厚生労働省「労働基準関係法制研究会」(第11回)
厚生労働省(労働基準局)有識者会議「労働基準関係法制研究会」の第11回研究会は次週火曜日(2024年8月20日)に開催され、議題は「労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇について」。
厚生労働省「労働基準関係法制研究会」とは
厚生労働省「労働基準関係法制研究会」は、「新しい時代の働き方に関する研究会」につづいて開設された厚生労働省(労働基準局)有識者会議になります。
「労働基準関係法制研究会」の目的は「今後の労働基準関係法制について包括的かつ中長期的な検討を行うとともに、働き方改革関連法附則第12条に基づく労働基準法等の見直しについて、具体的な検討を行うこと」とされています。
また「労働基準関係法制研究会」の検討事項は「『新しい時代の働き方に関する研究会』報告書を踏まえた、今後の労働基準関係法制の法的論点の整理」と「働き方改革関連法の施行状況を踏まえた、労働基準法等」とされています。
厚生労働省「労働基準関係法制研究会」メンバー
厚生労働省「労働基準関係法制研究会」のメンバー(構成員)は、荒木尚志・東京大学大学院法学政治学研究科教授(座長)、安藤至大・日本大学経済学部教授、石﨑由希子・横浜国立大学大学院国際社会科学研究院教授、神吉知郁子・東京大学大学院法学政治学研究科教授、黒田玲子・東京大学環境安全本部准教授、島田裕子・京都大学大学院法学研究科教授、首藤若菜・立教大学経済学部教授、水島郁子・大阪大学理事(兼)副学長、水町勇一郎・早稲田大学法学学術院教授(元 東京大学社会科学研究所比較現代法部門教授)、山川隆一・明治大学法学部教授 (五十音順)。
厚生労働省「労働基準関係法制研究会」の経過
・厚生労働省「労働基準関係法制研究会」の議題は毎回「労働基準関係法制」とありますが、2024年1月23日に開催された第1回研究会ではメンバー(構成員)全員が労働基準関係法制全般について個人としての意見を述べています。
・2月21日に開催された第2回研究会では「労働時間制度」について議論されました。
・2月28日に開催された第3回研究会では「労働基準法における『事業』及び『労働者』」について議論されました。
・3月18日に開催された第4回研究会は「労使コミュニケーション」について議論されました。
・3月26日に開催された第5回研究会では、これまで議論された「労働時間制度」「労働基準法における『事業』及び『労働者』」「労使コミュニケーション」についての論点を整理しながら、さらに掘り下げて議論を一巡したようです。
・4月23日に開催された第6回研究会では第5回研究会でのメンバー(構成員)意見を踏まえて議論を深めて論点を再整理したようです。
・5月10日に開催された第7回研究会は「労使団体ヒアリング」として経団連と連合からヒアリングが実施されましたが、経団連と連合はそれぞれ労働基準関係法制に関する提言をしています。
・6月27日に開催された第8回研究会では議題は「ヒアリング」「労働基準関係法制について」となっていましたが、「ヒアリング」では全国社会保険労務士連合会と一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会からヒアリングが実施されました。そして「労働基準関係法制について」では労働基準法における「労働者」について事務局(厚生労働省)が資料として提出した「案」が議論されたようです。
・7月19日に開催された第9回研究会では「労働基準法における『事業』」と「労使コミュニケーション」について議論されました。
・7月30日に開催された第10回研究会では「労働時間」「休憩」「休日」「年次有給休暇」について議論されました。
労働基準関係法制研究会(厚生労働省サイト)
追記:厚生労働省「労働基準関係法制研究会」(第11回)資料
本日(2024年8月19日)、厚生労働省「労働基準関係法制研究会」(第11回)資料が公開されましたが、タイトルは「労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇について」(全56ページ)。
資料「労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇について」の31ページから42ページは「勤務間インターバル」について記載され、43ページは「つながらない権利」法制化に関する諸外国に状況比較一覧が掲載されていました。「つながらない権利」に関する資料が1ページのみというところに厚生労働省や労働基準関係法制研究会メンバーの「つながらない権利」法制化への関心のなさが(残念ながら)よくあらわれています。
資料「労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇について」(PDF)
追記:厚生労働省「労働基準関係法制研究会」(第11回)報道
アドバンスニュースは「前回(7月31日)に引き続き「労働時間、休憩、休日・年次有給休暇』について議論を続行。とりわけ、『法定休日制度』『勤務間インターバル制度』『年次有給休暇制度・休暇』『割増賃金規制』の4項目を掘り下げた。委員の意見や方向性がおおむね一致するテーマもあった一方で、『勤務間インターバル制度の義務化の有無』などについては見解に相違がみられ、活発な議論が展開された」と報じています。
アドバンスニュースの記事には「この日の議論で特筆されるのは、第2回会合(2月21日)と第7回会合(5月10日)でもテーマとなった『副業・兼業の場合の割増賃金の通算のあり方』で、委員の見解としては『健康確保のために労働時間の通算は必要だが、割増賃金は必要ない』『割増賃金からスタートする人が同じ職場にいるのは、雇用する側にも働く人にも壁になっている』など、現場実態に照らした意見が聞かれ、働き方が多様化する中で現行制度では実効性が乏しいとの指摘が挙がった」と記載されています。
また、記事には「荒木座長も自身の研究を踏まえて『EU各国では使用者が異なる場合にそもそも労働時間を通算しない。通算する国でも健康確保のための通算であり、割増賃金について通算していない』と解説した。また、健康確保としての通算についても、超過している人に誰がどのような指導、対応をするのかなど課題が浮き彫りになった」と書かれていますが、全労連などの労働組合は現行の労働基準法の規定維持を訴えているので労使(労働者側と使用者側)の意見が対立しています。
法定休や勤務間インターバル、副業・兼業の割増賃金などをテーマに議論続行 労基法巡る有識者研究会
なお、「割増賃金について通算していない」と発言した荒木座長(荒木尚志・東京大学大学院法学政治学研究科教授)は厚生労働大臣の諮問機関・労働政策審議会の労働基準法等の改正などを審議する「労働条件分科会」の座長もされています。
労働基準関係法制研究会は今後「報告書」をまとめることになると思いますが、報告書に書かれるであろう労働基準法の見直しに向けての意見は労働政策審議会・労働条件分科会で正式に議論されることになりますが、労働基準関係法制研究会と労働条件分科会の座長が同一人物だということは厚生労働省や政府の副業・兼業の場合の割増賃金の通算規定の見直しを急ぎたいとの強い意志を感じます。
なお、最新の労働政策審議会・労働条件分科会委員名簿をみると安藤至大・日本大学経済学部教授も労働基準関係法制研究会メンバー(構成員)とともに労働政策審議会・労働条件分科会委員もされるようです。
労働条件分科会委員名簿(PDF)
厚生労働省(労働基準局)有識者会議「労働基準関係法制研究会」の第11回研究会は次週火曜日(2024年8月20日)に開催され、議題は「労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇について」。
厚生労働省「労働基準関係法制研究会」とは
厚生労働省「労働基準関係法制研究会」は、「新しい時代の働き方に関する研究会」につづいて開設された厚生労働省(労働基準局)有識者会議になります。
「労働基準関係法制研究会」の目的は「今後の労働基準関係法制について包括的かつ中長期的な検討を行うとともに、働き方改革関連法附則第12条に基づく労働基準法等の見直しについて、具体的な検討を行うこと」とされています。
また「労働基準関係法制研究会」の検討事項は「『新しい時代の働き方に関する研究会』報告書を踏まえた、今後の労働基準関係法制の法的論点の整理」と「働き方改革関連法の施行状況を踏まえた、労働基準法等」とされています。
厚生労働省「労働基準関係法制研究会」メンバー
厚生労働省「労働基準関係法制研究会」のメンバー(構成員)は、荒木尚志・東京大学大学院法学政治学研究科教授(座長)、安藤至大・日本大学経済学部教授、石﨑由希子・横浜国立大学大学院国際社会科学研究院教授、神吉知郁子・東京大学大学院法学政治学研究科教授、黒田玲子・東京大学環境安全本部准教授、島田裕子・京都大学大学院法学研究科教授、首藤若菜・立教大学経済学部教授、水島郁子・大阪大学理事(兼)副学長、水町勇一郎・早稲田大学法学学術院教授(元 東京大学社会科学研究所比較現代法部門教授)、山川隆一・明治大学法学部教授 (五十音順)。
厚生労働省「労働基準関係法制研究会」の経過
・厚生労働省「労働基準関係法制研究会」の議題は毎回「労働基準関係法制」とありますが、2024年1月23日に開催された第1回研究会ではメンバー(構成員)全員が労働基準関係法制全般について個人としての意見を述べています。
・2月21日に開催された第2回研究会では「労働時間制度」について議論されました。
・2月28日に開催された第3回研究会では「労働基準法における『事業』及び『労働者』」について議論されました。
・3月18日に開催された第4回研究会は「労使コミュニケーション」について議論されました。
・3月26日に開催された第5回研究会では、これまで議論された「労働時間制度」「労働基準法における『事業』及び『労働者』」「労使コミュニケーション」についての論点を整理しながら、さらに掘り下げて議論を一巡したようです。
・4月23日に開催された第6回研究会では第5回研究会でのメンバー(構成員)意見を踏まえて議論を深めて論点を再整理したようです。
・5月10日に開催された第7回研究会は「労使団体ヒアリング」として経団連と連合からヒアリングが実施されましたが、経団連と連合はそれぞれ労働基準関係法制に関する提言をしています。
・6月27日に開催された第8回研究会では議題は「ヒアリング」「労働基準関係法制について」となっていましたが、「ヒアリング」では全国社会保険労務士連合会と一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会からヒアリングが実施されました。そして「労働基準関係法制について」では労働基準法における「労働者」について事務局(厚生労働省)が資料として提出した「案」が議論されたようです。
・7月19日に開催された第9回研究会では「労働基準法における『事業』」と「労使コミュニケーション」について議論されました。
・7月30日に開催された第10回研究会では「労働時間」「休憩」「休日」「年次有給休暇」について議論されました。
労働基準関係法制研究会(厚生労働省サイト)
追記:厚生労働省「労働基準関係法制研究会」(第11回)資料
本日(2024年8月19日)、厚生労働省「労働基準関係法制研究会」(第11回)資料が公開されましたが、タイトルは「労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇について」(全56ページ)。
資料「労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇について」の31ページから42ページは「勤務間インターバル」について記載され、43ページは「つながらない権利」法制化に関する諸外国に状況比較一覧が掲載されていました。「つながらない権利」に関する資料が1ページのみというところに厚生労働省や労働基準関係法制研究会メンバーの「つながらない権利」法制化への関心のなさが(残念ながら)よくあらわれています。
資料「労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇について」(PDF)
追記:厚生労働省「労働基準関係法制研究会」(第11回)報道
アドバンスニュースは「前回(7月31日)に引き続き「労働時間、休憩、休日・年次有給休暇』について議論を続行。とりわけ、『法定休日制度』『勤務間インターバル制度』『年次有給休暇制度・休暇』『割増賃金規制』の4項目を掘り下げた。委員の意見や方向性がおおむね一致するテーマもあった一方で、『勤務間インターバル制度の義務化の有無』などについては見解に相違がみられ、活発な議論が展開された」と報じています。
アドバンスニュースの記事には「この日の議論で特筆されるのは、第2回会合(2月21日)と第7回会合(5月10日)でもテーマとなった『副業・兼業の場合の割増賃金の通算のあり方』で、委員の見解としては『健康確保のために労働時間の通算は必要だが、割増賃金は必要ない』『割増賃金からスタートする人が同じ職場にいるのは、雇用する側にも働く人にも壁になっている』など、現場実態に照らした意見が聞かれ、働き方が多様化する中で現行制度では実効性が乏しいとの指摘が挙がった」と記載されています。
また、記事には「荒木座長も自身の研究を踏まえて『EU各国では使用者が異なる場合にそもそも労働時間を通算しない。通算する国でも健康確保のための通算であり、割増賃金について通算していない』と解説した。また、健康確保としての通算についても、超過している人に誰がどのような指導、対応をするのかなど課題が浮き彫りになった」と書かれていますが、全労連などの労働組合は現行の労働基準法の規定維持を訴えているので労使(労働者側と使用者側)の意見が対立しています。
法定休や勤務間インターバル、副業・兼業の割増賃金などをテーマに議論続行 労基法巡る有識者研究会
なお、「割増賃金について通算していない」と発言した荒木座長(荒木尚志・東京大学大学院法学政治学研究科教授)は厚生労働大臣の諮問機関・労働政策審議会の労働基準法等の改正などを審議する「労働条件分科会」の座長もされています。
労働基準関係法制研究会は今後「報告書」をまとめることになると思いますが、報告書に書かれるであろう労働基準法の見直しに向けての意見は労働政策審議会・労働条件分科会で正式に議論されることになりますが、労働基準関係法制研究会と労働条件分科会の座長が同一人物だということは厚生労働省や政府の副業・兼業の場合の割増賃金の通算規定の見直しを急ぎたいとの強い意志を感じます。
なお、最新の労働政策審議会・労働条件分科会委員名簿をみると安藤至大・日本大学経済学部教授も労働基準関係法制研究会メンバー(構成員)とともに労働政策審議会・労働条件分科会委員もされるようです。
労働条件分科会委員名簿(PDF)