飛耳長目 「一灯照隅」「行雲流水」「万里一空」「雲外蒼天」

「一隅を照らすもので 私はありたい」
「雲が行くが如く、水が流れる如く」

無垢の予兆

2023年09月29日 05時27分33秒 | 人生論
何かのきっかけで何かを思い出す。
何度も口にする言葉だけど、その意味の深さを今も考えている。
ふと心に触れた言葉と共通する世界観がリンクすることもある。

そんな言葉の一つ。

To see a World in a Grain of Sand
And a Heaven in a wild Flower
Hold Infinity in the palm of your hand
And Eternity in an hour

William Blake
Auguries of Innocence

一粒の砂に世界を見、
一輪の野の花に天国を見る
手のひらに無限をつかみ、
一瞬のうちに永遠をとらえる

ウイリアム・ブレイク 「無垢の予兆」

この世界観は、日本的言えば禅的である。
禅の大家である鈴木大拙も著書の中で引用している。
この詩の中では、二つのものどうしが対比されている。
小さなものの中に広がる大きな世界を表現している。
そして、それはとどまることなく循環している。

誰もがみんな、その掌に無限の可能性を握りしめて生まれてきた。
陽の光に照らされ、きらきらと輝く塵は美しい。
空に溶けこみ、目では見えないほど微少なのにもかかわらず。

児童文学作家のあまんきみこさんは、次のように解釈している。

一粒の砂に世界を見
一輪の野の花に天国を見る
掌(たなごころ)のうちに無限を掴み
一瞬に永遠を知る

そして、自分が何か辛かった時とか、悲しかった時、嬉しかった時でも、いつもこの四行が自分の中に蘇って力をもらうという。
また、このような世界観も言っている。

ほら、子供ってよく「それ、ほんとう?」って訊くでしょう。
この四行は、その「ほんとう」を言っているのではないでしょうか。
だって、「一粒の砂」は事実でしょう。
一粒の砂に世界を見るは真実です。
一輪の野の花は事実で、天国を見るのは真実です。
てのひらは事実で、このてのひらで無限を掴むのは真実でしょう。
そして、一瞬は事実でその一瞬に永遠を知るのは真実だと思います。
ですから、ブレイクのこの言葉こそ「ほんとう」を指していると気がついたとき、とても嬉しかったですよ。

「博士の愛した数式」や中島みゆきさんの「地上の星」の「砂の中の銀河」もこの言葉に繋がっていると感じる。

saitani
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