冊目は同時代の作家の作品集をまとめたいという夫の強い願いがあって、その作家たちの写真も相当数撮りためてあったので、お世話になった方々への恩返しをしなければという私の気持ちとすりあわせ、何とか作品を選んできたのでした。すると、ある程度の写真の枚数が必要になってくるのですが、以前、三脚での撮影すら許してもらえなかったいくつかの美術館に、今回取り上げたいある作家の代表作があったりすると、やはり写真を載せたいと思うわけです。三脚がなくても最近は連写でRAWデータで写すので、十分掲載できる写真が撮れているのですが、でも掲載許可をもらえるのだろうかという不安や疑問がずっとついて回ります。選んではみたものの、この中のどれだけを載せられるのだろうかという黒い雲。それがどうも私の心をいつも揺さぶるのです。せっかくエネルギーを溜めて溜めてパソコンに向かったときにちょっとした用事が入ったりすると、途端にそのエネルギーがシューッと脱けていってしまう。困ったものです。

 とりあえず見本の下見本は9月までにはできていて、前2冊と同程度の200頁を超える予定ですが、このあとそれぞれの美術館等にお願いの手紙を書くのが何とも気持ちが重たくて重たくて…。


 最初の『祈りの彫刻 リーメンシュナイダーを歩く』を作ったのにかかった時間は実質1年ほどでした。

 2006年11月にドイツ留学から戻り、2007年にはもう一度取材の旅をし、どの作品を載せるかのめどはつけていましたが、2008年の1月から執筆開始。このときは、自分でも背中から「バリバリ」という音が聞こえるのではないかと思うほど本作りに集中できました。一端パソコン前に座ったら、お昼ご飯も夕ご飯も夫が作って1階から「ご飯できたよ~」と呼んでくれるまで時間を忘れて没頭できたのです。1月に左肩を骨折して痛みを抱えながら重たい本を開き、読み解き、原稿を書き、写真を編集して見本が出来上がったのが確か3月。夫と平野泉さんとの編集会議を経て、修正版ができたのが4月頃だったでしょうか。その後、あちらこちらの出版社に見本を送っても出版してくれるというところが見つからず、最後に丸善プラネットと自費出版の契約を交わしたのが8月。A4版で見本を作り、文章をまとめてあったものを、この大きさだと本棚に入れにくいこと、出版費用も相当高額になると言われたことから、全部B5版に原稿を作り直し終えたのが9月。その他の地図や索引などの原稿は10月に仕上げて送りました。そして印刷ができあがったのが12月末でした。このときは何が何でも年内にというエネルギーがどんどんわいてきたのでした。(つづく)

※ごめんなさい。作り方を間違えて今日まで出していた「美しい彫刻たち5」の記事を消して上書きしてしまいました。原文がどこにも残っていないため、あきらめて新たなシリーズを始めました。結局「美しい彫刻たち」は4回で終了とします。

※ このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015 Midori FUKUDA

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