K18金 ¥3320
プラチナPT950 ¥3140
【 6月7日(水)即買値】
ーブログー
朝のハーブティを飲んでいる
ところに、日本から電話がかか
ってきた。
「今、大丈夫?ちょっと、話し
を聞いてもらいたくて」
アメリカ東海岸の朝十時は、東京
の深夜十二時。
どうしたの?あなたのほうこそ、
大丈夫なの。
「うん、それがね・・・・あんまり
大丈夫じゃないの」
電話線の東のはしっこで、友人は
涙声になっている。
彼女はお洒落でエレガントで、
颯爽としていて、頭もスタイルセ
ンスも良くて、好きな仕事も持って
いる。まさにスーパーウーマン。
優しい夫と可愛いひとり娘にも
恵まれて、何不自由ない生活を
送っている、はずなのに。
「さびしくて」
そう言ったきり、言葉を喉に詰ま
らせている。
好きな人ができたの。とてもとて
も好き。どうしようもなく好き。
私に夫と娘がいて、彼に奥さんと
子どもがいても、それでも好きだ
と思った。
気持ちを抑えることができなか
った。だから結ばれた。お互いの
領域に踏み込んでいった。
悲しくなるとわかっていて、
付き合い始めた。
それで?
「今夜、さっきまで、彼と会って
たの」
彼女は別れ際、ベットの中で言った。
まだ、そのへんに脱ぎ散らかした
ままの洋服を、拾い集めて身に着
ける前だった。
毎日は不可能だよ。
どうやらその一言が彼女に、致命
的な傷を与えたようだった。
「彼、すごく誠実で、真面目な
人なの。だから嘘がつけなかった
んだと思う。私のこともね、これは
遊びじゃないんだと言ってくれて
る。
でも、毎日は不可能と、はっきり
言われて、なんだか、目の目が
真っ暗になったの」
嘘でもいいから、僕も毎日会いたい
と、言って欲しかった?
とびきり上等の嘘をついて欲しか
った?
「そうなの。それで家に戻って、
冷たいシーツの中に入った途端、
なんだか泣けてきちゃって・・・
馬鹿みたい?
わたしにも、彼女と似たような思い
を抱いていた日々はあった。
あの頃は、毎日がお葬式だった。
彼が部屋から去ってゆくたびに、
わたしは脱いだばかりの喪服を
着て、終わったばかりの情事を
埋葬する。
それから、冷たいシーツにくる
まって、泣くのだ。今頃、彼は、
彼の帰り道を待ち焦がれている
家族のもとに帰り着いただろう
かと、凄まじく自虐的な想像に
胸をかきむしられながら。
あんな苦しい恋は、金輪際ごめ
んだ。今でも、わたしはそう思
っている。最後のお葬式から
十年以上過ぎた今でも。
プラチナPT950 ¥3140
【 6月7日(水)即買値】
ーブログー
朝のハーブティを飲んでいる
ところに、日本から電話がかか
ってきた。
「今、大丈夫?ちょっと、話し
を聞いてもらいたくて」
アメリカ東海岸の朝十時は、東京
の深夜十二時。
どうしたの?あなたのほうこそ、
大丈夫なの。
「うん、それがね・・・・あんまり
大丈夫じゃないの」
電話線の東のはしっこで、友人は
涙声になっている。
彼女はお洒落でエレガントで、
颯爽としていて、頭もスタイルセ
ンスも良くて、好きな仕事も持って
いる。まさにスーパーウーマン。
優しい夫と可愛いひとり娘にも
恵まれて、何不自由ない生活を
送っている、はずなのに。
「さびしくて」
そう言ったきり、言葉を喉に詰ま
らせている。
好きな人ができたの。とてもとて
も好き。どうしようもなく好き。
私に夫と娘がいて、彼に奥さんと
子どもがいても、それでも好きだ
と思った。
気持ちを抑えることができなか
った。だから結ばれた。お互いの
領域に踏み込んでいった。
悲しくなるとわかっていて、
付き合い始めた。
それで?
「今夜、さっきまで、彼と会って
たの」
彼女は別れ際、ベットの中で言った。
まだ、そのへんに脱ぎ散らかした
ままの洋服を、拾い集めて身に着
ける前だった。
毎日は不可能だよ。
どうやらその一言が彼女に、致命
的な傷を与えたようだった。
「彼、すごく誠実で、真面目な
人なの。だから嘘がつけなかった
んだと思う。私のこともね、これは
遊びじゃないんだと言ってくれて
る。
でも、毎日は不可能と、はっきり
言われて、なんだか、目の目が
真っ暗になったの」
嘘でもいいから、僕も毎日会いたい
と、言って欲しかった?
とびきり上等の嘘をついて欲しか
った?
「そうなの。それで家に戻って、
冷たいシーツの中に入った途端、
なんだか泣けてきちゃって・・・
馬鹿みたい?
わたしにも、彼女と似たような思い
を抱いていた日々はあった。
あの頃は、毎日がお葬式だった。
彼が部屋から去ってゆくたびに、
わたしは脱いだばかりの喪服を
着て、終わったばかりの情事を
埋葬する。
それから、冷たいシーツにくる
まって、泣くのだ。今頃、彼は、
彼の帰り道を待ち焦がれている
家族のもとに帰り着いただろう
かと、凄まじく自虐的な想像に
胸をかきむしられながら。
あんな苦しい恋は、金輪際ごめ
んだ。今でも、わたしはそう思
っている。最後のお葬式から
十年以上過ぎた今でも。