長野県佐久市野沢93番地
ヤナギダ☎0267-62-0220
”人は愛する人を傷つける
人は傷つける人を愛する”
K18金 ¥3260
プラチナPT950 ¥3070
【6 月15 日(木)即買値】
ーコラムー
忘れな草が咲いていた
道に線を引いて
その上を歩いた
どこまでも
道が途切れるまで
見上げると青い空だった
君がいた頃は
なにもわからなかった
本当に
何にも
どんなに君を好きだったかも
人との関係も
大切なことも
失ってはじめて気づいいた
けど
今だってたぶん
まだまだ霧の中だ
遠く過ぎないとわからない
なんて
どうすればいいんだ
ひとつだけわかったこと
胸に深く刻んだことは
大事にすること
とにかく
大事にすること
好きなものはどんな時でも
ただ馬鹿みたいに大事にすること
佐久市野沢93番地十二町
ケヤキの木の真向かい
ぴんころ地蔵側
~ヤナギダ~
☎0267-62-0220
※ローレックス時計買取値
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明日17日13:00オープン
佐久市野沢93番地十二町
ケヤキの木の真向かい
ぴんころ地蔵側
~ヤナギダ~
☎0267-62-0220
彼の描いた空を眺めていると、
その空に浮かぶ、白い雲にな
れそうだと思った。
彼の描いた海を眺めていると、
海原に舞う、一羽のかもめに
なれそうだと思った。
彼のそばで暮らせるならば――――
ふたりで一緒に歩いていけるなら――――
わたしは草原を渡る風のように、
野山に咲く花のように、
いつも自由で幸せでいられると
思った
彼は――――
わたしが生まれて初めて、
結婚したいと思った人だった。
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「もう行かなきゃ、遅れてしまう」
と、言うのはいつもわたしのほう
だった。優しい人が上りの最終電
車に乗り遅れてしまうことを、心
配していたわけではなかった。
「もう行かなきゃ、遅れてしまう」
台詞(せりふ)を、わたしは優しい
人の口からは、聞きたくなかった
のだ。
それから、玄関のドアが開いて、
ドアが閉まる。駐車場で、優しい
人がバイクのエンジンをかける
音がする。今夜は絶対に見送る
まい、と、心に決めていても、
バイクのエンジン音を聞くと、
わたしは転がるようにベラン
ダに出て、バイクに乗って去
ってゆく優しい人の姿を見送っ
てしまう。優しい人は二階を
見上げ、ベランダに立っている
わたしに向かって、手を上げる。
優しい人はそのとき、どんな顔
をしていたのだろう。わたしの
目は涙で曇っていたから、優しい
人の表情は見えなかった。
優しいに人に、わたしの顔は、
見えていたのだろうか。
その夜、いつものように打ち捨
てられたわたしは、いつもと違
った行動に出た。
裸の上にコートを羽織り、財布と
鍵だけをポケットに入れ、素足を
ブーツに突っ込んで、部屋を飛び
出した。
川を渡る前から、わたしは車を
捕まえるために手を上げていた。
急ブレーキの音がして、個人タク
シーが止まった。わたしの目の
前で、ドアが開いた。
「山科駅まで。急いで下さい
ますか」
「はい」
駅の構内にはまだ、優しい人が
いるはずだ。ゆっくりとホーム
に入ってくる最終電車を、優しい
人は待っている。優しい人が電
車に乗ってしまう前に、
どうしても会いたい。一瞬だけで
も会えたら、それでいい。会って
「おやすみ」と言えたら、それで
いい。そうしても、そうしなくて
はならない。今夜は。
「このへんでええすか?」
「はい、ここでいいです」
わたしは走った。死に物狂いで
走った。
優しい人は売店のそばに立って
いた。見えたのはうしろ姿だった。
わたしに背中を向けて、優しい人
は電話をかけていた。黄緑色の
公衆電話だ。
優しいが
電話をかけている!
どこへ?
どこへ?
どこへ?
心臓が止まりそうになった。
「これから帰るよ。今、電車が
来たから」
そんな声が今にも聞こえてきそう
で、わたしは思わず両手で耳を
塞いだ。
「あなた」
「お、どーした。何があったか」
優しい人はそう言った。思わず口
をついて出た、というような言い方
だった。
優しい人はそう言った。思わず口
をついて出た、というような言い方
だった。
「会いたかったから」
と、わたしは言った。
「もう一度、会いたかった――。
もう一度会って――――」
わたしの声はかすれていた。呼吸
も荒かった。頬には乾いた涙が
こびりついていた。
「おやすみなさいが言いたくて」
優しい人が何かを言おうとする
よりも先に、電車のドアが開いた。
反射的に、優しい人は電車に乗って
しまった。
電車のドアが閉まった。
優しい人を乗せた電車は走り出した。
わたしはホームに取り残された。
何も変わらないのだ、と、わたしは
思った。優しい人の世界のなかにお
いて、わたしはその一部に過ぎず、
わたしの世界のなかにおいて、優しい
人はすべてだった。
永遠に重なりあうことのないふたつ
の世界。
世界と世界を切り分けて、渺
々(びょうびょう)と横たわる桟橋
のない海。深夜の駅で、胸の奥から
大量の血を流しながら、わたしが
目にしたものはそれだった。