佐久市 ヤナギダ 趣味の店

長野県佐久市野沢93番地
ヤナギダ☎0267-62-0220

改訂版:「告白の目玉焼きのつくり方」

2022-09-23 15:46:23 | 日記

フライパンにバターをうすく
流します。

愛の殻を割って、白身と黄身
をこわしたり混じりあったり
しないように落とします。

小さじ一杯の塩をふりかける前に、
ためいきをそっと一つ。

好きな人の名前をよんでください。
素早く愛は焼きあがります。

かたちをこわさないで食べるのが、
愛の上手な食べ方の秘訣です。



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サファイアが語るもの

2022-09-23 11:51:26 | 日記
ある国に、サファイアという姫君が
いました。時代は中世。同じ国に
サファイアという王子もいました。

ふたりは兄妹ではなく、同一人物で、
つまり手塚治虫の漫画「リボンの
騎士」主人公なのです。

天使のまちがいで男の心と女の
心をもらったサファイアは、さっそう
と馬を乗りこなし、剣を持てば強く、

かと思うと、
ひかえめな恥じらいを見せたりも
する。

この二面性こそ、サファイアという
石のイメージであり
不思議な魅力を現している。

内気と華やか、親しみやすさと高貴、
聖性と魔性が、その青の中に混然と
しており人の心をとらえている。

今の時代にあった人かもしれません。
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真夜中の雨音 ―1―

2022-09-23 11:51:26 | 日記

白妙のシルクのワンピースの胸に、
かずみ草のコザージュを飾った
佳代子は、心なしかふっくらと
した頬を桜色に染めて、ふわふわ
と幸せそうに見えた。

桜の季節に、悲しい目的で、わたし
の部屋に泊まりにきた佳代子。あの
夜、ふたりとも寝たふりをしていた
けれど、わたしには、わかっていた。
明け方近くまで、彼女が肩を震わせ
て、泣いていたこと。

あの夜から三ヶ月が過ぎて、
「燃えるような恋じゃないんだけど、
静かに受け入れて、育てていく恋も
あるのね。彼は追い求めなくても、
いつもそばにいてくれる人、

恋焦がれなくても、そばにいてと
願わなくても、手を伸ばせばすぐ
届くところに、いつもいてくれる
人なの。詩音ちゃんならきっと、
こんな気持ち、誰よりもよくわか
ってくれるでしょ」

「うん、わかる。佳代ちゃん、よ
かったね。ほんとにほんとによか
ったね」
新しい恋に巡り会ったことを、佳
代子は電話で伝えてきた。

その電話からほどなく、佳代子は
ホテルの仕事を辞め、九月の初め
に挙式と入籍を済ませ、すでに京
都府下の山村――――名前を美山
町といった――――の住人となって
いた。

東京近郊で暮らしている、新郎
新婦の親しい友人だけを招いた
パーティー。高校時代の友だち
が囲んだてテーブルには、千夏
の写真を飾った。

窓の外では街路樹の木の葉が思
い思いに色づき、秋風に誘われ
て、はらはらと地上に舞い降り
ていた。

「ねえ、詩音ちゃん。もしかし
たら愛は、ちょっと狂おしくな
んか、ないかもしれないよ。せ
つない想い、張り裂けそうな胸、

そういうのは愛とは、呼べない
のかもしれない。

愛はもっと穏やかで、身近にあ
って、日常的なもの。
それでいて。超然としてて、途
方もなく強いものなのよ」
目の前のシャンパングラスを手
に取り、わたしは一気に飲み干
した。

わたしの愛は――――
愛は、どこにあるのだろうと
思った。
笑顔と祝杯と拍手と花束と、
「おめでとう」「お幸せに」
「よかったね」の渦巻きの中で、
わたしはひとり、さがし求めて
いた。
 
答えの見つからない、問いの答え。
せつない想い。張り裂けそうな胸。
手を伸ばしても、いつも届かない
よころにいる、あのひと。

悲しいことがあった日も、嬉しい
ことがあった日も、わたしは淋し
くて、たまらなくなる。追い求め。
会いたいと焦がれ、そばにいて欲
しいと願っている、

こんなわたしの愛は――――。
愛とは呼べない?
「アイシテイル」とつぶやくた
びに、心がわっと泣きだしてしま
いそうになる。
こんな愛は・・・・・。


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ドストエフスキーの「天国」と「地獄」

2022-09-23 11:51:26 | 日記

ドストエフスキーは、思想犯と
してシベリア送りになったとき
のことを、「監獄では強制労働
に従事させられが、囚人は少し
でも急ぐ必要がなく、コスト
のことを考える必要もない。

苦役そのものも、それほど
つらいものではない。

しかし、強制されることによ
ってどんな自由な労働よりも、
比較にならないほど苦しくな
る」と指摘している。

どんな凶悪犯でも、それを聞
いただけで震え上がり、二度
と立ち上がれないように押し
潰してやろうと思ったら、

労働を徹底的に無益で無意味
なものにすればよい。

たとえば、一つの桶の水を
他の桶に移し、それをまたもと
に戻す、といったような作業を
させたら、四、五日で首をくく
るか屈辱と苦しみで変になって
しまうそうです。

ところが、作業自体が有益で価値
があり、ノルマを決めてもらえ
そうだとなると、たとえ報酬が
なくても、囚人たちの気の入れ方
がガラリと変わった。

彼らは、何かに取りつかれた
ように、少しでもよく仕上げよ
うとして無我夢中で仕事をした
という。

それが、人間の本質だと思います。

自分の仕事に少しでも価値を
認めることができれば、
人はいつまでも生き生きとして
いられるはずです。


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瞳に映る晩秋の湖

2022-09-23 11:49:43 | 日記

凍るように冷たい風が
夕方の湖の上を吹き渡る

ただひとつの気持ちに突き
動かされて
ここまで来た

思いを断ち切ろうとしたのに
薄くこごえた景色の中で
僕の思いは燃え上がる

思い切れない
どうしても

苦しい恋に
なってしまった



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