1月6日の日経に大変良い論文が掲載されていた。その内容は現在の日本の大学教育の問題点を指摘しているのだが、納得できる事が大変多い。日本の大学は勉強する所ではなく、レジャー化していると昔から言われている事が、今の日本の国力低下に繋がっている。
この良い論文については、3回に分けて紹介していきたい。
筑波大学の教授が書いたこの論文の表題は「『教育の空洞化』克服を」で、サブの表題に「日本の大学よ変われ」とあるが、この論文を読んだ印象では、「空洞化」よりは「変われ」の方が重要なメッセージかと思われる。
一つ目の問題点は、明治時代から始まった大学での”詰め込み教育”が、戦後も続いていると云う事である。明治から大正に掛けては、欧米に追い付け追い越せで、トニカク欧米の知識が技術を習得する事が最優先であった為、”詰め込み教育”が一番必要だった時期であろう。その点では仕方がない面もある。そしてその頃の学生は、かなり勉強していた様で、学外での勉強時間も長かったとの事である。この”詰め込み教育”が、日本の小学校から大学まで行き渡っている事が、大変大きな問題であろう。
二つ目の問題点は、戦後に始まった新制大学の発足時に参考とした、アメリカの制度を理解出来なかった事にあるとの事である。具体的には、アメリカでは19世紀末に大学教育の近代化の過程で、学生の主体的な学習を理念として形成されたとある。その方法は、「1週間に2~3回の授業からなる授業科目(course)、双方向の授業、必読文献、授業助手(TA)、小テスト(quiz)など授業の様々な『しかけ』が形成されていった」とある。
チョット分かり難いかもしれないが、1学期(Semester)の4か月弱の期間に、通常4回のテストがあり、その間に小テストや複数の書物を読み、レポートを出す必要があり、これらをこなす場合、結構忙しくなる。そして通常1学期内に4~6個のコースを受講する。、例えば5コースを受講する場合、月水金は各1時間を3コース、火木は各1,5時間を2コース受講するパターンが多い。毎日3時間の授業を受け、残りの時間は勉強や、学生の仲間とのコミュニケーションである。
一方日本の大学では、週に1回1~2時間のクラスを沢山受講するの為、1学期に20単位以上を受講し、多くの学生は3年で必要な単位をほぼ取得する。そして4年目は就職活動が中心になってくる。また授業に出席しない学生が大変多く、授業がキャンセルになる事も少なくない。アメリカでは授業がキャンセルになる事は殆ど無いのだが...。
三つ目の問題は、二つ目と絡めて考える必要がある。この論文には日本の大学生の授業以外の学習時間の分布をグラフ形式で掲載しているのだが、週にゼロ時間から2時間以内の勉強時間の学生はほぼ半数近くで、75%以上の学生が、5時間以下の勉強時間した取っていないとの事である。学外で勉強をしない分、日本の学生はアルバイトの精を出している一方で、アメリカの学生は”詰め込み”ではない勉強をしている。その結果が、今の国力の差になってはいないだろうか?
(11日に続く)
この良い論文については、3回に分けて紹介していきたい。
筑波大学の教授が書いたこの論文の表題は「『教育の空洞化』克服を」で、サブの表題に「日本の大学よ変われ」とあるが、この論文を読んだ印象では、「空洞化」よりは「変われ」の方が重要なメッセージかと思われる。
一つ目の問題点は、明治時代から始まった大学での”詰め込み教育”が、戦後も続いていると云う事である。明治から大正に掛けては、欧米に追い付け追い越せで、トニカク欧米の知識が技術を習得する事が最優先であった為、”詰め込み教育”が一番必要だった時期であろう。その点では仕方がない面もある。そしてその頃の学生は、かなり勉強していた様で、学外での勉強時間も長かったとの事である。この”詰め込み教育”が、日本の小学校から大学まで行き渡っている事が、大変大きな問題であろう。
二つ目の問題点は、戦後に始まった新制大学の発足時に参考とした、アメリカの制度を理解出来なかった事にあるとの事である。具体的には、アメリカでは19世紀末に大学教育の近代化の過程で、学生の主体的な学習を理念として形成されたとある。その方法は、「1週間に2~3回の授業からなる授業科目(course)、双方向の授業、必読文献、授業助手(TA)、小テスト(quiz)など授業の様々な『しかけ』が形成されていった」とある。
チョット分かり難いかもしれないが、1学期(Semester)の4か月弱の期間に、通常4回のテストがあり、その間に小テストや複数の書物を読み、レポートを出す必要があり、これらをこなす場合、結構忙しくなる。そして通常1学期内に4~6個のコースを受講する。、例えば5コースを受講する場合、月水金は各1時間を3コース、火木は各1,5時間を2コース受講するパターンが多い。毎日3時間の授業を受け、残りの時間は勉強や、学生の仲間とのコミュニケーションである。
一方日本の大学では、週に1回1~2時間のクラスを沢山受講するの為、1学期に20単位以上を受講し、多くの学生は3年で必要な単位をほぼ取得する。そして4年目は就職活動が中心になってくる。また授業に出席しない学生が大変多く、授業がキャンセルになる事も少なくない。アメリカでは授業がキャンセルになる事は殆ど無いのだが...。
三つ目の問題は、二つ目と絡めて考える必要がある。この論文には日本の大学生の授業以外の学習時間の分布をグラフ形式で掲載しているのだが、週にゼロ時間から2時間以内の勉強時間の学生はほぼ半数近くで、75%以上の学生が、5時間以下の勉強時間した取っていないとの事である。学外で勉強をしない分、日本の学生はアルバイトの精を出している一方で、アメリカの学生は”詰め込み”ではない勉強をしている。その結果が、今の国力の差になってはいないだろうか?
(11日に続く)