<二人の少年>
ある日突然庭に現れた二人の少年。
彼らは、夏休み前にクワガタ取りに来てた子達だった。
「あれ?なんか見たことある人だ!」
「何ここ?すげえ。」
「誰が作ったの?」
矢継ぎ早に質問してくる子供達。
「ここ、好きなように遊んでもいいよ。」
「この小屋は、お父さんが子供の遊び場にするために作ったんだ。」
「いつでも、遊びに来ていいよ。」
と答えると、
「小屋、入っていいですか?」
「犬、触れる?」
一応礼儀正しく聞いてくる子供達。
なんで隣の空き地から出てきたのか聞くと、
どうも、まだクワガタいないか探しに来たらしい。
だけど、クワガタはいないし、川沿いは工事中だし、
ぶらぶらしてたら、うちの隣の空き地を見つけ、
空き地に入って奥まで行ったところで、
うちの庭を発見したんだとか。
うちの庭は、川沿いからはそんなに目立って見えないので、
偶然うちの庭を発見したというのも、すごい出会いだな、
と思ったのでした。
二人は、
「小屋の中を掃除してあげる」
「俺たち、掃除得意なんだ!」
「ほうきありますか?」
と言って、もくもくと小屋の掃除を始めた。
娘が、友達とちらかしっぱなしにしていた小屋の中は、
見違えるようにきれいになりました。
「なんか暗いな〜」
と言うので、手回しのランタンを渡すと、
「これ、いいね〜」って。
かけるところが欲しいというので、
釘とトンカチ渡して、
「適当に釘打っていいよ」
というと、早速、トントンやり始める。
「小屋に、鈴とか、ベルとかあればいいのにな〜」って言うので、
風鈴を渡すと、「お、これいいじゃん!」って、
また釘で風鈴打ち付けて。
「前のと、今のと、どっちがいい?」って聞くので、
「今の方がいいと思うよ。」
っていうと、満足げで、一通り遊ぶと、「じゃあね〜。」
と、風のように去って行ったのです。
《悪ガキ三人組》
その子たちは、それから毎日来るようになった。
一人は、ボス。大人が怒るのなんかへでもない。
かっとなってキレると、手も出る足も出る。
ただ、突拍子もないアイディアで、次々遊びを考え出していく子。
もう一人はスネ夫。
同じように、大人の言うことはちっとも聞かないし、
調子に乗ると、危険なことまで平気でやらかしちゃう子。
そして、彼らに連れられてやってきたジャイアン。
体格がよくて、乱暴者。長い棒を振り回して威嚇したり、
他の子達は、びびってしまいます。
そんなスネ夫が、
小屋の中に置いてあった一斗缶を見つけて、
「これなんですか〜?」
と言うので、
「ロケットストーブって言って、木が、よく燃えるストーブだよ。つけてみようか?」
と言って、剪定した木切れを差し込み、火をつけると、
じきに、ゴ〜という音とともに勢いよく燃え始めました。
スネ夫は火に魅了され、息子とともに、
木の枝の先に火をつけて遊びだします。
振り回したり、他の子に火のついた枝先が行くと危険なので、そ
の辺は声かけながら、注意しながらの火遊びです。
スネ夫はその後も、「火つけて〜」と、火遊びにはまってましたが、
「大人がいる時しか火はつけられないし、私が忙しい日は、火はつけないよ」と伝えました。
それからは、ノコギリとトンカチと釘を買い足し、端材をもらってきて、
子供たちに自由に使わせました。
男の子がまず作るのは剣。
みんなで競うように剣を作りました。
悪ガキ三人組の他に、
もともとうちに遊びに来ていた近所の子達も再び来るようになり、
多いときで11人の子どもが庭に集まるようになりました。
ノコギリの使い方がうまくなかった子も、コツを教えると、
だんだん上手くなっていきました。
でも、悪ガキ三人組が来ると、
遊び場は彼らに仕切られ、
プレイハウスも彼らの物のようになり、
我が物顔で好きなように作り替えてしまいます。
そのうち、
「あいつらなんか来なければいいのに・・・」
と言う声が聞こえるようになりました。
つづく・・・
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