報道によると、国民投票法改正案(正式名称「日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案」)は2021年5月7日に衆議院憲法審査会で修正、可決され、5月11日にも衆議院を通過する見通しとのことだが、衆議院ホームページでは提出時法律案と要綱だけが公開されている。衆議院憲法審査会で修正された法律案については現時点(5月7日午前5時)では未公開。
「日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案(国民投票法改正案)」経過(衆議院)
・衆議院付託年月日:令和3年(2021年)1月18日
・衆議院付託委員会:憲法審査会
・衆議院審査終了年月日:令和3年(2021年)5月6日
・衆議院審査結果:修正
・衆議院審議終了年月日:令和 3年(2021年)5月11日
・衆議院審議結果:修正
・衆議院審議時会派態度:多数
・衆議院審議時賛成会派:自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、公明党、日本維新の会・無所属の会、国民民主党・無所属クラブ
・衆議院審議時反対会派:日本共産党
*赤字については2021年5月12日に追記。
「日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案(国民投票法改正案)」本文(衆議院)
「日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案(国民投票法改正案)」提出時法律案(衆議院)
「日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案(国民投票法改正案)」要綱(衆議院)
日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案(国民投票法改正案)要綱
一 投票環境向上のための公職選挙法改正並びの改正
1 投票人名簿等の縦覧制度の廃止及び閲覧制度の創設(第29条の2、第29条の3等関係)
投票人名簿及び在外投票人名簿の内容確認手段について、個人情報保護の観点から、従来の縦覧制度を廃止し、次のように閲覧できる場合を明確化、限定するなどした新たな閲覧制度を創設すること。
・投票人名簿の抄本等の閲覧をできる事由を法律上明記すること。
・閲覧を拒むに足りる相当な理由があると認められるときは、閲覧を拒むことができるものとすること。
・不正閲覧対策に関する措置(罰則や過料を含む。)を法律上規定すること。
2 「在外選挙人名簿」への登録の移転の制度(出国時申請)の創設に伴う国民投票の「在外投票人名簿」への登録についての規定の整備 (第35条関係)
出国時に市町村の窓口で在外選挙人名簿への登録を申請できる制度(出国時申請)が新たに創設されたが、これを利用して、国民投票の投票日の50日前の登録基準日直前に出国した場合に、国民投票の在外投票人名簿に反映されない場合があり得ることから、この「谷間」を埋めるための法整備を行うこと。
3 共通投票所制度の創設(第52条の2関係)
投票の当日、市町村内のいずれの投票区に属する投票人も投票することができる共通投票所を設けることができる制度を創設すること。
4 期日前投票関係
(1)期日前投票事由の追加(第60条第1項関係)
期日前投票事由に「天災又は悪天候により投票所に到達することが困難であること」を追加すること。
(2)期日前投票所の投票時間の弾力的な設定(第60条第6項関係)
開始時刻(8:30)の2時間以内の繰上げ及び終了時刻(20:00)の2時間以内の繰下げを可能とすること。
5 洋上投票の対象の拡大 (第61条第7項関係)
外洋を航行中の船員について、ファクシミリ装置を用いて投票することができるようにする洋上投票制度について、①便宜置籍船等の船員及び②実習を行うため航海する学生・生徒も対象とすること。
6 繰延投票の期日の告示の期限の見直し(第71条第1項関係)
天災等で投票を行うことができないとき又は更に投票を行う必要があるときに行う繰延投票の期日の告示について、少なくとも5日前に行うこととされていたものを少なくとも2日前までに行えば足りることとすること。
7 投票所に入ることができる子供の範囲の拡大(第72条第2項関係)
投票所に入ることができる子供の範囲を、「幼児」から「児童、生徒その他の18歳未満の者」に拡大すること。
二 施行期日等
1 施行期日(附則第1条関係)
この法律は、公布の日から起算して3月を経過した日から施行すること。
2 適用区分(附則第2条関係)
改正後の規定は、この法律の施行の日以後に登録基準日がある国民投票について適用し、この法律の施行の日前に登録基準日がある国民投票については、なお従前の例によること。
3 その他
その他所要の規定を整備すること。(衆議院ホームページより)
追記(2021年5月11日)
読売新聞オンライン(「国民投票法と高齢者2割負担、改正案が衆院通過へ」、2021年5月11日配信)は「75歳以上の後期高齢者の医療費窓口負担を所得に応じて現行の1割から2割に引き上げる高齢者医療確保法改正案と、憲法改正の国民投票の利便性を高める国民投票法改正案はそれぞれ、(5月)11日午後の衆院本会議で与党などの賛成多数で可決され、参院に送付される」と報じた。
高齢者医療確保法改正案は、単身世帯で年収200万円以上、夫婦ともに75歳以上の世帯で年収計320万円以上の人を引き上げ対象とし、約370万人が該当する。これにより、後期高齢者医療制度での現役世代の負担は年720億円程度軽減される計算だ。
政府・与党は今国会での成立を目指している。実施時期は、2022年10月から23年3月の間で成立後に政令で定めるとしている。実施から3年間は、負担増を月3000円以内に抑える緩和措置を講じる。
国民投票法改正案は、憲法改正の国民投票の際、商業施設に共通投票所を設けることなどが柱だ。立憲民主党が求めた国民投票運動中のCM規制や外国人寄付規制に関し、「法律の施行後3年をめどに検討を加え、必要な法制上の措置を講ずる」と付則に明記する修正を行い、6日の衆院憲法審査会で可決された。自民、立民両党は今国会での成立で合意している。
追記(2021年5月12日)
時事ドットコムニュースは「憲法改正国民投票の利便性を高める国民投票法改正案は(5月)11日の衆院本会議で、自民、公明、立憲民主各党などの賛成多数で可決され、衆院を通過した」と報じた。
改正案は与野党の修正合意により、CM規制の検討などを付則に明記。2018年の提出から3年を経て、今国会で成立する見通しだ。
参院では、早ければ19日の憲法審査会で審議入り。本会議での採決は6月16日の今国会会期末近くになる見込みだ。成立すれば、自民党は「本丸」の改憲論議に着手したい考えで、立憲など野党との駆け引きが激しくなりそうだ。
改正案は、公職選挙法の規定に合わせ、(1)駅や大型商業施設に共通投票所を設置(2)洋上投票を航海実習中の学生らに拡大(3)投票所に同伴できる子どもの対象年齢を拡大―する内容。与党が日本維新の会などと18年6月に提出したが、採決が行われないまま9国会目を迎えていた。
追記(2021年6月9日)
読売新聞は「憲法改正の国民投票の利便性を高める国民投票法改正案は(6月)9日、参院憲法審査会で自民、公明両党などの賛成多数で可決された。自民、立民両党は今国会で改正案を成立させることで合意しており、(6月)11日の参院本会議で可決、成立する見通しだ」と報じた。
改正案には国民投票の際、商業施設や駅などで投票できる「共通投票所」を設けることや、洋上投票を航海実習中の学生らに拡大することなどが盛り込まれている。(読売新聞、2021年6月9日配信)
「日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案(国民投票法改正案)」経過(衆議院)
・衆議院付託年月日:令和3年(2021年)1月18日
・衆議院付託委員会:憲法審査会
・衆議院審査終了年月日:令和3年(2021年)5月6日
・衆議院審査結果:修正
・衆議院審議終了年月日:令和 3年(2021年)5月11日
・衆議院審議結果:修正
・衆議院審議時会派態度:多数
・衆議院審議時賛成会派:自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、公明党、日本維新の会・無所属の会、国民民主党・無所属クラブ
・衆議院審議時反対会派:日本共産党
*赤字については2021年5月12日に追記。
「日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案(国民投票法改正案)」本文(衆議院)
「日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案(国民投票法改正案)」提出時法律案(衆議院)
「日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案(国民投票法改正案)」要綱(衆議院)
日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案(国民投票法改正案)要綱
一 投票環境向上のための公職選挙法改正並びの改正
1 投票人名簿等の縦覧制度の廃止及び閲覧制度の創設(第29条の2、第29条の3等関係)
投票人名簿及び在外投票人名簿の内容確認手段について、個人情報保護の観点から、従来の縦覧制度を廃止し、次のように閲覧できる場合を明確化、限定するなどした新たな閲覧制度を創設すること。
・投票人名簿の抄本等の閲覧をできる事由を法律上明記すること。
・閲覧を拒むに足りる相当な理由があると認められるときは、閲覧を拒むことができるものとすること。
・不正閲覧対策に関する措置(罰則や過料を含む。)を法律上規定すること。
2 「在外選挙人名簿」への登録の移転の制度(出国時申請)の創設に伴う国民投票の「在外投票人名簿」への登録についての規定の整備 (第35条関係)
出国時に市町村の窓口で在外選挙人名簿への登録を申請できる制度(出国時申請)が新たに創設されたが、これを利用して、国民投票の投票日の50日前の登録基準日直前に出国した場合に、国民投票の在外投票人名簿に反映されない場合があり得ることから、この「谷間」を埋めるための法整備を行うこと。
3 共通投票所制度の創設(第52条の2関係)
投票の当日、市町村内のいずれの投票区に属する投票人も投票することができる共通投票所を設けることができる制度を創設すること。
4 期日前投票関係
(1)期日前投票事由の追加(第60条第1項関係)
期日前投票事由に「天災又は悪天候により投票所に到達することが困難であること」を追加すること。
(2)期日前投票所の投票時間の弾力的な設定(第60条第6項関係)
開始時刻(8:30)の2時間以内の繰上げ及び終了時刻(20:00)の2時間以内の繰下げを可能とすること。
5 洋上投票の対象の拡大 (第61条第7項関係)
外洋を航行中の船員について、ファクシミリ装置を用いて投票することができるようにする洋上投票制度について、①便宜置籍船等の船員及び②実習を行うため航海する学生・生徒も対象とすること。
6 繰延投票の期日の告示の期限の見直し(第71条第1項関係)
天災等で投票を行うことができないとき又は更に投票を行う必要があるときに行う繰延投票の期日の告示について、少なくとも5日前に行うこととされていたものを少なくとも2日前までに行えば足りることとすること。
7 投票所に入ることができる子供の範囲の拡大(第72条第2項関係)
投票所に入ることができる子供の範囲を、「幼児」から「児童、生徒その他の18歳未満の者」に拡大すること。
二 施行期日等
1 施行期日(附則第1条関係)
この法律は、公布の日から起算して3月を経過した日から施行すること。
2 適用区分(附則第2条関係)
改正後の規定は、この法律の施行の日以後に登録基準日がある国民投票について適用し、この法律の施行の日前に登録基準日がある国民投票については、なお従前の例によること。
3 その他
その他所要の規定を整備すること。(衆議院ホームページより)
追記(2021年5月11日)
読売新聞オンライン(「国民投票法と高齢者2割負担、改正案が衆院通過へ」、2021年5月11日配信)は「75歳以上の後期高齢者の医療費窓口負担を所得に応じて現行の1割から2割に引き上げる高齢者医療確保法改正案と、憲法改正の国民投票の利便性を高める国民投票法改正案はそれぞれ、(5月)11日午後の衆院本会議で与党などの賛成多数で可決され、参院に送付される」と報じた。
高齢者医療確保法改正案は、単身世帯で年収200万円以上、夫婦ともに75歳以上の世帯で年収計320万円以上の人を引き上げ対象とし、約370万人が該当する。これにより、後期高齢者医療制度での現役世代の負担は年720億円程度軽減される計算だ。
政府・与党は今国会での成立を目指している。実施時期は、2022年10月から23年3月の間で成立後に政令で定めるとしている。実施から3年間は、負担増を月3000円以内に抑える緩和措置を講じる。
国民投票法改正案は、憲法改正の国民投票の際、商業施設に共通投票所を設けることなどが柱だ。立憲民主党が求めた国民投票運動中のCM規制や外国人寄付規制に関し、「法律の施行後3年をめどに検討を加え、必要な法制上の措置を講ずる」と付則に明記する修正を行い、6日の衆院憲法審査会で可決された。自民、立民両党は今国会での成立で合意している。
追記(2021年5月12日)
時事ドットコムニュースは「憲法改正国民投票の利便性を高める国民投票法改正案は(5月)11日の衆院本会議で、自民、公明、立憲民主各党などの賛成多数で可決され、衆院を通過した」と報じた。
改正案は与野党の修正合意により、CM規制の検討などを付則に明記。2018年の提出から3年を経て、今国会で成立する見通しだ。
参院では、早ければ19日の憲法審査会で審議入り。本会議での採決は6月16日の今国会会期末近くになる見込みだ。成立すれば、自民党は「本丸」の改憲論議に着手したい考えで、立憲など野党との駆け引きが激しくなりそうだ。
改正案は、公職選挙法の規定に合わせ、(1)駅や大型商業施設に共通投票所を設置(2)洋上投票を航海実習中の学生らに拡大(3)投票所に同伴できる子どもの対象年齢を拡大―する内容。与党が日本維新の会などと18年6月に提出したが、採決が行われないまま9国会目を迎えていた。
追記(2021年6月9日)
読売新聞は「憲法改正の国民投票の利便性を高める国民投票法改正案は(6月)9日、参院憲法審査会で自民、公明両党などの賛成多数で可決された。自民、立民両党は今国会で改正案を成立させることで合意しており、(6月)11日の参院本会議で可決、成立する見通しだ」と報じた。
改正案には国民投票の際、商業施設や駅などで投票できる「共通投票所」を設けることや、洋上投票を航海実習中の学生らに拡大することなどが盛り込まれている。(読売新聞、2021年6月9日配信)