佐久市 ヤナギダ 趣味の店

長野県佐久市野沢93番地
ヤナギダ☎0267-62-0220

『わたしなしでも平気?』 

2017-06-20 17:04:00 | 日記
「お客様、大丈夫ですか?」
すぐ近くで物音がしたような
気配がして、あなたははっと
我に返る。

「はい?」
問い返したあなたの真正面に
立って、あなたを見つめている
バーテンダーのまなざしにぶつ
かる。が、その目は微妙にぶれ
て、ふたつではなくて四つ、あ
るように見える。おかしい。突
然、乱視になってしまったのか。

あなたはあわてて目をこする。
「少し、お具合が悪そうにお
見受けしましたの・・・・」
「あ、いえ、そんなことない
です、大丈夫です」
強いカクテルのせいなのか、ほ
んのつかのま、カウンターの上
に両肘をついたまま、片足だけ、
夢の世界に引きずりこまれてい
たようだ。

それにしても、気持ちのいい夢
だった。いつまでも見ていたい、
永遠に醒めたくないと思えるよう
な。夢のなかで、ふたりはベット
のなかにいて、彼はあなたに囁い
ていた。

あなたの体を優しく抱きしめて、
「妻にきみのことを打ち明けた」
と。何もかも話したよ。別れる
つもりだ。俺にはもう、きみしか
いない・・・・・。

腕時計を見ると、午後七時を
三十分以上、回っていた。
「同じものを、もう一杯」
あなたは注文する。バーテンダー
の背中に向かって、ため息をつく。
彼はまだやって来ない。どこからも、
姿を見せない。エレベーターの扉は
さっきから何度も、開いたり、閉ま
ったりしている。が。彼は乗って
いない。

あなたは気づく。やっとのことで、
悟る。今夜、彼は来ないのかもし
れない。いや、来ない。来ないに決
まっている。今日の約束は、あの
約束だったのだ。

あの約束――――

いつだったか、このバーのちょうど
真下にあるはずのベットの上で、
交わした指切り。

「いつものように待ち合わせをして、
仮にどちらか現れなかったら、それを
『別れ』のメッセージにしよう。
きれいさっぱり、あと腐れなく、
別れよう」
ついさっき見た、気持ちのいい夢が
一瞬にして、悪魔にすり替わる。

夢のなかで、誰かの体を抱きしめて
いるのは夫だ。夫は恋人の耳に囁い
てる。
「妻にきみのことを打ち明けた。何
もかも話した。別れるつもりだ。
俺にはもう、きみしかいない・・・・」

まぶたをこすっても、こすっても、
あなたの目にはすべて二重に映って
いる。



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「自分にぴったりの人と出会えるおまじない」佐久市 金買取 ヤナギダ店長コラム

2017-06-20 10:48:09 | 日記
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ブログ:
毎日使うボールペンは“ブルー”
のインクのものに。
そして、小さなメモ帳に、その
ボールペンで毎日1ページに
1つずつ“自分の長所”を
書き記していきます。

手帳にいっぱいになるころ、
自分にぴったりの人が現れる
おまじないです。

☆星のささやき
ブルーは「素直な気持ち」を
表す水星がつかさどる色。
あなたの素の部分を紙に
書くことで、気の合う異性を
引き寄せられるでしょう。



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「偶然力」佐久市 金買取 ヤナギダ店長コラム

2017-06-20 06:26:21 | 日記
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【 6月 20日(火)即買値】

ブログ:

後になって「あれはこうなる
べくしてなったんだ」と思え
るような“偶然”というのが
あります。

偶然の力を信じていると、そ
のような意味のある偶然が
次々と身の回りで起こり始め、

その偶然がまた新たな偶然を
呼ぶようになります。
それを私は」「偶然力」などと
呼んでいるのですが、
この力を身につけるには、な
んでもいいからとにかく行動
することです。

ネットオークションでブランド
物のバックに大金をつぎこむ
なら、少し安いのでガマンして
残りのお金で“弾丸ツアー”に
出かける。

そのほうが、ずっと“活きた
お金“の使い方になると思います。
家でじっとしていても偶然の神さま
はやってきません。


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「遠 恋」 ―Ⅰ―

2017-06-20 00:01:26 | 日記
「桜木さん」
突然名前を呼ばれて、どきっと
した。白地に紺のストライプの
入った、制服のブラウス、胸も
とに留めている店員の名札。
そこにあのひとの視線を感じて、
そのちょうど下にある心臓が、
トビウオのように跳ねた。

「この女の子、表情がどことなく、
桜木さんに似ていませんか」
そんなことを、あのひとは言った。
「えっ、そうですか、それは・・
・・・」
嬉しいです、という言葉は、喉の
あたりでもつれたままだった。絵
本の女の子の表情は、どこか淋し
げで、哀しそうにも見える。だ
からこそ、わたしはその絵本が、
好きだったのだけれど。

背伸びして、あのひとの広げた
ページを覗き込みながら、わたし
は言った。
「春になったらお花をたくさん
摘んできて、花束を作ってあげる。
雪がいっぱい積もったら、雪だるま
を作ってあげる。これって全部、
お姉ちゃんが小さな弟に、してあげ
たいことなんですね。原題も、すてき
なんですよ。『Do You Know What I’ll
Do?』っていうんです」

「いいね。なんだか深みのあるタイ
トルだな」
「ごめんなさい、あくまでも、わた
しの好みですから、とらわれないで
下さい。それに、絵本のよさって
理屈で説明できるものじゃないで
すよね。感じるものですから。

ハートで。頭じゃなくて、心で。
よかったらどうぞごゆっくり、読
んでらして下さい。わたしはそろ
そろ、持ち場に戻りますので」

「持ち場に戻ります」と言ってお
きながら、わたしはあのひとのそ
ばに、突っ立ったままだった。
その絵本の中にはね、わたしの
小さな弟が住んでいるの。この世
にはいないんだけど、でも、いるん
ですよ、そこに。

そんな、言葉にはならない、欠けて
尖った貝殻みたな想いを抱えて。
柔らかく、あのひとは言った。

「決めました。贈り物はこれにし
ます。この女の子が気に入りました」
「そうですか、ありがとうございます。
レジはあちらです」
わたしは店員らしく一礼し、あのひと
から離れていこうとした。
「こちらこそ、どうもありがとう」

わたしがうしろをふり返るのと、あの
ひとが立ちと返るのと、あのひとが
立ち止まったのは、ほぼ同時だった。
気がついたら、あのひとは再び、わた
しのすぐそばに立っていた。

「あ」
と、言ったきり、何も言えなく
なった。
あ、聞こえた。胸の奥で一匹の
鯉が、勢いよく跳ねる水音。

「あとひとつ、忘れ物しちゃい
ました」
そう言いながら、あのひとはま
っすぐに、わたしの目の前に右
手を差し出した。

ほとんど反射的に、わたしはその
手を握っていた。とても大きな手
のひら。この手はきっと、何かを
創っている手。そんなことを思っ
た記憶がある。あのひとは、わた
しの指をすべて包み込むようにし
て、ぎゅつと、握り返してきた。

みるみるうちに赤く染まってゆく、
わたしの頬。惜しみなく降り注が
れる、光のシャワーのような微笑
みを浴びて、まるでくしゃくしゃ
のハンカチになった気分。

これが忘れ物だなんて、握手が
忘れ物だなんて ・・・・。
気持ちが走り始めたのは、その
瞬間だった。




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