常連の

お客さんが　娘さんの結婚式の写真を焼き増しに来た。
きれいですねーと言うと
「もうやーっと嫁ってくれたのよ。 ほっとしたわー」
でも、いままで一緒にいらしたのに お寂しくはないですか？大丈夫ですか？
「そうねえ、主人がいたらいいけど ひとりだからねえ。
さみしいわねえ。 買う物もないのに毎日ここ来ちゃうもの。」
なんか ガラにもなく ぐっときちゃったぜ。

これまた常連のおじいちゃん。
老人会で配ってた干支のストラップを
あんたに持って来たわーって前にもらったのね。
名札にぶら下げてたのを見つけて
「ちゃんとつけてくれとるんやねえ」
嬉しそうな顔をするのでまたまたぐっときちゃった単純なわし。
あー、やっぱり転勤なんかしたくないよう…

後ろでバイトちゃんＥが 「送別会どーするんですか？誰か企画してるんですかねー」
送別会って わしのか？ え？もしや わしに幹事やれってか？
え゛ー

続いてバイトちゃんＣが
「あのね、夏休みはね実家に帰ってね、
沖縄にも行くしね、車の免許も取りに行くしね、休むよー。」
知らんがな。 わしこの店おらんっちゅーねん。
「ほんとにいなくなるんですか？嘘でしょう(笑)」 と笑って言ったのはバイトちゃんＤ。
ほんまやっちゅーねん。

これまた常連のおじさんがやってきて
「あんた蛍の光やねんてな、地味なおれのことわすれんといてな。」
おじさん、頭が派手に光ってるから大丈夫やで。
「普通な、それは言わんで。あんただけやで。」
すんませんなー
「もうそんなツッコミもきけんくなるんか、さみしいなー 惜しいひとをなくしたなあ。」
わしは死ぬんか。

「あのねー部活で 写真展やるからこの日ぜったい来てねー ここ休みでしょー？」
だから、うるさいって、バイトちゃんC！
わかった、わかりました！ 行くから！

あー もー この店にいるのも あと残り少ないっちゅーのに
ちょっとぐらいしみじみさせてやってくれよ！