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『安楽死を遂げた日本人』-6 「安楽死」の定義は曖昧

2019-07-15 23:36:44 | 安楽死・尊厳死・緩和ケア

 脚本家の橋田寿賀子さんが『文藝春秋』2016年12月号で,〝92歳の私が認知症になって,何もわからず,ベッドに縛り付けられて生きるなどということは考えるだけで恐ろしい。そうなったら,自分は誰にも迷惑をかけないで安らかに逝きたい,として,外国人にも開放されている自殺幇助のためのスイスの市民団体「ディグニタス」に申し込んで安楽死したい”,との「私は安楽死で逝きたい」と題したエッセイは,大きな反響を呼び,「安楽死の是非」を論議するきっかけとなった。

 なお,橋田さんははこれまでの自分の人生とその生き方を描き,それに基づいて 「命は誰のものか?」「人間の尊厳とは何か?」について考えつつ安楽死についての主張をまとめた著書 『安楽死で死なせて下さい』(文春新書,2017年)を上梓した。

 また,橋田さんは出演したテレビの討論番組で,安楽死について,次のような趣旨の言葉を述べたという。「私が知らないうちに処置してもらいたい。これを飲んだら死ぬとか、これ(注射)を打ったら死ぬと分かって、自分では指示を出したくない」--出典:『安楽死を遂げた日本人』宮下 洋一著 p151

 

 

安楽死で死なせて下さい (文春新書)
橋田 壽賀子
文藝春秋

 

>>>NHKスペシャル「彼女は安楽死を選んだ」 



 安楽死への世間一般の関心も高まり,講演会やシンポジウムなどを通じて安楽死の是非が論ぜられるようになったが多くの場合,賛成派と反対派の議論は噛み合わず,感情的な対立となり,議論は混乱し,問題そのものがクリアに整理されたり,相互理解が進んだりすることは稀であると言う。
 安楽死をめぐる議論が混乱している要因の一つ,「安楽死」いう言葉が何を意味しているのか,どういった行為についてそのような言葉が使われているのか,についての定義が明確でない点にある。

 

 

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安楽死を遂げた日本人
欧州を拠点とし活躍するジャーナリスト,
宮下洋一氏が自殺幇助団体の代表である
スイスの女性医師と出会い,欧米の安楽
死事情を取材し,「理想の死」を問うノ
ンフィクションである。
小学館刊 宮下 洋一著

    内容紹介  ”講談社ノンフィクション賞受賞作品!”

安楽死,それはスイス,オランダ,ベルギー,ルクセンブルク,アメリカの一部の州,カナダで認められる医療行為である。超高齢社会を迎えた日本でも,昨今,容認論が高まりつつある。しかし,実態が伝えられることは少ない。

安らかに死ぬ――。本当に字義通りの逝き方なのか。患者たちはどのような痛みや苦しみを抱え,自ら死を選ぶのか。遺された家族はどう思うか。

79歳の認知症男性や難病を背負う12歳少女,49歳の躁鬱病男性。彼らが死に至った「過程」を辿りつつ,スイスの自殺幇助団体に登録する日本人や,「安楽死事件」で罪に問われた日本人医師を訪ねた。当初,安楽死に懐疑的だった筆者は,どのような「理想の死」を見つけ出すか。第40回講談社ノンフィクション賞を受賞した渾身ルポルタージュ。    

       ◇  ◇  ◇

安楽死・尊厳死を語る前に知っておきたいこと (岩波ブックレット)

 

 安楽死や尊厳死をめぐる議論はなぜ混乱するのか? 知っておくべき
歴史や背景、言葉のからくりを指摘し、「死の自己決定権」「延命
治療」といった言葉も吟味し直しながら、その議論が陥りやすい落
とし穴を明らかにする。「よい死」を語る前に私たちが真に議論す
べきことは何か。人間らしい尊厳ある生き方を求めて、医療文化、
社会のあり方を問い直す。

 

岩波書店発行 安藤 泰至著 520円+税

 

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