経済のグローバル化とは、国家がその存立条件としている国境線・固有の言語・貨幣・度量衡・商習慣など-は資本・商品・人間・情報のボーダーレスな移動を求めるので単なる「障壁」以外のものではないと認識し、その障壁を取り除こうとしています。
多国籍産業やヘッジファンドは国境を開放し、ビジネス言語も決済通貨も度量衡も統一することを求めています。多国籍企業が短期的に巨大な収益を上げ、最高経営責任者や株主たちが個人資産を最大化する上で「国民国家は邪魔」だと考えています。そのようなことがアメリカ、イギリス、日本などの多国籍企業、大手金融機関、投資銀行、超富裕層の目的です。その尺度は、利益が生み出されるか、利益、所得に関する税金を極小化することが出来るかです。
日本では、その政治的代理人が自民党、みんなの党、維新の会所属議員、民主党の大半議員です。したがって、彼らはアメリカ多国籍企業主導のTPP交渉に参加しなければならない。これが本音であり、日本の農業を守ること、一次産業を守ることなどはそもそも眼中にはありません。このことがまだ、自民党みんなの党、維新の会所属議員、民主党の支持者であり、一次産業従事者に認知されていないところに問題があります。また、自民党型一次産業政策に繰り返し、だまされる由縁ともなっています。淡い期待を抱くことも同じです。しかし、絶対に、前記政党は食料自給率の向上、一次産業保護育成などは長期的視点では実行しません。
医療分野における皆保険制度、全国民が良質の医療を受ける権利なども彼らから見ると全く関心はありません。あるのは、いかに医療行為を通じて、利益をあげることができるかであり、そのために、保険金を自らの企業活動に投資させるかです。
企業にとって不都合な国による障壁(関税、制度)はすべて破壊する。これが多国籍企業による法的対抗措置です。しかも、そのルールはアメリカ、イギリス多国籍企業の作成したものです。
また、原子力発電所再稼動の動きも、このような視点で見ると非常に分かりやすい構図です。原子力ムラグループは自民党、民主党、維新の会、電力から資金提供をうける学者、電力会社、重電メーカー、ゼネコン、鉄鋼メーカーは稼動推進派ということになります。彼らの理屈はいろいろつけますが、地域の安全安心などは眼中にない。事故が起きれば、税金(国民負担)を使う。したがって、自らの懐は全く痛くも、かゆくもない。これが彼らの政治モラルです。現に、選挙後に石場幹事長は同種の発言を行っています。地位住民の生活、命と企業利益を天秤にかけるようなおろかなことはしない。これが自民党の本音です。3年間は国政選挙をやらずに、衆参の議席多数を握って、やりたいことをすべてやってしまいたい。安倍、自民党はそう考えています。そのために、日銀総裁人事、法制局長官人事、最高裁人事も着々と行う。
しかし、その反撃が各国の国民、労働者、低所得者から起きると考えられます。また、そのような運動を起こす必要があります。日本では、派遣ムラ、ブラック企業、残業代の不払いの告発、過労死などを告発する運動がこれらの運動につながってゆきます。
<社説:日本の都市にとっても、人ごとではない。>
かつて世界の自動車産業の中心として栄えた米国中西部のデトロイト市が財政破綻した。負債は180億ドル(約1兆8千億円)を超え、米の自治体破綻では過去最大だ。安くて低燃費の日本車などの攻勢で、米国の自動車産業は衰退の一途をたどった。財政難から治安も悪化し、人口の流出が加速した。
日本でも、大企業と命運を共にする企業城下町が生産拠点の撤退・縮小や海外移転をきっかけに、疲弊していくケースは少なくない。大企業に頼らず、地道に産業おこしに取り組むまちづくりの大切さを肝に銘じたい。
デトロイト市にとって致命傷となったのは、同市に本社を置くゼネラル・モーターズ(GM)が、2008年秋のリーマン・ショック後に経営破綻したことだ。
人口は、ピークの185万人から70万人以下に激減した。7割近くの公園が閉鎖され、街灯の約4割が点灯していない。殺人事件の発生率はニューヨークの約10倍に上り、「全米で最も危険な都市」となった。
デトロイト市は連邦破産法9条を申請し、裁判所の管理下で債務整理を進めるが、荒れ果てた街を立て直す道筋は見えていない。
最大の問題は、米国には日本の地方交付税のような仕組みがなく、自治体が財源を含め、すべて自己責任で行政を運営していることだ。
一方で、米政府の手厚い支援を受けたGMや同市近郊に本社を置くクライスラーは復活を果たした。だが、メキシコや中国などの新興国に移した生産拠点は戻らず、地元には恩恵が還元されていない。
米国内には、ほかに破綻予備軍とされる自治体が10近くもあるという。「地域崩壊」を放置すれば、格差は一層拡大し、社会の不安定化につながる。オバマ政権は、地域政策を真剣に見直すべき時だ。
企業城下町の衰退は日本でも深刻だ。新日本製鉄(現・新日鉄住金)や日本製鋼所の合理化などで人口が半減した室蘭市は、来年3月、JX日鉱日石エネルギーの石油精製停止という新たな試練が待ち受ける。
石炭産業の崩壊と観光関連施設への過大投資から、国内で唯一、財政破綻した夕張市の人口は、ピーク時の10分の1以下に激減した。
安倍晋三首相は「地方の元気なくして、国の元気はない」と繰り返している。だが、アベノミクスの第3の矢となる成長戦略には大都市や大企業を潤すメニューばかりが並ぶ。地域の再生、自立をどう実現するのか。聞きたいのは心地のよいスローガンではなく、具体策だ。