《穏やかな夏休み》
それから長い夏休みに入り、近所の子たちが、
毎日のように朝から来る日が続きました。
長男は高2でバンドやバイトに明け暮れ、
次男は中2で、夏休みに申し込んだいろんな体験活動に参加するために、宿題に追われる日々。
長女は5年生で、バスケ部に入っているので、毎日部活で週末の度に試合という日々。
お盆も試合が入ったので、のんびりした夏休みとは程遠い生活。
それぞれが、それぞれに忙しい夏休み。
ただ一人、毎日遊びたくってしょうがない3歳の末っ子。
そんな末っ子をダシにして、近所の小学生が、朝も早くから、ピンポ〜ン♪
「kくん、遊べますか?」
と言って、遊びに来てくれる。
近所の小学生と言っても、3、4年の子達。
うちの庭にある、プレイハウスであそんだり、ブランコしたり、
時々犬を撫でたりして、思い思いに遊びたくてやってきます。
ゲーム持ってきて、ゲームする子もいれば、
飽きると「隠れんぼしよう」って、布団部屋で隠れんぼしたり。
暑ければ、水鉄砲で水かけ戦争したり、
「空き地で虫取りしよう!」って、子供達皆んなで虫取り行ったかと思うと、
大量のカエルを虫かごいっぱいとって、庭に置いて帰る子供達。
捕まえたクワガタ同士戦わせたり。
トンボにチョウチョ、バッタにコオロギ。
「クワガタ見に行こう!」「昆虫ゼリー仕掛けて、夜見に行こう!」って約束したり。
毎日毎日、どこかに連れて行かなくてもいいくらい、楽しく楽しく遊ぶ子供達。
おやつも毎日何人ぶんも用意したり、
末っ子は、濡らしてばっかりで何度も着替えしたり、
大変ではあったけど、末っ子にとって、今日が終わると
「ゆうちゃん、あしたの9時にあそぼうって」
「きょうはあした?」
朝起きると、
「いまなんじ?」
「もう9時?」
ピンポ〜ン♪ってなると、飛んで外に飛び出す息子。
もう、毎日いっぱい遊べるのが楽しくて仕方がない。
特に、特に隣の4年生のゆうちゃんが大好きで、
「今日はゆうちゃんくるかな〜」って、楽しみで楽しみで。
ゆうちゃんは大人しくて、あまり自己表現するタイプの子ではないけれど、
息子にはすごく優しく、でも、対等に扱ってくれる、
とっても優しいお兄ちゃん。ゆうちゃんと一緒なら、大人がついてなくても、
安心して遊ばせられる、そんな子で、ゆうちゃんには、ホントに助けられてるのです。
近所の子達が、息子のお兄ちゃん、お姉ちゃんになって、面倒を見てくれます。
私は、見守るだけ。
うちの中で、自分の仕事をし、時々呼ばれれば外に出て、
怪我したといえば、絆創膏貼り、様子見て、おやつと水だして。
朝の掃除と片付けだけはしっかり頑張るけど、
あとは頑張らないので、ゆったりと、穏やかに、
子供達の笑い声を聞きながら、過ごす毎日でした。
そんな夏休みも終わり、
毎日遊びに来ていた子達も、
学校が始まると、宿題で忙しいのか、遊びに来なくなりました。
夏休みの終わりに、となりのゆうちゃんが言い残した
「あしたの4時半にあそぼうね」
と言う約束が叶えられず、
「いまは4時半?」
「きょうの4時半にはゆうちゃんあそべるかなあ・・・」
でも遊べない日々。
そんなある日。
ゆうちゃんを待って、庭で遊んでいると・・・
「あ!なんか見たことある人だ!」
「なにここ!」
庭の奥から、やんちゃそうな顔をした二人組の小学生が姿を現した。
つづく・・・