厚生労働省の有識者会議「新しい時代の働き方に関する研究会」報告書(案)には「ビジネスと人権」についても記載されている。
新しい時代の働き方に関する研究会 報告書
厚生労働省有識者会議「新しい時代の働き方に関する研究会」の第14回会合が先月(2023年9月29日)開催されたが、議題は「報告書に向けた議論」。
また、第15回会合が明日(2023年10月13日)に開催されるが、議題は「とりまとめ」となっており、「新しい時代の働き方に関する研究会」報告書が取りまとめられることになる。
新しい時代の働き方に関する研究会(厚生労働省)
報告書(案)に記載された「ビジネスと人権」
第14回「新しい時代の働き方に関する研究会」の資料1は「新しい時代の働き方に関する研究会」報告書(案)だが、そこには「ビジネスと人権」という言葉がで見受けられる(「新しい時代の働き方に関する研究会」報告書(案)23頁<第4 未来を担う全ての方へ、1 企業に期待すること、(1)ビジネスと人権の視点>)。
ビジネスと人権の視点
〇経営活動のネットワーク化や国際化が進む中で、企業は自社内はもちろん のこと、企業グループ全体やサプライチェーン全体で働く人の人権尊重や健康確保を図っていくという視点(いわゆる「ビジネスと人権」の視点)を持 って、企業活動を行っていくことが重要になっている。
〇そのため、最近では、自社・グループ会社及びサプライヤー等における人 権侵害等を特定した上で、それらを防止・軽減し、その取組の実効性を評価 し、どのように対処したのかを説明、情報開示していく人権デュー・ディリジェンスに取り組む企業も見られる。(厚生労働省「新しい時代の働き方に関する研究会」報告書(案)より)
「ビジネスと人権」とは
今回の厚生労働省有識者会議「新しい時代の働き方に関する研究会」報告書(案)には、「ビジネスと人権」の視点を「企業は自社内はもちろん のこと、企業グループ全体やサプライチェーン全体で働く人の人権尊重や健康確保を図っていくという視点」と記載されているが、外務省が2020年3月に発効した小冊子『ビジネスと人権とは?ービジネスと人権の指導原則』には、2011年に国連人権理事会で全会一致で支持された文書『ビジネスと人権に関する指導原則』について説明されている。
つまり、『ビジネスと人権に関する指導原則』の3つの柱が「人権を保護する国家の義務」、「人権を尊重する企業の責任」、「救済へのアクセス」となっているが、今回の厚生労働省「新しい時代の働き方に関する研究会」報告書(案)は「人権を尊重する企業の責任」に関連するものとなる。
そして、国連の『ビジネスと人権に関する指導原則』では、企業は人権を尊重する責任を果たすため、 「人権方針の策定」「人権デュー・ディリジェンスの実施」「救済メカニズムの構築」といった企業方針と手続を持つべきとされている。
なお、人権デュー・ディリジェンスとは、外務省の冊子には「企業は、人権への影響を特定し、予防し、軽減し、そしてどのように対処するかについて 説明するために、人権への悪影響の評価、調査結果への対処、対応の追跡調査、対処方 法に関する情報発信を実施することを求められています。この一連の流れのことを『人 権デュー・ディリジェンス』と呼んでいます」と書かれている。
ビジネスと人権
企業活動のグローバル化が進む中、企業活動における人権の尊重が注目されてくるようになりました。
国際社会では、1999年、当時の国連事務総長であったコフィー・ アナンが「国連グローバル・コンパクト」を提唱しました。グローバ ル・コンパクトは、企業に対し、「人権」、「労働」、「環境」、「腐敗防止」 に関する10原則を実践するよう要請しています。
国際社会の様々な動向を受け、2011年には、国連で「ビジネスと人権に関する指導原則」が作られ、企業活動における人権尊重の指針として用いられています。
また、「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成と人権の保護・促進 は表裏一体の関係にあるとされており、企業がSDGsに取り組む上でも、人権の尊重は重要になってきます。
一部の欧米諸国では、各企業に対し、人権配慮を求める法律を導入する動きもあります。また、投資家、市民社会、消費者において企業に人権尊重を求める意識が高まってきており、企業は、人権を 尊重した行動をとることが求められています。
国連の「ビジネスと人権の指導原則」
「ビジネスと人権に関する指導原則:国連『保護、尊重及び救済』 枠組み」は、2011年に国連の人権理事会で全会一致で支持された文書。「人権を保護する国家の義務」、「人権を尊重する企業の責任」、「救済へのアクセス」の3つの柱から構成されています。<以下略>(外務省『ビジネスと人権とは?ービジネスと人権の指導原則』より)
ビジネスと人権とは?ービジネスと人権の指導原則(PDF)
また、2022年(令和4年)に「ビジネスと人権に関する行動計画の実施に係る関係府省庁施策推進・連絡会議」が取りまとめた『責任あるサプライチェーン等における 人権尊重のためのガイドライン』が、日本政府のガイドラインとして決定されている。
責任あるサプライチェーン等における 人権尊重のためのガイドライン(PDF)
新しい時代の働き方に関する研究会 報告書
厚生労働省有識者会議「新しい時代の働き方に関する研究会」の第14回会合が先月(2023年9月29日)開催されたが、議題は「報告書に向けた議論」。
また、第15回会合が明日(2023年10月13日)に開催されるが、議題は「とりまとめ」となっており、「新しい時代の働き方に関する研究会」報告書が取りまとめられることになる。
新しい時代の働き方に関する研究会(厚生労働省)
報告書(案)に記載された「ビジネスと人権」
第14回「新しい時代の働き方に関する研究会」の資料1は「新しい時代の働き方に関する研究会」報告書(案)だが、そこには「ビジネスと人権」という言葉がで見受けられる(「新しい時代の働き方に関する研究会」報告書(案)23頁<第4 未来を担う全ての方へ、1 企業に期待すること、(1)ビジネスと人権の視点>)。
ビジネスと人権の視点
〇経営活動のネットワーク化や国際化が進む中で、企業は自社内はもちろん のこと、企業グループ全体やサプライチェーン全体で働く人の人権尊重や健康確保を図っていくという視点(いわゆる「ビジネスと人権」の視点)を持 って、企業活動を行っていくことが重要になっている。
〇そのため、最近では、自社・グループ会社及びサプライヤー等における人 権侵害等を特定した上で、それらを防止・軽減し、その取組の実効性を評価 し、どのように対処したのかを説明、情報開示していく人権デュー・ディリジェンスに取り組む企業も見られる。(厚生労働省「新しい時代の働き方に関する研究会」報告書(案)より)
「ビジネスと人権」とは
今回の厚生労働省有識者会議「新しい時代の働き方に関する研究会」報告書(案)には、「ビジネスと人権」の視点を「企業は自社内はもちろん のこと、企業グループ全体やサプライチェーン全体で働く人の人権尊重や健康確保を図っていくという視点」と記載されているが、外務省が2020年3月に発効した小冊子『ビジネスと人権とは?ービジネスと人権の指導原則』には、2011年に国連人権理事会で全会一致で支持された文書『ビジネスと人権に関する指導原則』について説明されている。
つまり、『ビジネスと人権に関する指導原則』の3つの柱が「人権を保護する国家の義務」、「人権を尊重する企業の責任」、「救済へのアクセス」となっているが、今回の厚生労働省「新しい時代の働き方に関する研究会」報告書(案)は「人権を尊重する企業の責任」に関連するものとなる。
そして、国連の『ビジネスと人権に関する指導原則』では、企業は人権を尊重する責任を果たすため、 「人権方針の策定」「人権デュー・ディリジェンスの実施」「救済メカニズムの構築」といった企業方針と手続を持つべきとされている。
なお、人権デュー・ディリジェンスとは、外務省の冊子には「企業は、人権への影響を特定し、予防し、軽減し、そしてどのように対処するかについて 説明するために、人権への悪影響の評価、調査結果への対処、対応の追跡調査、対処方 法に関する情報発信を実施することを求められています。この一連の流れのことを『人 権デュー・ディリジェンス』と呼んでいます」と書かれている。
ビジネスと人権
企業活動のグローバル化が進む中、企業活動における人権の尊重が注目されてくるようになりました。
国際社会では、1999年、当時の国連事務総長であったコフィー・ アナンが「国連グローバル・コンパクト」を提唱しました。グローバ ル・コンパクトは、企業に対し、「人権」、「労働」、「環境」、「腐敗防止」 に関する10原則を実践するよう要請しています。
国際社会の様々な動向を受け、2011年には、国連で「ビジネスと人権に関する指導原則」が作られ、企業活動における人権尊重の指針として用いられています。
また、「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成と人権の保護・促進 は表裏一体の関係にあるとされており、企業がSDGsに取り組む上でも、人権の尊重は重要になってきます。
一部の欧米諸国では、各企業に対し、人権配慮を求める法律を導入する動きもあります。また、投資家、市民社会、消費者において企業に人権尊重を求める意識が高まってきており、企業は、人権を 尊重した行動をとることが求められています。
国連の「ビジネスと人権の指導原則」
「ビジネスと人権に関する指導原則:国連『保護、尊重及び救済』 枠組み」は、2011年に国連の人権理事会で全会一致で支持された文書。「人権を保護する国家の義務」、「人権を尊重する企業の責任」、「救済へのアクセス」の3つの柱から構成されています。<以下略>(外務省『ビジネスと人権とは?ービジネスと人権の指導原則』より)
ビジネスと人権とは?ービジネスと人権の指導原則(PDF)
また、2022年(令和4年)に「ビジネスと人権に関する行動計画の実施に係る関係府省庁施策推進・連絡会議」が取りまとめた『責任あるサプライチェーン等における 人権尊重のためのガイドライン』が、日本政府のガイドラインとして決定されている。
責任あるサプライチェーン等における 人権尊重のためのガイドライン(PDF)