農林水産省調査 - 茶葉の放射性物質 古い葉からか
千葉,神奈川,茨城など各地で生産された生の茶葉から,国の暫定基準値の1キログラム当たり500ベクレルを超える放射性セシウムが相次いで検出されている。鹿児島県の薩摩川内市の生茶からも微量のセシウムが検出された。
この生の茶葉から検出された放射性物質は,土壌からの吸収ではなく,古い葉の表面に付いた放射性物質が吸収され,新芽に移動したと推定されるという調査結果( 見解)を,農林水産省がまとめた。
農林水産省は,放射性物質がどのような経路で茶葉に含まれるのか明らかにするため,関東地方の3か所の茶畑で茶葉や土壌を採取するなどして調査を行った。その結果,今回調査した土壌では,1キログラムに含まれる放射性セシウムの濃度が茶畑の畝の部分で260ベクレル以下,茶の木の根元で40ベクレル以下であった。
農林水産省によると,一般に土壌から根を通じて放射性物質が吸収されると,濃度は多く見積もっても10分の1以下になるという。そこで土壌から吸収されたとは考えにくいとしている。
また,放射性物質は葉から吸収されて植物の中を移動するという研究結果があることから,農林水産省は土壌からの吸収ではなく,古い葉の表面に付いた放射性物質が吸収され新芽に移動したと推定している。
農林水産省では,今月下旬に収穫が始まる「二番茶」に,どの程度放射性物質が残留するのかチェックするとともに,古い茶葉をすべて刈り取ることで放射性物質を減らすことができないか対策を検討する。
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神奈川や茨城など6県の茶葉から国の基準を超える放射性セシウムが,相次いで検出されている。
農林水産省やお茶の産地の静岡県などは加工途中の荒茶の検査は必要ないと主張。一方,厚生労働省は乾燥して放射性物質の濃度が高まる荒茶でも,検査するよう自治体に求めているが静岡県などは荒茶の検査を拒否している。
生茶葉と荒茶の放射性セシウムの基準は,「その他」の食品として野菜類と同じ1キロあたり500ベクレル,葉から抽出した飲む状態の茶飲料は飲料水と同じ同200ベクレル。放射性ヨウ素の基準はないが,これまでほとんど検出されていない。
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