リーメンシュナイダーを歩く 

ドイツ後期ゴシックの彫刻家リーメンシュナイダーたちの作品を訪ねて歩いた記録をドイツの友人との交流を交えて書いていく。

62. 見知らぬ村へ

2017年04月26日 | 旅行

2016年・ドイツ14回目の旅  No.18 


           

    思いがけず見ることができたニーダーロートヴァイラーという村にあるミヒャエル教会   村の様子 私の大好きなムラサキシキブもありました

 

◆10月26日(水) 隣村までレッツ・ゴー 13082歩
 

 備え付けのコーヒーメーカーで美味しい珈琲を入れ、昨夜買っておいたパンにハム、サラダで朝食。きれいな部屋での朝食はちょっとおしゃれな感じがします。
 フライブルク駅からブライザッハ駅までは列車で、そこからは1076番のバスでコルマールに着きました。途中ののどかな風景はドイツとはひと味違い、とても素朴な感じがしました。


 ウンターリンデン美術館はバス停のすぐ近く。あと数分で開館という頃で、既に何人か並んでいました。2015年に改装し、外観はとてもモダンになっていました。以前来たときに一眼レフでしっかり写真を写してきたのと、このところの疲れで重たいカメラを持って歩きたくなかったのとで、この日は小さいデジタルカメラだけの身軽な旅です。周りをぐるっと回ってから戻ると、既に長い列になっていました。ところが入ってみると、まず突き当たりのカウンターでチケットを買い、右側にあるロッカーに荷物を預けなければなりません。そして受付の長い列の間を「ごめんなさい」と謝りながら横切って、左側から入場するのです。「この動線は一体誰が考えたの?」と文句を言いたくなりました。このため、入り口近くはひどい混雑になっていました。上衣を脱いで預けたのでしたが、外の通路を通らないと先に進めず、冷えるのです。でも上衣を取りに戻るのはさっきの混雑を思うと気が重い。こうした修道院を改築したような美術館は、秋以降、上衣を着たままで回るべきだと改めて思いました。
  マルティン・ショーンガウアーの像(写真・下 August Frédéric Bartholdi 1857年作)を見たのは収穫でしたが、建物が新しくなってから却って不便になったという印象でした。それでもグリューネヴァルトの「イーゼンハイムの祭壇」を見に、パリ以外ではフランス第二の入館者数を誇っているそうです。でも、私たちは以前の少々古くてもゆったりした美術館の方が好きです。三津夫は前回の訪問時にここで見付けたショーンガウアーの厚い本を買いたいと楽しみにしていたのですが、残念ながら今回は見つかりませんでした。ショーンガウアーの生家も見たいというので町のあちこちで聞いてみましたが、知らないとか、もっとあっちだと方向を鼻の先で教えるばかりで詳しく教えてもらえず、ドイツの人たちの親切さとは違うなぁという印象ばかりが残りました。ドイツ語で聞いたからでしょうか。


       ショーンガウアーはなかなかの美青年だったようです


  帰りのバスに乗ってブライザッハで下車。お昼時だったので三津夫が見付けた裏通りのケバブ屋さんに入りました。若者でとても混んでいたから美味しいだろうと判断したのです。不思議なことにこのお店、後から後から若い男女がグループでやってきます。いつまでたっても列が空きません。なんとか若者の間に入って注文しましたけれど、食べてみてその理由がわかりました。ここのケバブは今まで食べた中で一番美味しい! しかも大盛りなのです。お薦めです。
  町から更に丘を登った先にブライザッハの聖シュテファン教会があります。ここにH・Lという作家の祭壇があることは知っていたのですが、写真撮影禁止のため印象がいま一つはっきりしませんでした。この教会に残されているショーンガウアーの壁画は以前も一生懸命見ていたのですけれど。今回、祭壇をよくよく眺めてマリアの爽やかな美しさに興味を持ちました。ちょうど堂内にいたおばさまが絵はがきなどを売っていたので見せてもらいながらすこし話をしていたら、このH・Lという作家はハンス・ロイだということ、すぐ近くのニーダーロートヴァイラーという村にあるミヒャエル教会にも同じ作家の祭壇があるということを教えてくれたのです。それならいっそ行ってみようかということになり、町のインフォメーションセンターに行ってバス便を確かめることになったのでした。すこし迷いましたけれども、この街では親切な人がインフォメーションセンターまで案内してくれました。担当の方に聞くと3時9分に隣村を通る102番のバスが駅から出ると言うのです。もちろん帰りのバスも4時50分にあるとのこと。こうなったらレッツ・ゴー! 念のために追記しますと、ブライザッハはドイツです。親切な人が多いと思うのはひいき目?

  ニーダーロートヴァイラーは本当に小さな静かな村でした。バス停のちょっと奥に聖ミヒャエル教会の塔が見えるので間違えることもありません。開いているかどうかが心配でしたが、ちゃんとドアが開いていました! しかも撮影もできるとのこと。ハンス・ロイの作風をご覧ください。聖母マリアの衣服はとても印象的な造作になっています。


        アップでお見せします  


  今日は、コルマールでは捜していたのに見つからなかったのが本とショーンガウアーの生家でしたが、そのかわりにブライザッハでは思ってもみなかったハンス・ロイの資料や隣村の祭壇をみることができて大変ラッキーでした。
 それでもちょっと心が重いのは、果たして切符のキャンセルが無事にできるかどうかということ。駅で説明すると、「隅にあるカウンターに行ってください」と回されてしまいました。そこで少しいかめしい顔つきの男性に一生懸命説明したところ、「でもあなたはこの金額で支払ってしまったのでしょう?」と言いながらも私の予約票をみて仕方がないと判断したのでしょう、コピーを取ってから渋々キャンセルに応じてくれました。ホッ!
  夜はお祝いにワインで乾杯。いつもはグラス半分しか飲まないのに、キャンセルできたことや思いがけない祭壇を見ることができたことで気分が良くなり、グラス一杯飲んだのです。その直後、すごく気分が悪くなり心拍数が上がってベッドへ。さすがの三津夫も心配だったようです。疲れているときは、お酒に弱い私は飲んではだめだと悟りました。一眠りしてから入浴し、アイロンをかけ、会計をまとめ、それでもむかむかが治まりません。思いついて梅干しを一つ食べ、お茶を飲んだらようやく気分も落ちついて、1時頃眠りにつくことができました。

※ このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015 Midori FUKUDA

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