(第2稿)
これまで,家電量販店は安さを武器に業績を拡大してきた。だが,近時は地上デジタル放送移行時のような特需はなく,スマートフォン(スマホ)人気も一巡したことから,各社とも売り上げは伸び悩んでいる。さらに,楽天,Amazonに代表されるネット通販の台頭もあり,市場における存在感は低下している。なお,2013年度の家電量販店市場は5兆7千億円強の規模と推定される。
報道によるとヤマダ電機 http://www.yamada-denki.jp/ は,小さな商圏の店舗や,中大型でも収益改善が見込みにくい地方の郊外型店を中心に,約40店を5月末に閉鎖する。今後増える可能性もあるとする。
これからは都市部重視にシフトし,駅前型店舗の出店などに力を注ぐ。同社は,今年に入りテックランド永山店(多摩市),テックランドNew青葉店(横浜市),テックランド浜松西店(静岡市),テックランド米子店(米子市),テックランド相馬店(相馬市)の郊外型の「テックランド」5店をすでに閉店している。
>>>ベスト電器も苦戦-4期連続で利益見通し下方修正
ヤマダ電機傘下で九州に地盤を置く業界9位のベスト電器 http://www.bestdenki.ne.jp/ も,増税の反動で苦戦している。4月15日に発表した2015年2月期の決算では,営業利益は6億円と前期比45%減となった。
同社は,2014年2月期には黒字転換したものの,期中2度の下方修正で,当初の営業利益見通し(約30億円)を大幅に下回る約10億円にとどまった。そして今回は,23億円の営業利益を計画していたが,下方修正で計画に対して大幅未達となった。今期を含め,業績見通しは4期連続の下方修正を余儀なくされている。
大幅減益となったのは”増税負担”の影響による。2015年2月期は,消費増税前である2014年3月の駆け込み需要を取り込めたことや,年末年始の商戦での広告効果もあり,売上高は1%増の1751億円と前期実績をわずかに上回った。
だが,お客が2014年3月までに購入しても,配送が4月以降になった場合,増税分はベスト電器負担としたため,実質約3%の値引き販売となった。3月の駆け込み需要が多かったうえ,商品の配送も遅れたことで,この増税負担が増し,営業利益の大幅な下方修正となった。
ベスト電器は,今後は店舗改装を進め,店舗あたりの売上げを伸ばす考えで,新規出店の計画はなく,既存店の体質強化を優先し,2016年2月期の売上高はほぼ前期並み,営業利益は9億円(前期6.9億円)を見込んでいる。
商品の共同調達による仕入れ力強化・品揃えの充実といった,ヤマダ電機の傘下入りのメリットをどのように活かし業績向上に結びつけていくかが,問われるところである。
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ベスト電器は、九州地方(鹿児島県を除く)を基盤とするヤマダ電機グループの家電量販店チェーンストア。かつては日本で業界シェア1位の家電販売店チェーンであった。
⇒⇒平成27年2月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
http://www.bestdenki.ne.jp/view.php?pageId=3568
⇒⇒平成26年2月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
http://www.bestdenki.ne.jp/library/image/company/201441815284.pdf
◆会社概要 株式会社ベスト電器 (BEST DENKI CO.,LTD.)
・本社所在地 福岡市博多区千代六丁目2番33号 地図を表示
・設立年月日 昭和28年9月3日
・資本金 378億92百万円 (平成26年2月末現在)
・事業内容 一般家庭用家電製品・情報通信機器・住宅設備機器などの小売および卸売、
サービス・設置工事、クレジット、レンタルなどの事業
・事業所・店舗
店舗/九州、沖縄、中国、四国、関西、東海、関東、東北、北海道 シンガポール、台湾、マレーシア、インドネシア
サービス・営業所/九州各県、他
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