テキストなしで学習している子たちに「何がしたい?」と尋ねたら「お話作り!」と言う返事。
そうですか、と4月の予定に組んだ。
それで、私が「お手本いるの?できれば自力でやりたいよね」といったら
「無理、無理、無理、お手本いるぅ」
というので、書いてみました。
もう20年近くこの塾をやっていますが、似たようなことは今までもありありまして。
それで「かきおろし」使用か、という気分になって、しました、久しぶりに。
(2本ほどストックはあったのですが)
以下です。
母と屋外ランチをこのところ推進しているのですが、そのときにみた桜の花びらがヒントです。
・・・・・・・・お手本プリより・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
お話つくりのヒントです。パクリなしです。ヒントをもらって、あとは自分の頭で考えよう。
まず音読しましょう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
題 さくらの花たちの旅
公園の桜が満開です。
花があまい香りを出しているので、虫たちや小鳥たちがたくさんあそびに来ていて、にぎやかです。耳をすませたら、なにやら話し声が聞こえてきます。
「さくらさん、いい香りだね、みつをいただきますよ」
ミツバチが、そう桜の木に話しかけています。
「どうぞ、どうぞ」
「長くさいていてね、また来るから」
ミツバチは、みつをたっぷりいただいてから、そうたのみました。
「ごめんね、それは無理だわ。桜はさいたら、あっという間に散るのが、かっこいいんですもの。」
桜の木は困ったように答えます。
「そうなんですか?でも、あなただってみんなに長くきれいなすがたを見てほしいでしょう。ずっとさいていてくださいよ。」
ミツバチが言います。
「あ、ミツバチさん。あたしたち、もう散る用意ができているの、次の風が来たら飛びます」
「お母さん、そうですよね」
満開の桜の花びらたちが、くちぐちに言います。
「そうね、じきにその時が来ますね。みんな、楽しみでしょう」
桜の木が静かに答えました。
「ええ、楽しみです。できるだ遠くまで飛びたい、知らない世界を見てみたい」
桜の花たちは、うんうんとうなずきました。
その時です。南の方から風が吹いてきました。
お先に行くわ!
私も行くね
お母さん、ありがとう、行ってきます
あの空の近くまで舞い上がりたい!
さようなら
さようなら、また会えるかな・・
花びらたちは、そんなことを口々言いながら、とんでいきます。
「行ってらっしゃい、いい旅を!」
桜の木は、飛び立っていく花びらたちに声を掛けました。
ミツバチも、花びらたちをおいかけます。でも風に乗っている花びらたちに追いくことはできません。
「花びらさんたち、いい旅をしてくださいね。ありがとう!」
*********
桜の木たちの下でお花見をしながら、お昼ご飯を食べていた家族がありました。お父さんが言います。
「花吹雪が始まったよ」
「きれいだね、川に飛んでいくと行くと花筏(ハナイカダ)になるのよ」
とお母さん。
「じゃ、あとで川に見にこうよ」
子どもが手をたたいてはしゃいでいます。
こうして春の一日はすぎていくのでした。
おしまい
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
お話を書きたい、といってくれた子たち、実は作文は大の苦手。
でも、想像してそれを文字にするのは楽しくておもしろいようです。
彼ら的には、いざとなれば、先生(私)の助け船があると分かっているせいもあるかも知れませんが。
楽しい、おもしろい
これは、大切ですね。