「どうやって良い楽器を選ぶのですか?」
という質問をときとき受けます
この説明がとても難しいです。
昭和40年代の頃と異なり
色々な正解が今は存在するからです
何回かに分けて 書いていようと思います
その1は 音色です。
私がバイオリンを始めたころは
古いバイオリン(1800年代前期ぐらいまで)が 買うべき楽器
お金がなければ
ちょっと古いバイオリン(モダンという言葉は、当時なかった)として1800年代中期から1900年中期まで
あるいは
新しいバイオリン 1970年代
という選択肢でした
古い楽器の音は、皆憧れで
新しいバイオリンは、音色にハリはあるものの、
古くて、良いバイオリンのように
音が空間に満ちて水面の波が広がるように感じることは
ありませんでした
古い楽器の音が、良い音である
と音の評価基準を、心の中にすり込まれていたのです
今のわたしは、楽器の音色は シルバートーンと呼ばれる
古い楽器の音が全てではない と思っています
今は、新作の音の方がいい と言う人の方が多いと思います。
「古い音?どういう音ですか?」と言う人も増えています。
なぜ変わってきたのか?
古い楽器を所有しているバイオリンの先生の多くが、
楽器のコンディションを気にして、レッスンにはサブの楽器を用いることが多くなってきたこと
楽器店系統のお教室では、先生が楽器店で販売している楽器を使い、生徒に勧めることがあること
生楽器の音を聞く機会が少なく、更に電子楽器の音に慣れ親しんだ人が増え、良い音の基準が電子楽器寄りになってきたこと
楽器店が新作を力を入れて勧めるようになってきたこと
が理由として考えられると思います。
良い音色に、正解はなく。
自分の好きな音色を求めていいと思います。
ただ、本気で良い楽器を捜したいと思うなら
絶対にやった方が良いことは
古い楽器、ちょっと古い楽器、新しい楽器 を
第三者に弾いてもらい、更に自分自身も弾いて
何が、自分が理想とする音か
とを明確にすることです。
「良い音がする楽器」は絶対欠かせない楽器探しの条件です
その「よい音」の自分自身の基準を作らないと次に進みません
とはいっても、楽器に触れる機会を作ることは大変です
工房、お店、先生 などなど の協力を得ないと
出来ないと思います
また、楽器を触らせていただく相手に 不安を与えないことも重要です
私が推奨しているのは、以下のことです。
・ 時計、指輪は外す。
・ 袖口に金属ボタンのついてる上着は脱ぐ
・ 楽器を触る前に必ず手を洗う。(洗面所は工房やお店でお借りしましょう)
・ ハンカチなどを準備して、顎宛の上に置き、直接顎宛に肌が触れないようにする
・ マスクを着用して弾く
・ 入室時アルコール消毒をしたら、楽器を触る直前に必ず流水で手を洗い、アルコールを落とす。
できるだけ、いろいろな楽器を経験して
自分の理想の音 というのが
見つけられたら
楽器を捜す準備の第一歩を進みだしたことになると思います
私の持っている楽器には、まだ古い楽器の音の楽器はありません。
もしかすると、年末に購入したフレンチが
古い音を出してくれるかも
と期待をしています
思っていた通りの 古い音、あるいはそれっぽい音が出る楽器だったら
音を体験してみたいという方に、弾いていただく機会を作り
音を体験していただくのもいいかな~
なんて思っています。