地震や台風が,山がちで狭い国土を襲う災害大国日本。この困難な地から恵みを受けるために,日本人は何をしてきたのか,何をすべきか。
『国土と日本人 - 災害大国の生き方 (中公新書)』は,日本の国土の地形的・社会的特徴を明らかにしたうえで,日本人は何をしてきたのか,また,これから何をすべきかについて,持論を展開している。
土木的な見地から見た日本の国土の特徴,国土計画の考え方,明治期から戦後復興,経済成長時代に至るまでの公共事業の歴史を俯瞰できる本である。その主張には具体的な事例,数字や科学的根拠,外国との比較が示されており,説得力がある。
例えば,東京と名古屋の地下鉄の運賃を例に,東京の地下鉄については戦後のインフレ以前に建設された路線が多いことが運賃の安さにつながっているとしている。また,宮崎県と熊本県の農業を比較し,高速道路の有無が宮崎の野菜が東京の市場に進出できない理由だとしている。
建設省道路局長なども務めた人物による国土論。公共事業を正当化したいという思い込みに溢れた本であり,国のスタンスを代弁した公共事業必要論とも受け取れる。だが,公共事業の意義,公共事業の必要性を示す役人の考え方として読めば,参考になる。
国土と日本人 - 災害大国の生き方 (中公新書) | |
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