福島第一原発以外で、このような事故が起きれば、稼動停止、県、立地自治体が抗議と緊急対応策を要求するような大事故です。ところが、福島第一原発では、繰り返し汚染水が漏れ出し、しかも、1日の増加分の大半が地中に漏洩した。また、その汚染水の汚染度は、放射性物質を大量に含んでいる。事故レベルはレベル3と指摘されています。しかし、安倍、自民党政権は何も対応せず、すべて東京電力と原子力規制委員会まかせています。
その一方で経済協力、原子力発電所設備、建設の売込みで、中近東に安倍自身が出向くことが発表されています。自民党政権が口では、福島第一原発事故対策を優先するといいながら、実態は、成り行き任せ。東京電力まかせを続けています。安倍、自民党政権はその本質において、原子力エネルギー依存、原子力発電所再稼動容認、電力会社、原子力産業の利益擁護を政策的支柱としています。選挙戦術として、選挙民の受けがよい、口当たりのよい課題、話のみを宣伝し、彼らの狙い、本質は出来る限り隠すことが続いています。福島第一原発事故への対応は、彼らの狙いがどこにあり、彼らの政治姿勢がどのようなものかを推し量る上での試金石となっていると思います。
野田民主党政権が行った、福島第一原発事故の収束宣言は間違いであり、実態としてはうそであったこと。その収束宣言が間違っていることを理解しているのみの関わらず、無視して、電力会社、原子力産業に不都合なことには目を瞑り対応をしない。こんなことが許されてよいはずはありません。3.11震災の復旧、復興は2年半たっても進まず、原子力発電所事故に至っては、ゼネコンの儲けに貢献する事業は進めたとしても事故収束に必要なあらゆる対応策は、東京電力にすべて任せることが続いています。この結果、福島県、浜通り地区の復旧、海洋の汚染防止、漁業環境の改善などは見通しが立たない状況が続きます。
原子力発電の建設、エネルギー政策を主導したのは自民党政権、経済産業省であり、福島第一原発事故の収拾は、自民党政権、経済産業省が主体となって、あらゆる英知の結集、対策の起案、実施が必要です。
<社説:東京電力福島第一原発汚染水漏洩>
たかが水漏れと侮っていたのだろうか。レベル3。大事故に重なる大事故と言っていい。福島第一原発内で大量の高濃度汚染水が漏れていた。止められる見込みもついていない。国は無責任すぎないか。
これは新しい事故である。
それも、ただの事故ではない。原子力規制委員会は、国際的な尺度(INES)に合わせたこの事故の重大性の暫定評価をレベル1からレベル3まで引き上げる。レベル3は「重大な異常事象」と定義され、レベル4以上が「事故」ということになっている。
しかし、一般の常識に照らせばそれは重大な事故であり、人災ではないのだろうか。
レベル7の「深刻な事故」に分類される福島原発は、収束に向かうどころか、大事故の上に大事故を日常的に重ねている状態だ。これでは漁師たちだけでなく、周辺住民もたまらない。汚染水漏れを起こしたとみられるタンクは、二年前から応急的に導入された「フランジ型」と呼ばれるタイプである。
鋼鉄の板をつなぎ合わせてボルトで留めたもの。つなぎ目はゴムパッキンで埋めてある。水漏れの危険があることは素人にも分かる。近づくだけで人の命が危険になるような、高濃度汚染水の保管場所とは思えない。二十五メートルプール一杯分もの水漏れを見逃していたずさんな管理体制のこともある。そのうち、海へ流せばいいと、高をくくっていたのではないか。
国際的な影響も出た。
韓国のアシアナ航空は十月以降、ソウル-福島間のチャーター便の運航を止めるという。このままだと波紋はさまざまに広がりかねない。溶接型のタンクを一基造るのに数カ月かかるとか、周囲を凍土壁で囲むのに一~二年かかるとか、費用を負担するのは誰かとか、そんな悠長なことを言っている場合ではないはずだ。内外の不安に対してもっと真剣な危機感を持って対策を急いでもらいたい。レベル3の事故を何とかせねば、レベル7を収拾できるはずもない。
国民の東電への不信は、さらに高まった。今や政府への不信も募りかねない。
産・官・学の総力を挙げて地下水の流入箇所と流出場所を突き止め、ふさぐ努力をしてほしい。今この瞬間にもタンクから漏れ出ていくのは、この国の安全と信用なのである。