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ストレスの9割はコントロールできる、心を整える習慣とコツ

2021-09-27 08:30:00 | 日記

下記の記事はダイアモンドオンラインからの借用(コピー)です

レビュー
「ストレスはありますか?」という質問には、ほぼ100%の人が「YES」と答えるのではないだろうか。ストレスはあまりに身近な存在で、私たちは常に「ウィズ・ストレス」な生活を送っている。
『ストレスの9割はコントロールできる』 鎌田 敏著 明日香出版社刊行 1650円(税込)
 適度なストレスは脳を活性化する、という学術的見解もあるが、あまりに増えすぎたらどうなるか。本書『ストレスの9割はコントロールできる』の著者である鎌田敏氏は、バブル経済の崩壊によるリストラ、阪神・淡路大震災など、数々の「想定外の出来事」に襲われる中、パニック障害を発症して長く苦しんだ経験を持つ。しかしその後「人生は心のあり方ひとつでガラリと変わる」ことに気づき、今ではメンタルヘルス講師として全国各地で講演・研修活動を行っている。
 長引くコロナ禍において、ゴールの見えないマラソンを延々と走らされているような状況に、心身ともに疲弊している人は多いだろう。しかし、それでも前を向いていかなければならないのが人生だ。ならばできるだけ楽しみながら、ポジティブに生きたいと思うのが人情だろう。
 本書では、ストレスを溜めないための考え方や行動習慣、心身を整えるコツなどが、テンポよく紹介されている。著者は、コントロールできることにフォーカスすることが、ストレス管理のポイントであると説く。「想定外の出来事」や「他者」はコントロールできなくても、自分の心持ちはコントロールできる。日々の生活が少しでも楽しいものになるように、ストレスフルな毎日を送るすべての方に届いてほしい一冊である。(矢羽野晶子)
本書の要点
(1)ストレスは日常のちょっとした行動や気持ちに紛れている。小さなストレスサインを見逃さず、早めに対処していくことが重要だ。
(2)苦しみや悲しみの感情を手放すためには、「『今、ここ』に集中する」「目標に集中し、行動する」「ポジティブな宣言をする」の3つの方法が効果的である。
(3)相手をコントロールすることはできないが、関係性は変えられる。人間関係に悩んだら、相手との距離感にフォーカスしてみよう。
要約本文
◆ストレスサインを見逃すな!
◇心と身体の声に耳を傾ける
 著者は、パニック障害による発作に襲われて、救急車で病院に運ばれたことがある。身体からの「小さな悲鳴」が聞こえていたのに、「ちょっと疲れているだけ」「栄養ドリンクを飲めば大丈夫」と無視しているうちに、発作という「大きな悲鳴」になってしまった。
 朝目覚めたときから疲れを感じる、イライラすることが多くなった、なぜか涙が出る、お酒の量が増えた、動悸がする、人と会うのが億劫になった……このように、身体の小さな悲鳴は、日常のちょっとした行動や気持ちの中に紛れている。心と身体の声に耳を傾け、早めにキャッチして対処するようにしてほしい。
◇ストレスの段階的反応と対処法
 ストレス反応には段階があり、それぞれに応じた対処が必要である。
 たとえば、人前でスピーチをすることになったとしよう。スピーチは、ストレスを引き起こす原因、「ストレッサー」になりえる。だが、スピーチをすると聞いて「目立つチャンスだ」とワクワクする人もいれば、「緊張する」と憂鬱に感じる人もいるはずだ。同じストレッサーでも、それを受け止める「認知」は人によって違う。
 スピーチを憂鬱に感じた人は、スピーチの時間が近づくとドキドキし、手のひらに汗をかき、ソワソワしてウロウロしはじめ、ますます憂鬱になって逃げだしたくなるかもしれない。この場合、スピーチが近づいてドキドキすることを「情動的興奮」、その後、手のひらに汗をかいたりウロウロしたりすることを「身体的興奮」という。ストレス反応は、ストレッサー→認知→情動的興奮→身体的興奮という段階を経る。
「ストレッサー」の対処法は「改善」だ。ここでは、「スピーチの練習をする」「他の人に代わってもらう」などが該当する。
 次の「認知」では、「受け止め方を変える」というアプローチが有効だ。スピーチを「上達する機会」「多くの人に自分を知ってもらうチャンス」などと、前向きに受け止める。
 続いての「情動的興奮」や「身体的興奮」には、リラクゼーションがいい。深呼吸やストレッチなどを行い、ストレス反応に対処する。
 ストレッサーには、コントロールできるものとできないものがある。取引先の相手にミスを何度も指摘されて怖くなり、苦痛を感じているとしよう。「改善」としては、ベテランの先輩に同行訪問してもらう、ミスを繰り返さないように丁寧に仕事をする、場合によっては担当を代えてもらうことなどが挙げられる。一方で、取引先の相手に、ミスを指摘しないようにお願いすることはできない。
 まずは対処できるものを明確することが大切だ。
◇ストレスの正体
 あなたが何かにストレスを感じたとき、本当の原因は別にあるかもしれない。
 営業担当者であるAさんは、上司から設定された営業数字目標に対してストレスを感じ、「こんなの無理だ」「全然やる気が起きない」と思っている。一方Bさんは、数字を自分で設定して、「これを達成したら、地域一番店になれる」と目を輝かせている。Cさんは「営業スキルの向上になるし、お客様とのつながりも広く持てる」と、上司から与えられた営業数字目標の達成に意欲的だ。
 Aさん、Bさん、Cさんの目標数字が同じでも、その数字にストレスを感じているのはAさんだけだ。その原因は、数字ではなく「納得感のなさ」にある。このような場合は、納得できる数字目標を設定できるように上司にかけあったり、達成して得たいことと得られることを一致させたりすることが改善のカギとなる。
 何がストレスの原因となっているかを、正確に把握しよう。
◆ストレスを溜めやすい人の特徴
◇承認欲求が強い人
 誰しも「人に良く思われたい」という欲求を持っているものだ。しかしその気持ちが大きすぎると、見栄を張ったり、人の目ばかりを気にしたりして、ストレスが溜まってしまう。必要以上に時間やお金を費やしたり、ウソをついてしまったりして、後悔や自己嫌悪に陥ることもあるだろう。
 人目を気にしすぎないようにするコツは、他者に感謝したり、「いいね」したりすることだ。「俺が」「私が」の「が」(我)を捨てて、相手を受け止めてみる。すると、あなたも自然と相手から受け止めてもらえるようになるだろう。誰かからの「いいね」を待つのではなく、自分で自分に「いいね」してあげることも大切だ。
◇自己主張をしない人
 人に合わせられる人は、気遣いができて心の優しい人だ。しかし、空気を読みすぎて、自分の本心を押し込めるあまり、ストレスが溜まってしまっていないだろうか。
 そんなあなたには、「アサーティブ・コミュニケーション」を身につけてほしい。アサーティブ・コミュニケーションとは、相手を傷付けず、かつ自己主張もしっかりするコミュニケーションをいう。その手法のひとつである「DESC法」は、D(Describe:事実を客観的に描写して伝える)→E(Express:相手の気持ちを尊重しながら、自分の気持ちを伝える)→S(Specify:相手に望むことを丁寧に提案する)→C(Choose:選択肢や代替案を示す)の順番で、自分の考えや状況を伝えていく方法だ。
 たとえば、仕事が山積みなのに、上司に突然「今日の16時までにこの資料を仕上げてほしい」と言われたとしよう。DESC法を使うと、次のように対応できる。
「16時までに仕上げないといけないのですね。実は私も急ぎの仕事を抱えています(D)。お手伝いしたいのですが今は時間が取れないので、どうしたらいいか困りました(E)。今私が抱えている仕事が明日でよければ対応できますが(S)。もしくは、他に対応できる人を探しましょうか(C)?」
 これなら、相手も自分も傷つかず、かつ建設的なコミュニケーションができる。
◆ストレスを溜めない思考法
◇自分をほめる
 ストレスを溜めないために、自分をほめることを心がけよう。人生は楽しいばかりでなく、辛く悲しいときもあるし、ときには誰かを傷つけてしまうこともあるかもしれない。それでも前に進むために、まずは懸命に生きる自分をほめるのだ。
 自分で自分をほめるコツは、「いいところ探し」をすることだ。今日はこんなことをがんばった、Aさんに喜んでもらえた………と、自分のいいところを探してほめれば、自己肯定感が高まる。一日を振り返って、自分の行動を3つ、ほめてみよう。
◇ネガティブな感情を手放す
 苦しみや悲しみの感情を手放すのは難しいかもしれない。だが、そうした感情にとらわれすぎず、目指す方向に動き出すことが、ストレスを溜めないコツだ。
 とらわれすぎている状態を手放す方法は、3つある。まずは「今、ここ」に集中すること。不安が襲ってきたときは「掃除に励む」「漫画を読む」「呼吸に意識を向ける」など、不安以外のものに集中する。
 2つ目は、目標に集中し、行動すること。著者が営業の仕事をしていたとき、目標が達成できず、焦りと不安に襲われていた。そこで、数字ではなく成約の本数を目標にし、目標に向けて努力することにした。すると、小さな数字でも1本は1本として、ひとつひとつのつながりを大切にすることができ、顧客が増えて、目標数字も達成できた。望ましい未来の実現に向けて集中することで、焦りや不安を手放すことができたのだ。
 3つ目は、ポジティブな宣言をすること。自ら宣言することでネガティブな思い込みを手放し、願いを叶えるべく潜在意識に働きかけることを「アファーメーション」という。受験勉強のときに「必ず合格するぞ!」「やればできる!」などと言葉にしたり、書いた紙を机の前に貼って眺めたりするのも、アファーメーションの一つだ。
◇相手に期待しすぎない
 ストレスを溜めないためには、相手に期待しすぎないことも大事だ。その上で、「してくれなかったこと」ではなく「してくれたこと」に意識を向けて、相手に感謝することを心がける。
 とはいえ、あなたがリーダーなら、部下には期待通り動いてもらわないと困るだろう。実際、リーダー研修では、「部下が思うように動いてくれない」という意見が多くあがる。しかし研修で対話を進めていくと、「これくらい言わなくてもわかるだろう」「私の依頼から手をつけるのは当然だろう」などという、無意識の思い込みがあったことに気づく。無意識の思い込みがあるために、自分が考えていることを相手に伝えられておらず、部下は「そんなこと聞いていない……」と理不尽に感じるのだ。
相手に多くを求めすぎず、期待している内容をきちんと言語化して伝えよう。お互いにストレスが減るはずだ。
【必読ポイント!】
◆ストレスを溜めない行動習慣
◇コントロールできることに集中する
 ストレスと上手に付き合うためには、モヤモヤ・イライラしていることを紙に書いて「見える化」するといい。紙に書き出すことで、「コントロールできるストレス」と「コントロールできないストレス」に仕分けられるからだ。また、雑然としていた心の状態をきちんと整えて、眺め直せるというメリットもある。
 未来がどうなるかは、誰にもわからない。わかっているのは「今と違う」ということだけだ。未来はコントロールできないのだから、とらわれすぎないようにしよう。
 これはもちろん、未来を考えるなということではない。望ましい未来を思い描き、そのために今できることに力を注ぐのは、大切なことだ。コントロールできる今の行動が、未来をつくっていくのである。
◇人間関係の距離を整える
 人間関係には、いいときもあれば悪いときもある。このことを知っていれば、悪いときはコミュニケーションの量を減らしたり、心理的距離を遠ざけたりして、ストレスを減らすことができる。
 また、相手を変えることはできないが、「関係性」はコントロールできることも覚えておきたい。人間関係に不快を感じるときは、相手ではなく、相手との「距離感」にフォーカスしよう。
 著者は以前、会社に中途入社したての頃、よく上司に誘われて2人でお酒を飲みに行っていた。しかし、上司の話題は会社への不平不満ばかりで、だんだん苦痛になってしまった。そこで著者は、次のような行動にでた。
(1)グチが始まったらお店のマスターと話す「共感しません作戦」
(2)仕事の話にすり替える「話題変更作戦」
(3)忙しい振りをして誘いを断る「嘘も方便作戦」
(4)上司が不満を持つ相手と仲良くして、誘いづらくする「脱派閥作戦」
 距離感の変化を相手に悟られても構わない。相手にどう思われるかよりも、自分のストレスラインを超えない程度に、自分から相手との距離を整えることのほうがもっと大切だ。
一読のすすめ
 心が疲れて折れそうになることは、誰しもあるだろう。しかし、そこから再び顔を上げて、前を向いて歩くことができるかどうかで人生は変わってくる。本書は、疲れてしまったときにそっと手を差し伸べてくれるような一冊だ。
 本書は、第1章の「心と身体の声に耳を傾ける」にはじまり、「ストレスを溜めやすい人」の10の特徴、「ストレスを溜めない」10の思考法、「ストレスを溜めない」11の行動習慣、「ストレスが溜まったとき」の7つの解消法と、ストレスを予防したり、溜まってしまったストレスを解消したりするための情報が満載だ。特に要約者の心に残ったのは、ストレス解消のための行動として紹介されている「人に優しくする」である。人はいくつになってもあたたかい言葉をかけられるとうれしくなり、安心し、心のエネルギーが高まるものだ。誰かに優しくし、優しくされれば、折れそうになっている心も持ち直すのではないだろうか。
評点(5点満点)
総合3.5点(革新性3.0点、明瞭性3.5点、応用性4.0点)
*評点基準について
著者情報
 鎌田 敏(かまた びん)
 こころ元気研究所所長
 (株)エンパワーコミュニケーション代表取締役
 産業カウンセラー、心理相談員、認定コーチ
 日本産業カウンセラー協会正会員