黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

魔窟、新宿センター街~昼

2016-06-10 12:42:32 | 東京 URBEX
世界最大の都市、東京。
その中で最も巨大な歓楽街、それが新宿です。

特に新宿駅の東側一帯は、その全てが歓楽街を形成し、
駅から歓楽街の境界まで、徒歩で15分もかかるほど。
その中には、エリアを区切った小さな歓楽街が点在しています。
西口駅横の思い出横丁、歌舞伎町に隣接するゴールデン街など、
ご存知の方も多いのではないでしょうか。
そんな新宿の中に点在する小規模の歓楽街の中でも、
もっともディープなスポット、それが今回紹介する新宿センター街です。

Google Map
歌舞伎町の核ともいえる風林会館ビルの麓に位置するセンター街は、
Google Mapで最大拡大してもその中に収まってしまうほど小さな歓楽街です。



新宿センター街の入口。
「since1951」すなわち戦後6年が経過した時にできたことになります。
無料案内所に隣接して口を開けるセンター街のゲートは、
新宿一の魔窟への入口です。







メインゲートに隣接するビルは複雑な構造で、
しかも看板や店舗の拡張により、
その全貌を把握することが困難です。







かつて馳星周のベストセラー小説『不夜城』の舞台となった場所で、
金城武主演の映画でも知られます。
センター街内にある中華料理店で働く中国人が、
青竜刀で惨殺された実際の事件をベースにした物語で、
バブル景気で諸国からの移住者が膨れ上がった時代の、
歌舞伎町の話でした。







戦後、駅前の飲食街は付近に移転したのを受けて、
その流れ客をめあてに青線バーが建ち並んだそうです。
現在でも3階の「ちょんの間」が残る店も多いとか。







上の画像の中央の路地を進むと、
そこは昼なお仄暗い妖しげな雰囲気が漂います。







エリアの中央にある構造のよくわからない建物の周囲には、
闇市のバラックを彷彿とさせる店がひしめきます。
ひしゃげたトタンとベニヤ張りの建屋の上に、
様々なゴミが乗る光景は、
とても平成の世のものとは思えません。







きもかわいいギャルのイラストが壁面に描かれた店は、
かつて新宿2丁目の有名店「白い部屋」で働いていた、
かずこさんのお店、「かずこ」。







そして路地の曲がり角には20年以上営業を続ける、
おでんの美味しい「楓」
そして、おかまのママがきりもりする蒼いバラックの「竹千代」
隣接する黄色い麺処は、閉店して久しく経ちます。

エリア全体が戦後からの様々なダークサイドを体現して来たセンター街は、
ひとたび足を踏み入れた瞬間から異界へ彷徨いこんだかのような錯覚を覚えます。


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