黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

砧下浄水場02:旧発電棟

2016-06-06 03:25:03 | 産業遺産
前回からアップしている、
近代水道事業の黎明期を伝える施設、
世田谷区の「砧下浄水所」の続きです。
構内の施設は東京都水道局の許可を得て撮影しています。
通常は構内の見学はできません。外周からの見学は可能です。



前回アップした旧ポンプ棟に隣接して建つのは、
旧発電棟と呼ばれる建物。
全面黄土色のスクラッチタイルで囲み洋瓦を乗せた、
こちらも昭和初期モダンスタイルの典型的な建物です。







特にRが美しい外階段は、
その色とデザインで、この建物を特徴づけます。
決して現代では造り得ない、
この時代ならではの趣を湛える素晴らしい外階段です。






当初、浄水場の電力は、京王電鉄からの購入でまかなわれていました。
しかし、緊急時の対応を考慮して、
自家発電に切り替えられた時に建設されたものです。







外階段の横の壁面に「工竣月八年七和昭 町谷澀」の銘板があります。
澀は渋の旧字。この施設が渋谷町によって造られた証です。
1923年(大正12年)に開業した浄水施設は、
1932年(昭和7年)に東京都の水道局に移管します。
ですので、この施設は渋谷町が運営した時代の、
最後の頃の施設ということになります。


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