東電の福島第一原発発生から4年が経過した。原発からの高濃度の汚染水が海に流出,今月15日には第1原発2号機の放水路上流基準の2400倍の放射性物質の検出と,アンダーコントロールとは言いがたい事態が続発している。
また,最近の東北地方での地震頻発も懸念されるところである。気象庁発表によると,5月15日12時30分頃,福島県沖(北緯37.1度、東経141.2度)を震源地とする地震があった。震源の深さは約50km、地震の規模(マグニチュード)は5.1と推定される。この地震で,福島広野町,楢葉町,富岡町,川内村で震度4,郡山市白河市,いわき市,浪江町などで震度3を観測した。
政府は15日午前、他国を武力で守る集団的自衛権の行使容認を柱とする安全保障関連法案を衆院に提出した。これに関連して,自民党の谷垣禎一幹事長は記者会見で「国民の理解を得ながら成立させられるよう全力を挙げる」と述べている。
福島原発は,アンダーコントロールとは言いがたい状況にある。政府,自民党は,福島原発事故の収束に向けても,全力を挙げて取り組んでいただきたい。
▼気象庁発表 5月15日12時30分頃の福島県沖地震(マグニチュード5.1)
※出所:気象庁サイト
【KSM】「東日本大震災4周年追悼式」天皇陛下のお言葉全文 平成27年(2015年)3月11日 311
「東日本大震災4周年追悼式」天皇陛下のお言葉全文
東日本大震災の発生から4年目を迎えた3月11日、東京・千代田区の国立劇場で、政府主催の「東日本大震災4周年追悼式」が開かれた。天皇陛下のお言葉の全文は、以下の通り。
東日本大震災から4年が経ちました。ここに一同とともに、震災によって亡くなった人々とその遺族に対し、深く哀悼の意を表します。
4年前の今日、東日本を襲った巨大地震とそれに伴う津波により、2万人を超す死者・行方不明者が生じました。テレビに映った津波の映像は、決して忘れることのできない本当に恐ろしいものでした。
死者・行方不明者の中には危険をかえりみず、人々の救助や防災活動に従事した人々があったことが、今も痛ましく思い出されます。被災地で、また避難先で、被災者の多くが今日もなお、困難な暮らしを続けています。特に年々、高齢化していく被災者の健康は深く心にかかります。
さ らに、この震災により原子力発電所の事故が発生し、放射能汚染地域の立ち入りが制限されているため、多くの人が住み慣れた地域から離れることを余儀なくさ れました。今なお自らの家に帰還する見通しが立っていない人が多いことを思うと、心が痛みます。この4年間、被災地においては人々が厳しい状況の中、お互 いの絆を大切にしつつ、幾多の困難を乗り越え、復興に向けて努力を続けてきました。またこうした努力を支援するため、国内外の人々が引き続き、いろいろな 形で尽力しています。
この結果、地場産業の発展、防災施設の整備、安全な居住地域の造成などさまざまな進展がみられましたが、依然として被災した人々を取り巻く状況は厳しく、これからも国民みなが心を一つにして寄り添っていくことが大切と思います。
このたびの大震災においては、私どもは災害に関し、日頃の避難訓練と津波防災教育がいかに大切かを学びました。こうした教訓を決して忘れることなく子孫に伝え、より安全な国土を築くべく努力を続けることが重要であると思います。
こ の14日から宮城県仙台市において第3回国連防災世界会議が開催されますが、この会議において、我が国のみならず世界各国においても、この大震災の教訓が 分かち合われ、被害の軽減や人々の安全性の確保に意義ある成果が挙げられることを願っています。被災地に一日も早く安らかな日々が戻ることを一同とともに 願い、御霊への追悼の言葉といたします。
平成27年3月11日「東日本大震災四周年追悼式」における内閣総理大臣式辞
http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/statement/2015/0311sikiji.html
本日ここに、天皇皇后両陛下の御臨席を仰ぎ、東日本大震災四周年追悼式を挙行するに当たり、政府を代表して、謹んで追悼の言葉を申し上げます。
かけがえのない多くの命が失われ、東北地方を中心に未曾有の被害をもたらした東日本大震災の発生から、四年の歳月が流れました。
愛しい家族、親類、友人を亡くされた方々のお気持ちを思うと、今なお深い悲しみが胸に去来します。ここに改めて、衷心より哀悼の意を捧げます。また、被災された全ての方々に、心からお見舞いを申し上げます。
被災地に足を運ぶ度、復興の槌音が大きくなっていることを実感します。高台移転、被災者向けの住宅の事業は着実に前進し、復興は新たな段階に移りつつあ ります。しかしながら、今なお、原発事故のために住み慣れた土地に戻れない方々をはじめ、23万人の方が厳しい、不自由な生活を送られています。新しい生 活をスタートさせた方々も、生活環境への適応など、御苦労は絶えません。健康・生活支援、心のケアも含め、被災された方々に寄り添いながら、さらに復興を 加速してまいります。
同時に、今般の震災から得られた貴重な教訓を決して無にしない、との決意で、我が国全土にわたって災害に強い強靭な国づくりを進めてまいります。被害を 少しでも小さくするため、常に最新の英知を取り入れつつ、総合的な防災対策に、政府一丸となって取り組んでまいることを、改めて、ここに固くお誓いいたし ます。
震災の発生以来、地元の方々、関係機関の大変な御努力に支えられながら、復興、復旧が進んでまいりました。また、日本各地のみならず、本日ここに 御列席の世界各国・各地域の皆様からも、多くの温かい支援の手が差し伸べられました。その御尽力に対し、心より感謝と敬意を表するものであります。
今週末から、仙台市において開催される国連防災世界会議においては、東日本大震災の教訓と被災地の復興の現状を、世界の皆様に向けて発信いたします。世 界各地における防災対策に役立てていただければ幸いです。そして、今後、我が国の知見と技術を生かし、防災分野における国際貢献を、一層強力に進めてまい ります。
この大地震による惨禍は、まさに未曾有の国難です。しかしながら、先人たちが、幾多の困難を乗り越えてきたように、明日を生きる世代のために、私たちが共に立ち向かっていくことを改めてお誓いいたします。
御霊の永遠に安らかならんことを改めてお祈り申し上げますとともに、御遺族の皆様の御平安を心から祈念し、私の式辞といたします。
平成27年3月11日
内閣総理大臣 安 倍 晋 三