▶第四巻『完・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーと同時代の作家たち』に載せなかった画像から。
❤ウルム大聖堂 聖堂内陣席の彫刻より
ミヒェル・エーアハルト 1469~1474
▶第四巻『完・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーと同時代の作家たち』の色校正
いよいよ最終段階です。本に使う用紙で画像をプリントアウトしたプルーフ色校正が届いたのは先週の10月2日(金曜日)のことでした。この日は幸い良い天気。雨の日や曇りでは色の見え方が違うことを今まで嫌というほど体験してきました。夜の灯りでも違いますし、各ご家庭での照明によっても違います。でも最近はずっとお天気の良い昼間の時間帯に見較べることにしているので金曜日の午後、光のある間に色を確かめ終えました。
色校正では色合いだけでなく、ここをクリアに見て欲しいのに少しぼやけてしまっていたりすると残念なので「ここをもう少しはっきり出して欲しい」とか、「ここの部分はもう少し明るさが欲しい」とか、「全体が明るすぎるからもう少し暗くして欲しい」など、私のオリジナルの画像を見ながら細かいことを注文していきます。私が富士美術印刷の担当者だったら「またうるさいことをいろいろ言われちゃったなぁ」と絶対おもうだろうなと思いながらも、でも書く手は止まりません。私のパソコンでの色合いよりは全体が明るいけど、でも見て欲しい内容はきちんと出ていると思うものはそれで「OK」としていますが、宗教彫刻には時を経た重みというものがあるのですよね。多くの人の願いや祈りがこもっているというのでしょうか。それが軽くなりすぎるときには、全体の明るさをもう少し落としてもらいたいと思ってしまうのです。かといって眠る聖人の顔が暗くなりすぎても表情がわからなくなりますので、その塩梅が難しいところです。
こうして注文する側は半日で作業を終えられますが、応じる側は大変です。そのため急いで送り返さなければと、残る文章のチェックも大急ぎで行いました。もう文言の直しはわずかなのですが、それでもまだ「あ、ここが違っていた!」などと、この期に及んでも気づいたりする箇所があり、私が2箇所気づいてファイルで先に送り返すと、校正の公文理子さんから、その周りにも残っていたミスが改めてチェックされてきたり、整合性がとれなくなるその他の場所の修正箇所まで戻ってきます。冷や汗の連続です。なかなか「修正無し!」ということにはならないものですね。校正者の「整合性」をとる能力には頭が下がります。こちらを直したのならこっちも直さなければおかしいとパッと頭が回るのですね。本の内容の隅から隅まで知り尽くしているからできることです。私以上によくわかっていらっしゃる。このやりとりを一緒に見ながらデザイナーの石井眞知子さんが即修正してくださっているようです。お二人の連携も素晴らしいスピードです。
そんな次第で、3日の土曜日には校正紙を送り返す手続きをし、ホッとしたところです。今週に入って富士美術印刷さんが大忙しで注文に応じた手直しをしてくださっています。そして、来週にはその直した箇所を実際に見に富士美術印刷さんまで出掛けて最終チェックをしてくる予定です。それでも「こことここだけは…」という箇所が出てくるかもしれません。いえ、「福田さんのことだから必ず出てくる」とチームリーダーの白石好男さんも富士美術印刷の担当者加藤陽子さんも大塚欣一さんも思っているに違いありません。そんなことから10月末発行と今までお知らせしてきましたが、そのために急いでしまうということがないように、少しゆとりをもって11月15日発行とするよう、丸善プラネットで取り計らってくれました。従って第四巻は11月になってから本屋さんに並びますのでよろしくお願いいたします。
まだ本ができ上がっていないのに、すでにAmazonでも楽天でも本書が既に紹介されているのは大変ありがたいことです。
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