高齢期の備え

高齢期の備えを考えます

高齢期の住まい方を考える(10)「独り暮らし(6)衣食住」

2015年09月03日 | 老後と住まい
(続き)トイレに入って便器の近くに移動します。身体機能が衰えてくると今までは何でもない動作が難しくなります。手すりが無いと体の姿勢を保つことができないことがあります。
便器に近づいて、脱衣するときも体の姿勢を保っている必要があります。「衣」の面では簡単に脱衣できる服装や下着を選んでおくことも大切だと思います。
次いで便器に座ることになります。「住」の面でみると、トイレの入り口が便器の正面に位置していると180度体を回すことになりますが、入り口が便器の横側の場合には90度で済むので体の動きを半分にすることができます。住宅を改修する機会があるときには、できれば入り口と便器の位置が90度になるようにすると良いと思います。また、福祉用具には便器の着座を助ける器具もあります。ある程度設置スペースが必要ですから事前に検討することが必要です。
用を足すときに時間がかかったりするときもあるでしょうが、その間座った姿勢を保つことが必要です。姿勢を保つことが難しい場合には福祉機器の利用をお勧めします。腕掛けや身体の前に倒してテーブルとして使う器具もありますので検討してはどうでしょうか。ただし、これもスペースやテーブルを取り付ける壁や柱が無いとできません。これも元気のうちにトイレのスペースを広げておくような住宅改修が望まれます。
高齢期の住まいは事前の準備(改修)が非常に大切です。「備えあれば憂いなし」は高齢期の住まいのためにあるような言葉です。また、「その時になったら考えればよい」と思われる方もおられますが、「その時になったら」改修する気力や体力もなくなっている場合が多いのです。(続く)