黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

砧下浄水場04:その他の施設

2016-06-08 13:45:24 | 産業遺産
前回からアップしている、
近代水道事業の黎明期を伝える施設、
世田谷区の「砧下浄水所」の続きです。
構内の施設は東京都水道局の許可を得て撮影しています。
通常は構内の見学はできません。敷地外からの見学は可能です。



シリーズでアップして来た砧下浄水場の最後は、
その他の施設です。
旧ポンプ棟に隣接して建つ旧事務所棟は、
操業開始の翌年、1924年(大正13年)築といわれ、
窓枠がアルミサッシュに変更されている以外、
操業時の様子を今に伝える貴重な建物です。







かつての濾過池跡。
近年まで使用していたようですが、
ゴミの除去などの効率を考慮して、
今では使われていません。
画像奥の中央に写るのが砂洗室で、
濾過に必要な砂を洗浄する施設。
地味な外観ながら、
操業時の1923年(大正12年)築といいます。







これは取水ポンプ棟のすぐ横にあった水飲場施設。
コンクリートの質や劣化具合からいって、
創建当初の頃のものではないでしょうか。
今では、ほとんど用をなさないほど崩れています。







旧ポンプ棟の近くにある水飲場施設。
こちらも、その意匠から、おそらく創建当時頃のものと思います。







最後は敷地外へ出て、
多摩川河川敷の土手の上にあるとんがり帽子の空気抜き。
多摩川の伏流水を取り込む途中、
水道管の中で膨張する空気を抜いて、
管の劣化などを防止する装置です。



これ以外にも後年に設営された現行の施設がいくつもありますが、
それらは割愛させて頂きます。
これまでアップして来た創建時の記憶を今に伝える建物群は、
劣化が激しいため、内部へは入れない状態となっています。
このまま劣化が進めば、いずれは建て替えられてしまうかもしれません。
しかし、水道事業の黎明期を今に伝える貴重な建物なので、
現代の建築施工技術を駆使して、
なんとか存続させてもらいたいものです。


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