佐久市 ヤナギダ 趣味の店

長野県佐久市野沢93番地
ヤナギダ☎0267-62-0220

「ベルベットハンマー」Ⅰ

2017-06-13 22:55:56 | 日記
あなたは自分に言い聞かせた。
しっかりしなさい。

今夜のことは、自分で決めたこと
でしょ?ちゃんと覚悟を決めて、
彼と「こういう関係」になったん
でしょ?

問いかけて、あなたは答えた。そう
よ、私が決めたの。私が望んだの。
すべて、私の意志でしたことなの。
だから、後悔なんかしていない。

なのに、彼と時を過ごしたホテルの
前で右と左に別れて、あなたは通り
のこちら側から、彼は向かい側から
タクシーを拾い、彼はおそらく明か
りの煌々と灯ったあななかな家に、

あなたは人気(ひとけ)のないま
っくらな家にもどってきて、玄関
のドアをあけ、後ろ手で閉めた瞬
間、それまで一度も感じだことの
なかった不穏な感情に、きつく、

全身を締めつけられるような気持
ちになっている。ダークグレイで
ブルーで、びりびりと悶々ともや
もやが漣然一体となった、柔らかい
のにその芯は固く、優しいのに暴力
的な、

名づけようのないこの感情にあえて
名前を与えるとすれば、喪失感だ
ろうか。と、思いながら、あなたは
再び自問する。

もしもこれが喪失感であるならば、
いったい私は何を失ったというの?

家族思いの優しい夫。かれこれ十五
年以上も連れ添ってきた。絵を書く
のが大好きで得意なひとり娘は今年、
幼稚園にあがったばかりだ。

それらのなかのどれも、私は失って
いない、と、あなたは強く思う。
それどころか、私は今夜―――

彼を得たのだ、と、胸をふるわせる。
情事の名残りなのだろうか、頭と
体の一部が、まだ、痺れたように
なっている。

彼はあなたと同じ業界で働いてい
る人、好きになってはいけないと、
最初から、わかり過ぎるほどわか
っていて、それでも好きになって
しまった人だ。

とにもかくにも、あなたは今夜、
恋を獲得した。確かに、得た。
得たはずなのに、すべてを失って
しまったかのような、漠として
とらえどころのない、空恐ろしいい
ほどの喪失感・・・・・。

しっかりしなさい。あなたは、得た
のよ。何も失ってはいないの。

夫は先週から地方へ出張している。
娘はきのうから週末にかけて、夫
の両親の家に泊まりがけで遊びに
出かけている。

あなたは、会社が退けたあと、彼
と待ち合わせて、銀座で食事をし、
バーでお酒を飲み、ホテルのベット
の上でさまざま温度の涙を流した
あと、誰もいない空っぽの家に
戻ってきた。

彼は今頃――
あなたは思う、彼はどんな家にも
どっているのだろう。
そんな表情をして彼は「ただいま」
と言ったのだろう。私を抱いた両腕
で、今は奥さんの肩を抱いているのか。

ああ、なんて、嫌な想像なんだろう。
なんて嫌な女。あなたは眉間にシワ
を寄せる、こんな嫌な想像をしている
私、大嫌い。

喉の渇きを癒すために、冷蔵庫をあ
けようとする。その手が止まる。
止まったまま、動かなくなる。冷蔵
庫をあけようとする。その手が止まる。
止まったまま、動かなくなる。

冷蔵庫の扉にハート型のマグネット
で留められている、一枚の紙片が目
に飛び込んできたからだ。太めの
クレヨンで描かれた、あなたの顔。

母の日の翌日に、娘が幼稚園から
持ち帰ってきた作品。似顔絵のすぐ
そばには「だいすきなママ」と
覚えたての拙い文字が並んでいる。
まん丸でやんちゃなその文字を目
にした時、あなたの両目からもく
もくと涙があふれ出す。

どうして泣くの?
いったい何が悲しいの?




  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「貝殻」佐久市 金買取 ヤナギダ店長コラム:

2017-06-13 19:43:27 | 日記
ブログ:
貝殻をひろった
貝殻がきれいだったから

それをもって帰って机の上に
飾った
貝殻はずっとそこにあって
やがて私に忘れられた

そのように人をひろってきても
人はずっとそこにいないから
なかなか忘れさられない

時には大いに被害をこうむったり
する

泣かされない恋なら覚悟もできない
覚悟のない恋はガラスのない窓だ





K18金  ¥3270
プラチナPT950 ¥3100
【 6月 13日(火)即買値】

佐久市野沢93番地十二町
ケヤキの木の真向かい
ぴんころ地蔵側
  ~ヤナギダ~
☎0267-62-0220



  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

佐久市 金買取 ヤナギダ店長コラム:「あとで・・・」

2017-06-13 16:30:55 | 日記
K18金  ¥3270
プラチナPT950 ¥3100
【 6月 13日(火)即買値】

佐久市野沢93番地十二町
ケヤキの木の真向かい
ぴんころ地蔵側
  ~ヤナギダ~
☎0267-62-0220


ブログ:
悲しみなさい
あとでむかえにくるから

行きなさい
あとで抱きしめてあげるから

まちがったとしても
あとで、すべてを聞いてあげるから



  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

佐久市 金買取 ヤナギダ店長コラム:「静かな失恋」

2017-06-13 13:30:14 | 日記
K18金  ¥3270
プラチナPT950 ¥3100
【 6月 13日(火)即買値】

佐久市野沢93番地十二町
ケヤキの木の真向かい
ぴんころ地蔵側
  ~ヤナギダ~
☎0267-62-0220


ブログ:
今だから言える
五月雨(さみだれ)の紫陽花(あじさい)
横顔を
くいいるように見つめた

あの人のなにげない話しを
聞きながら
恋に落ちて

30分後に
静かに失恋

浮かんでいた体が
スッと地におりて
私は心の中で
さまざめ泣いた




  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

佐久市 金買取 ヤナギダ店長コラム:叱る!

2017-06-13 10:01:56 | 日記
K18金  ¥3270
プラチナPT950 ¥3100
【 6月 13日(火)即買値】

佐久市野沢93番地十二町
ケヤキの木の真向かい
ぴんころ地蔵側
  ~ヤナギダ~
☎0267-62-0220


ブログ:
叱る!【しかる!】
「子供は大切だよ。
でもね、大切にするってのは、
甘やかすこととは違うんだよ」
    ☆
「若いときに叱られている
からね、叱られたように叱る
ことができる。
今は叱られてないから、
叱ることもできないんだよ」
    ☆
「叱ってくれる人がいなく
なったら探してでも見つけなさい」

*昭和のTV番組では、『おやじ太鼓』
(おやじたいこ)を代表とする、1968
年と1969年にTBS系列、「木下恵介アワー」
枠で放送されたテレビドラマを始め、
『肝っ玉かあさん』など親子をテーマに
したドラマが親子のあり方を見せていた。



※ローレックス時計買取値
佐久平一高額の店!
他店と比較ください。

g単価、他店と比較ください。
佐久平で、買取単価を表記
しているのは弊社だけ!
【ブランド時計、バック高値買取】


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【危険物】

2017-06-13 06:26:20 | 日記
危険物【きけんぶつ】
「法律により、危険物は持ち
こまないようにって書いてある
けれど法律によらなくても持ち
こんじゃいけないと思う」

寄生虫【きせいちゅう】
「男っていうのはね、
女の寄生虫なのよ!」

着物【きもの】
「きものというものは本来が
楽に着こなせるものです。
それを堅苦しくしたのは、
きものの着付け学校ってわけ」

「呉服屋の集会だからって
着物を着てこいとうのはコク
ですよ。洋服のほうが楽なん
ですから」



  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ベルベットハンマー』Ⅱ

2017-06-13 06:21:47 | 日記
いったい何が悲しいの?

名づけようのない種類の涙を手の
ひらで拭って、あなたは製氷室か
ら氷の入った容器を取り出し、
ぶあついウィスキーグラス―――
夫が愛用しているもの――に、
あふれんばかりに氷を満たす。

そうして、氷の山の上から、ウ
オッカ――夫の好きな銘柄を常備
してある――を注ぎ込み、グラス
のなかで数回揺らしたあと、ぐい
っと喉の奥に流し込む。

軟体動物のように身をくねらせな
がら、喉から食道を伝わって、胃
袋へと滑り落ちてゆく、苦しみと
渋みと、心の痛みにも似た味。

あなたの背筋はぞくっとする。
背中はひんやりしているのに、
胸は焼け焦げた導火線のように
熱い。

それから、冷たいベットの上に
身を横たえて、あなたは読みかけ
の本を開く。

強いお酒をちびちび舐めるように
飲みながら、好きな作家の書いた
小説を何ページか読んでいるうち
に、まぶたが重くなってくる。

夫のいない夜、あなたはいつもこ
んな風にして、孤独だけれど安らか
に眠りの世界に誘われていくのが
常だ。けれど、今夜はまったくそう
ならない。

読めば読むほど目が冴えてきて、飲め
ば飲むほど意識が覚醒してくる。なぜ
ならその本のなかで、あなたと同じよ
うに夫も子どももいる三十代の主人公
が、道ならぬ恋に落ちてしまっている
から。

ページを捲る手を止められない。こん
なにも主人公に自分自身を重ねてしま
うのは、初めての経験かもしれない。

恋人とベットを共にしたあと、家に
もどって、バスルーム―――そこで
しか、主人公はひとりきりになれない
―――の床にうずくまって泣く女の
姿が、今の自分の姿、そのものの
ように思える。

主人公の吐き出す言葉のひとつひと
つが、心臓に突き刺さるように響く。
やがて、あるページのある一行まで
たどり着いた時、あなたは、そこに
指を挟んだまま閉じた本を胸の上に
のせて、蜘蛛の糸のようなため息を
漏らす。

 主人公は真夜中、夫の隣で規則
正しい夫の寝息を聞きながら、恋
人からもらったばかりの愛の言葉
を胸によみがえらせている。

―――毎日、会いたい。
―――毎晩、抱きたい。
―――朝から晩まで一秒も、離れたく
   ない。
嘘と真実がきっちり半分ずつ、混じり
合ったような言葉をなぞりながら、
主人公はつぶやく。「彼の言葉はわたし
にとって、ベルベットハンマーの
ようだ」と。

この一行に、あなたもまた、柔らかな
ハンマーで、頭を強く殴られたような
気がしたのだった。




  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「優しい人」―わたしのお墓―

2017-06-13 00:00:20 | 日記
家を出て、わたしの借りた部屋は
ビルディングの二階にあった。ビ
ルの一階には五軒の店舗が入って
いた。十階か十五階か、そこらの
高さがあって、屋上に、えんじ色
の屋根のようなものが付いていた。

その屋根は、上りの新幹線の窓か
ら遥か彼方に、ほんの一瞬だけ、
はっきり目にすることができた。

その部屋に住んでいるときも、
住まなくなってからも、わたし
は上りの新幹線に乗ると必ず、
列車の窓に顔をくっつけて、
その屋根を見つけようとした。

うまく見つけられたときには、
訳もなく嬉しかった。三角形
をしたえんじ色の屋根。

優しい人と過ごした場所。
それは、わたしのお墓だった。

ビルの近くを、川が流れていた。
「あの川を渡ると、なんだかすごく
ほっとする」
優しい人は部屋に着くなりそう
言うと、いつも両腕にありったけ
の力を籠めて、わたしの躰を
抱きしめてくれた。

そのころのわたしは、ほとんど
その瞬間のためだけに、生きて
いたようなものだった。

両岸をコンクリートのブロックで
がちがちに固められ、流れている
のかいないのか、わからないよう
な、淀んだ灰色の川。

どこから流れてきて、どこまで
流れてゆくのか。それに関心を
抱く人など、ひとりもいなかった
に違いない。

川面にはチリや芥が浮いている
だけで、生命の気配すらない。

まるで世界から見捨てられた
ような川だったけれど、優しい
人が口癖のように「ほっとする」
と言うせいで、わたしもいつしか
その川を渡るときには、不思議な
安堵感で、心が満たされるように
なっていた。







  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする