今回の授業では,天文館のタウンウォッチングを行い,鹿児島の持続的発展を考察しました。これに関連して,一昨年,「天文館」に関連して,商店街活性化を取り上げた地域創生学科O君の論文を抜粋をご披露します。
▼O君の卒業論文--補助金頼りのハード面の整備からの脱皮を提言
天文館は商店街のタイプから考えると、近くには鹿児島中央駅もありバスや市電など整備されている点から超広域型の商店街であると言える。つまり遠距離者からの来街者が買い物をする商店街ということであり、遠方からお客さんがわざわざ来るわけであるから他の商店街や郊外大型店とは違う施設やサービスを提供して、天文館は他の商店街や郊外大型店と差別化をはからなければいけない。しかし天文館は鹿児島市内には十分に映画館があるにも関わらず、映画館再建を計画している。さらに補助金を使ってこの映画館再建の計画を立てている。果たして補助金を使ってまで映画館を再建しなればならないのか?様々な角度から検証していく。
(中略)
「天文館シネコンの延期検討 国補助金減額の可能性」
鹿児島市天文館地区で建設が計画されている複合映画館(シネコン)について、建設主体のまちづくり会社「TMD」が着工延期などを含め事業の再検討を行っていることが、19日分かった。
関係者によると、7億円程度を見込んでいた国の「戦略的中心市街地商業等活性化支援事業補助金」が事業仕分けの対象となり減額される可能性が出てきたほか、近く設立予定の運営会社に出資を検討している各商店街から「事業の進め方が急すぎる。資金計画を十分に説明してほしい」などの意見があることが再検討の理由。
(中略)
事業費およそ21億のうち、およそ7億が減額の対象となったようだが、全体の事業費からみてもそこまで高い割合を占めていないにもかかわらず、計画を見直すということはいかにこの映画館再建事業が補助金頼りであるのかを露呈し、資金計画の脆弱さをあらわしている。
さらに各商店街から「事業の進み方が急であり、資金計画を十分に説明してほしい」という声もあがっている。そもそも補助金は税金であり、税金を納めているのは我々であるのだから、まちづくり会社TMDはしっかりした資金計画の説明をすべきである。
その上で鹿児島市民や地域の意向を汲み取り、その意見を反映させ、映画館再建計画を今後も実施の方向で考えるのか、見直す必要がありそうだ。
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O君の主張はまさに正論です。商店街活性化活動の大半が補助金頼りとなっています。東京都品川区戸越銀座商店街,香川県高松丸亀町市商店街や熊本県荒尾市の中央商店街にみられる補助金に依存することなく,暮らしに密着することで存在価値を高める自立的活動を目指している事例に学ぶべきであります。
-ちなみに鹿児島市は,三越鹿児島店跡に開業の商業施設「マルヤガーデンズ」の改修整備費を補助し,中心市街地の拠点施設の一つとして再生支援すべく,国の補助額と合わせた5億2420万円を2009年予算に計上しています。--
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900兆円に上る政府の債務残高,そして国債依存の現状から,日本が「財政破綻が深刻化するギリシャ」の二の舞になるのではとも,先行きが懸念されています。いまこそ,明治維新に大きく貢献し,日本近代化の礎ともなった「薩摩」の気概を思い起こし,鹿児島発の自立的な商店街活性化モデル樹立を目指しての取り組みを期待し,切望します。
なお,とかくの毀誉褒貶はありますが,“補助金に頼ると集落の力はそがれるとし,自治会の独自活動で自主財源を確保し,地域再生に取り組む”,鹿屋市串良地区「やねだん」(柳谷)という,手本もあるではありませんか。
▼▼▼「やねだん」バックナンバー
・行政,補助金に頼らない地域再生の取り組み」-やねだん1
・行政,補助金に頼らない地域再生の取り組み」-やねだん2
・行政,補助金に頼らない地域再生の取り組み-やねだん3
・行政,補助金に頼らない地域再生の取り組み-やねだん4
・「新成長戦略」にもかなう-やねだん『地域資源を最大限活用し地域力を向上』
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