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「 梗 概 」 恋愛小説 白いYシャツと青いTシャツ 第13話

2012-02-06 11:55:39 | 梗概/白いYシャツと青いTシャツ

その後、しばらく香織と逢う事も電話もなく、

忙しい日々が過ぎ、哲也は専門学校を卒業した。


いくつかの企業からの内定はもらったが、

しばらくの間、就職もせず、アルバイトで生活をしていた。

デザインとは全く関係のないアルバイト、

あの店へ行けばきっと、雇ってもらえたと思うが、

アクセサリーの店でのアルバイトをする気持ちはなかった。

東京の自宅近くでの掛け持ちバイトで何とか生活はできた。


どうしても絵が描けなくて、白いキャンパスに向かっても、手が動かない。

ありきたりの募集、絵葉書などが精一杯の絵だった。

お金にはならない、掃除機や毛玉とり、コップ、皿など日用品ばかりだ。

漫画を描いては、公募し一度も本に載せるまでにはならず、

香織の事も忘れかけていた。

哲也は、親からは「就職は?」とうるさく言われる。

香織と逢わなくなった哲也には、何もなくなった、

哲也自身の、全てを失ったような、そんな気がした。

以前のバイトで少しの貯えはあったが、

酒、パチンコ、競馬、競輪に消えていった。


家賃も払えず、電話、ガスも止められた。

新聞の勧誘でヤクザ関係者とも知り合いになった。


「いつでも事務所に来いよ」


ヤクザ関係者に声をかけられ、事務所の前までは行ったが、

事務所へは入らず、もうやりきれない状況になっていた。


そんな時、学校からの手紙が届いた。

ある企業が、哲也を探してるとの事だった。

もうこの際、勤め人にでも出るかと哲也は思い、

指定どおりにその場所へ向かったが、様子がなんか変な感じがした。

二人のスーツ姿をした人がいた。

履歴書を渡すとすぐにバックの中へ入れ、何か書類を出してきた。


それは、1枚の契約書であった。


「どうして僕を探してたんですか?」


哲也は、一枚の名刺を出された。


「面接は、ないんですか?」


哲也は、こんな不思議な事があっていいのかと思った。



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