かねてから 気になっていた弓
それは、サルトリー 彼が54~55歳の頃の弓で
とても素晴らしいコンディションで、使用頻度が高いと角が取れて丸くなってしまう 持ち手の部分も、新品の用に見える。
ヘッドの形も、線がピシッとしており、経年を感じさせない弓でした。
実は、5月の手術に向けて、4月28日29日と5月1日に検査をすることとなり 東京に行くことになったので
急遽、弓の試奏を1時間予定に組み込みました。
都内の一等地にある とある弦楽器店
私は、自分の弓6本(杉藤さん、大瀬さん、ギョームさん、ペドレッティさん、グランシャンさん×2)、と楽器2挺(カペラさんとガンさん)を携えて訪問
そこで…あれ???? と思った。
試奏は部屋の中央ではなくなぜか入口から入ったことろにテーブルがある。
右手奥には 広い空間がある。なにもない。
とりあえず自分の楽器を自分の弓で弾く
ガンさんの工房や自宅の部屋のような
弓毎の差が、明確には出てこない。
自然な感じで良く響く。楽器の差は判るが、弓の差が判りにくい部屋だとすぐ判った。
壁に反響する音を聞き取ろうとするが
音が色々はね返るのか、妙な感じに襲われる。
不安なまま、例の弓を弾く。
数年前に 北海道のホテルの展示会で試奏したときのような
自分の弓との明確な差を感じられない。(そのときは、おフランスざんすを持参)
確かに、良い音色だが、数百万円(四捨五入したら1,000万円)の価格を出して
もよいとは思えなかった。
お店の方は、「私の所有している弓に比べ、基音が明瞭に出ている」とおっしゃるが
私には、感じ取れない。
予定の40分を過ぎ
出した結論は、「購入の見送り。今度欲しくなったときは、55万円値上がりしてしまうことは承知」
でした。
帰りに、ちょっと遠回りして、山野楽器さんに行き、在庫の新作弓を見せていただく。
グランシャンさんの金黒檀は、音色は悪くないが 私にはちょっと扱いにくいバランス。
グランシャンさんの銀黒檀は、まずまず良いと思った。
トマショーさんの娘さんの銀黒檀も、グランシャンさんの銀黒檀には音色で差を感じるがなかなかの良い弓
ベジャンさんの金黒檀は、他の製作者の銀黒檀の値段より少しお安く、音色も悪くない。62gというのが購入をおもいとどめさせた。これで60gなら、きっと即買いしていたであろう。
その後、シャコンヌさんの銀座店にも行ってみた
マ ロンディ さんの弓を弾かずに、持たせて貰う。
以前の印象では、バランスが好みではなかったが、この弓は違っていた。
シャコンヌさんには、社長さんがおられ
訊いたところ、数年前に マ ロンディ さんは演奏家にヒヤリングを行い
バランスの重要性に気がつき、以降同じバランスの弓を作り続けているのだとのこと
素晴らしいと思った。
弓は音色の前に、バランス=操作性 が重要だから…
この日は時間が無かったけど、改めて マ ロンディさんの弓は触って見ようと思う。
あっという間に 自由時間は過ぎ、病院へ戻り 検査を続けました。
弓を試奏した最初のお店は
きっと、楽器・弓を売るために 部屋の音響性能を高めているのだと思います。
その結果、差がわかりにくかった…
なんとも皮肉な感じです。