鹿児島を地盤とする南九州サンクスの「サークルKサンクス」離脱は時間の問題と言われており、同県へ展開を進めるセブンイレブンへ看板替えするのか、あるいはローソンやファミリーマートを選ぶのか、その動向が注目されていた。業界筋の情報によると,ローソンへの鞍替えする模様である。
◆フセブンの進出急
東日本大震災の動揺がまだ続いていた2011年3月25日、セブンイレブンは霧島市などで4店の出店を行い、鹿児島県での出店がスタートした。国内で39都道府県となる出店である。13年度(14年2月末)までに鹿児島県内へ累計約200店舗の出店を計画している。鹿児島県内で最多店舗数を有する南九州ファミリーマートが約200店であるため、3年でこれに並ぶことの表明でもあった。
3月の出店から三カ月後の6月には中心部の鹿児島市へも出店し,県内の店舗網拡大を急ピッチで推進。一年後の12年3月には空の玄関口、鹿児島空港がある霧島市から鹿児島市にかけて、セブンイレブンの店舗が急速に目立つようになった。
出店当初、セブンイレブンでは宮崎(一部熊本)の専用工場および配送センターから商品供給を行っていたが、100店を目前とし、鹿児島県下での製造・配送拠点の建設も計画。コンビニチェーンとしてのインフラを整えつつある。
photo:「宅配クック123」出店セレモニー風景(2012/12)
◆ ファミリーマートの顧客囲い込み戦略
当然のことながら,鹿児島でトップチェーンのファミリーマートが,セブンーイレブンの進出に手もこまねいているはずはない。南九州ファミリーマートは、シニアライフクリエイトがFC展開する「宅配クック123 (ワン・ツゥ・スリー)」 との併設店舗をオープンさせ、高齢者に向けたサービス強化を打ち出した。シニアライフクリエイトは,ファミリーマートが12年4月に子会社化した高齢者専門の弁当宅配事業会社である。このサービスでは弁当の宅配とともにファミリーマート店舗で販売している商品も一緒に配達。これにより、普段来店できない消費者も宅配により買い物が可能になった。
宅配用にパン、菓子、飲料、日配品、雑貨など約50品目をセレクトした専用チラシを作成。弁当宅配の利用者はこのチラシの中から商品を選び事前に電話および弁当の配達員に注文すると、翌日の昼か夜には弁当と一緒に商品が届けられる。
南九州ファミリーマートの久保裕之社長は,「コンビニの役割は変わりつつある。こうした高齢者に向けた宅配サービスを行うことで、より地域に根ざしたコンビニチェーンを目指していく」と語っている。これは,これまでコンビニをあまり利用していなかった高齢者まで含めた“顧客囲い込み戦略”の展開にほかならない。
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