飛耳長目 「一灯照隅」「行雲流水」「万里一空」「雲外蒼天」

「一隅を照らすもので 私はありたい」
「雲が行くが如く、水が流れる如く」

国語科 分析批評9 低学年の用語指導の留意点

2024年07月09日 07時52分29秒 | 国語科
分析批評の実践記録は高学年のものが多い。
3年生以上の報告をよく目にする。
それは分析批評は討論を主体とした授業展開がされ、根拠の妥当性を文章表現をもとに話し合いをするからだ。
そこには論理的な思考を必要とする場面が多くある。
具体的思考をもとにする低学年では、抽象的な思考をさせるにはまだ未熟な部分が多く。
討論が深まっていかない可能性も否定できない。
絶対に避けたいのは、あまりに理解が難しすぎて国語嫌いになってしまうことだ。

それでは低学年の分析批評の用語指導に関してどの程度の指導が必要なのだろうか。
結論から言うと、三つの指導をすれば十分であるということ。
それは、「話者」「作者」「人物」の三つ。
分析批評の授業は、この三つの観点を抜きにしては語れない。
しかし、注意することは用語指導が本来の目的ではなく、あくまでも子どもたちが文章検討をする促すツールであることを忘れてはいけない。
例えば、「クライマックス」「対比」と言った用語も教材分析には必要であるが、この言葉を知らなくても手法としては子どもたちに検討させることはできる。
クライマックスであれば「このお話で一番もりあがっているところはどこですか?」「◯◯さんの気持ちがおおきく変わっている場所はどこですか?」と問えばいい。
対比であれば、「◯◯と比べているものはなんですか?」と問えばいい。
用語をそのまま使わせなくても文の検討をさせることはできる。

たとえば次のような実践がある。


「ゆきの なかの こいぬ」(鈴木敏史)

どこから きたの
こんなに ふっているのに

そっちへ いっちゃ だめ
みえないけれど
どぶが あるよ

そっちへ いっちゃ だめ
かきねの まわりに
とげとげの
はりがねが ついているよ

さむいのね
そんなに ふるえて
さあ
ついていらっしゃい

この詩をつかって次のように授業する。

1 詩を読む
(1)教師に続いて追い読みをする。
(2)全員起立 一回読んだら座って、目で読みます。

2 展開
(1)発問 作者は、男ですか、それとも女ですか。
 ・男
 ・女
 ・わからない
(2)発問 そう思った理由はなんですか。
 ・男…近所の様子をよく知っているので外でよく遊ぶ男の子に思える。
 ・女…あれこれやさしく注意しているのでお母さんのようだから。
 ・本文からは決められない。
(3)説明 この詩を書いた人のことを作者といいます。
      みんなで言ってみましょう。
      「さくしゃ」
      この詩の作者は「すずきとしちか」さんと言います。
      男も人で大人です。
      でも詩の中でお話をしている人は、女で、しかも子供です。
      話をしている人のことを「話者」と言います。
(4)発問 今、雪は降っていますか。
 ・降っている…ふっているのにと言っている。
(5)発問 雪は、大降りですか、それとも小降りですか。
 ・大降り…こんなにふっているのにと言っている。
(6)雪は、ほとんどつもっていませんか。それともかなりつもっていますか。
 ・つもっている…どぶがみえなくなったり、とげとげみえなくなっているから。
(7)こいぬは動いていますか。それとも動いていませんか。
 ・動いている…動いているからあぶないよと言っている。
(8)話者のしていることをすべてノートに書きなさい。
 ・こいぬに注意している。
 ・こいぬに話しかけている。
 ・こいぬを誘っている。

この実践の中には話者という用語がでてくる。
ということは、これ以前に、作者と人物については指導しておく必要がある。
低学年では、作者、人物、話者のこの三つの指導だけで十分である。
あとの用語については、実際には用語指導は行いないが、文章を検討させる視点として用語を使わない発問を考えていくことが重要だろう。

今一度整理してみる。
①人物(登場人物)は1年生から指導する。
②基本的な用語はできるだけはやくから指導を始める。
③低学年の用語指導は、決して抽象的に定義づけて覚えさせてはならない。
④具体的に分からせていく。
⑤低学年においては繰り返し用語指導を行っていく。

saitani


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 国語科 分析批評8 対比 ... | トップ | 国語科 分析批評10 一つの... »
最新の画像もっと見る

国語科」カテゴリの最新記事