3月7日に日本原燃に再処理工場中止の申し入れに行った際行った公開質問に対し、文書での回答がきました。
そのまま公開します。
福島第一原発事故をうけても何ら姿勢は変わってません。
高レベル廃液、大量の使用済み核燃料をこんな会社が扱っているのかと思うとその危機意識のなさと開き直りっぷりに恐ろしくなります。
今回の試験開始早々にトラブルで行き詰まったガラス溶解炉については、「安全上の問題は一切生じてない」との回答。操作の習熟度の問題だとしている。ほとんど使ってなかったのにもうレンガがはがれ落ちたり、流れが悪くなると無理矢理棒でつっつき、ひんまがって抜けなくなったりとか、全く安全とは思えない。
その他の回答も、原燃側のこれまでの姿勢を繰り返すだけで、質問に対し答えがかみあっていないものが多いです。
再処理工場がもし本格操業すれば、1日で原発1年分の放射能を空や海に垂れ流します。
もし事故がおき高レベル廃液が漏れれば、その被害は福島原発事故の比ではありません。
みなさん、これらの回答に納得できますか?
では、以下長いですが、よく読んでみてください。
------------------------------
公開質問への回答
2012 年3 月14 日
日本原燃株式会社
広報・地域交流室
Q1).現在、試験再開に向けた準備はガラス圃化の不調で中断していますが、今後の見通しはどうなっていますか?
A).流下速度が徐々に遅くなったことをうけ、直棒による回復操作等を行ったものの、流下性の回復に至らなかったため、異物除去装置を用いて流下ノズル内部の流路を確保する作業を2 月1 3 日から2 月1 5 日に行い、 3 月4 日からガラス溶融炉B 系の再熟上げを実施しています。
今後、事前確認試験を確実に実施するため、炉内のガラスをすべて抜き出し、流下状況や抜き出した後の炉内の状況などを確認するとともに、炉内を一度、きれいにしたいと考えています。さらに、採取したサンプルの分析結果も踏まえ、流下性が低下した原因究明をしっかりと行った上で、事前確認試験を開始したいと考えています。
なお、ガラスを流下した際に、再度、流下性が低下することも考慮し、回復作業のために先端の構造や材質を改良した直棒もあらかじめ準備しました。また、必要に応じて、今回と同様に異物除去装置による除去作業を行うことも考えています。
Q2).本格稼働の予定は今年10 月と、あと7 か月しかありませんが、その予定に変わりはありませんか?変わらないとすれば、今後のスケジュールを教えてください。
A).震災で1 0 ケ月程度の試験の中断があり、今回の異物除去作業でさらに期間を妾することから、工程がさらに厳しくなっていることは事実です。
しかしながら、現時点で1 0 月しゅん工という目標を変える考えはありません。なお、工程については、今後の作業や事前確認試験の状況を踏まえ、精査していきます。
Q3).これまで、2006 年3 月の試鼓開始からだけでも、すでに9 回予定が延期されていますが、延期されたことによりどれくらいの損失(新たな費用)が発生していますか?それは電気料金から賄われているのでしょうか?
A).電力会社との契約に基づく内容ですので、回答は差し控えさせていただきます。
Q4).ガラス園化の炉をフランス型にすることは検討していないのですか?このガラス同化の技術的問題は、小手先を変えるだけでは解決不可能であり、炉そのものを変えない限り、安定して使えるものではないことは明らかではないでしょうか? 抜本的な変更は全く検討していないのでしょうか?
A).現在、六ヶ所再処理工場で試験中のガラス溶融炉については、安全上の問題は一切生じていません。
流下停止などの事象は、ガラス同化設備の問題というよりも、設備の操作方法の習熟の問題と考えています。
KMOC 試験等で得られた安定運転の成果を実機に適用し、 KMOC と実機との比較評価を確実に行うなど、安全を最優先にひとつひとつ着実に進めていきます。
また、数年後のガラス溶融炉の更新については、新しい溶融炉の開発についても、併せて進めているところであります。
Q5).福島事故により、海への放射能汚染も大きな問題になりました。また、原子力規制行政がこれまでの経済産業省から環境省に管轄が移り、放射能による環境や人体の健康への影響の規制も厳しくなること予想されます。貴社はこれまでに行ってきた以上の何らかの環境・
健康対策を講じる予定はありませんか?
A).再処理工場では、国の規制を守ることはもとより、一般公衆への影響をできるだけ少なくするため放出量の低減を図っていますが、一部除去できないものについて、放出管理目標値を定め、これを超えないよう管理するとともに、放出された放射性物質は、大気や海水により拡散・希釈され、年間8 0 0 t の使用済燃料を再処理した場合に環境中に放出される放射性物質による人体への影響は年間約0. 0 22mS v と評価されており、法令で定める一般公衆の線量限度の年間1mSv を大きく下回るものです。
Q6).再処理工場をはじめとした核燃サイクル施設の直下に活断層があるとの指摘がありますが、貴社としては再調査する予定はありませんか? もし予定がないとすれば、活断層はないと断言できるということでしょうか?
A).当社は、文献調査、地表地質調査、変動地形学的調査、地球物理学的調査等を実施し断層活動性について検討を行っており、特に敷地近傍については、反射法地震探査等も駆使して詳細な調査を実施し、出戸西方断層以外に耐震設計上考慮する活断層が存在しないと判断しています。また、敷地内についても、ボーリング調査、試掘坑調査等、詳細な調査を実施し、敷地内に耐震設計上考慮する活断層は存在しないことを確認しています。
これら当社の評価結果については、原子力安全・保安院殿より、妥当であるとの判断を頂き、また、原子力安全委貞会殿より、原子力安全・保安院の審議結果は適切であるとの判断を頂いております。
今後も情報収集に努め、新たな知見については今後の評価に適切に反映し、検討してまいります。
Q7).福島第一原発の事故を受けて、貴社はシビアアクシデントとしてどのような最悪の事態を想定していますか?下記のa.b.c それぞれについて、次の三つの場合を想定して回答をお願いします.
・電源がすべて喪失した場合・水素爆発が起こった場合・大量の放射能が漏れ出した場合
a.使用済核燃料プール
b.高レベル放射性廃液貯蔵タンク
c.溶融炉など、その他施設
A).福島第一・第二原子力発電所等の事故を踏まえて、原子力安全・保安院から指示があった再処理施設の緊急安全対策(電源が全て喪失した場合の対応、水素の滞留防止、高レベル廃液貯格等の崩壊熟除去等)については、既に妥当であると評価をいただいています。
また、昨年の1 1 月2 5 日に原子力安全・保安院から「東京電力株式会社福島第一原子力発電所における事故を踏まえた核燃料サイクル施設の安全性に関する総合評価の実施について」の指示を受け、現在、検討を行っています。
Q8).現在、高速増殖炉(もんじゅ)やプルサーマル計画は現在見通しがまったく立っていません。また、プルサーマルについては使用するプルトニウムは、まずは海外で保管されていたものから使う予定になっているはずです.従って仮に貴社の再処理工場がなんとか稼働してプルト二ウムをとりだしても、使い道が全くないのではないでしょうか?貴社として製造したプルトニウム(燃料)を、いつ、どのように使う予定でしょうか?
A.プルトニウム利用計画については、電気事業者により検討される内容なので、当社からはお答えする立場にありません。
Q9).貴社の社長は、再処理工場解体に「約1.4 兆円かかる」(1 月31 日毎日新聞)と発言していますが、その内訳を教えてください.その解体の期間はどれくらいになりますか?また、仮に本格稼働した場合は、その解体の金板に変更はありませんか?
A).再処理工場解体費用については、解体費、廃棄物処理費、廃棄物輸送費、廃棄物処分費から構成されております。また、解体期間については約30 年程度を想定しています。本格稼動した場合の解体費用については、今後の検討で変動の可能性はあるものの、現時点では変更はないものと考えています。
Q10).再処理工場を閉鎖した場合、貴社にはどのような影響がありますか?
A).仮定の話にはお答えしかねます。
追加質問への回答
Q1).高レベル廃液蒸発缶温度計穴あき加圧運転について安全性はどうか。
A).濃縮缶を設置しているセルは、高放射線環境で遠隔による保修作業の実施が必要で、使用する機器の選定等にも制約(高線量、距離が1 2m、狭陰部がある)があることから、技術的成立性の観点で復旧方法の検討を行った。その結果、加圧方式を採用することとしました。
また、温度計交換時に温度計の汚染が問題となることから、技術的成立性を確認したうえで、温度計汚染防止用管挿入方式を採用することとしました。
加圧システムは加圧する圧力を一定の範囲で管理することとしており、加圧が原因で損傷箇所が拡大するということは考えにくい。
さらに、腐食により損傷箇所が進展した場合でも、加圧システムにより必要な圧力を加圧することで保護管内への液浸入がないことを評価により確認しています。
Q2). R-モニターの異常波形について
溶接のノイズとのことだが、これではモニターの役目を果たしていないのではないか。
→2009 年3 月10 日の「再処理工場排水モニタ異常ピーク出現に関する質問状」に対する回答(2009 年4 月10 日送付)と同様、また、 2 月7 日にもN 様から電話で聞合せがあった際に回答しましたが、回答は以下のとおりです。
A). 1 月25 日から2 月16 日のR- [再処理工場]第1 放出前貯槽排水モニタ指示値の一時的な上昇は、モニタ近傍で工事をしていた際の溶接機からのノイズの影響や非破壊検査によるものです。これらの作業については、作業の実施時間帯、実施内容についてあらかじめ把握して実施するとともに、モニタの指示値に変動があった場合は、その都度、工事の影響によって変動したものか確認をしています。今後も、溶接機等の使用によるモニタの指示値に変動が想定される作業等を実施する場合は、あらかじめ当社のホームページにテロップでその旨を表示するなどの対応をいたします。
なお、放射性液体廃棄物を海洋へ放出する際は、放出前に放射性液体廃棄物中の放射性物質の濃度及び量を測定し、管理目標値を超えないことを確認した後、海洋へ放出しています。
Q3).大地震の際、高レベル廃液の冷却水パイプの破断とその対策について
→昨年4 月26 日の緊急要請.質問状に回答(6 月3 日送付)しましたが、回答は以下のとおりです。
A). 六ヶ所再処理工場では、高レベル廃液を取り扱う機器や配管は、十分な耐震性を有するように設計されており、 「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針(H18.9. 19 改訂)」に基づいて定めた基準地震動Ss に耐えることを確認しております。
Q4).高レベル廃液が冷却できなくなった場合、放射能を外部にもらさない最後の手段が考えられているのか。
→昨年4 月26 日の緊急要請・質問状に回答(6 月3 日送付)しましたが、回答は以下のとおりです。
A).六ヶ所再処理工場では、高レベル廃液を取り扱う機器や配管は、十分な耐震性を有するように設計されており、 「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針(H18.9. 19 改訂)」に基づいて定めた基準地震動ss に耐えることを確認しております。
高レベル廃液の貯樺のうち、 (崩壊熟を除去する機能が停止した場合、崩壊熟により溶液が沸騰するおそれがあり、 )崩壊熟除去が必要な高レベル濃縮廃液貯槽、不溶解残達廃液貯漕、高レベル廃液共用貯槽等は、 2 系列の冷却コイルや冷却ジャケットを設置し、安全冷却
水系の冷却水で冷却を行っています。
安全冷却水系は独立した系統を2 系統設け、各系統の動的機器(外部ループの冷却水循環ポンプやの内部ループの冷却水系ポンプ)については故障しても支障をきたさないよう二重化しており、仮に1 系統に故障が発生したとしても冷却能力が維持されるようにしていま
す。
また、この安全冷却水系への電源は、通常は外部電源系統より給電していますが、外部電源系統(2 系統)が停電した場合には非常用所内電源系統の非常用ディーゼル発電機(2 系統)が自動起動し、この非常用ディーゼル発電機より給電されるようにしています。
また、全交流電源を喪失した場合には、電源車を繋ぎこんで、 1 系列の冷却塔と冷却水循環ポンプの機能を確保することを考えております。
なお、安全冷却水系の内部ループに設置されているポンプ等が故障した場合には、熱交換器をバイパス(迂回)させることにより外部ループから内部ループへ冷却水を直接供給可能であり、外部ループのポンプが故障した場合には、使用済燃料受入れ・貯蔵施設の安全冷却
水系の1 系統から再処理施設本体の安全冷却水系外部ループに冷却水を供給することが可能です。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます