アメリカが、日本の広島、長崎への原爆投下を行ったこと。そのアメリカ政権(当時)の政治的な狙いが「日本の降伏」だけではなく、ソビエトへの警告、世界制覇を実現することが目的であったと。オリバーストーン監督、カズニック教授がそのことを主張しています。また、今回、広島を訪問して、原爆ドームの見学、資料館の訪問、被爆者との対話を通じて前記の見解を述べたとのことです。また、広島を訪れるアメリカ人が増えているそうです。いずれにしても核兵器のもつ非人間性、大量破壊・無差別殺戮の持つ非人道性、放射能汚染のもたらす長期の健康被害、精神的苦痛などが世界の人々に理解され、広がっているからだと思います。アメリカ政権が、広島への原爆投下を正当化し、その理由として、日本を降伏させること、中国・アジア侵略を進めた日本への懲罰との説明は、戦後68年の時間的な経過の中で、研究、検証がされつつあるのだと思います。歴史的事実は1つですが、事実の見方、内容にはいろいろな見解が成り立つのではないかと思います。
アメリカによる無人機使用、爆撃がパキスタンで批判されています。また、兵士ではなく、一般の人が誤爆で死亡することに対してアフガンでも批判されています。戦争だから何をやっても許される時代ではなくなっています。まして、罪のない人間を無差別に、大量に殺戮する兵器、核兵器保有、使用を許すことは出来ない。これは、きわめて常識的なことと思います。他者、他国を軍事攻撃すること、核兵器などで威嚇することを容認してはならないと思います。日本が、アメリカの核の傘に守られているとする抑止論にこだわる政治、政権は異常です。唯一の被爆国である日本こそが核兵器廃絶の先頭に立つことができるし、主張の正当性があります。
<北海道新聞社説>
広島はきょう8月6日、長崎は9日、68回目の原爆の日を迎える。人類が忘れてはならない日だ。核廃絶への誓いを新たにしたい。
米国の原爆投下に対し英国が事前同意していた史実が、米公文書で裏付けられた。原爆使用をめぐる大国の思惑が浮かび上がる。
オバマ米大統領は今年6月、ベルリンでの演説で、ロシアとの交渉を通じ配備済みの戦略核弾頭数を最大3分の1削減すると述べた。オバマ氏は2009年のプラハ演説で「核なき世界」を唱えたが、核を削減するどころか、米国は臨界前核実験などを繰り返してきた。世界の失望を招かぬ行動が求められる。
国際社会で核兵器を否定する動きがますます強まっている中、米国の「核の傘」の下にいる日本は、後ろ向きの対応が目立つ。核廃絶に向け世界をリードすることが、唯一の被爆国として日本の責務であることを忘れてはならない。
長崎で被爆し核廃絶運動の先頭に立って被爆者援護法制定などに尽力した山口仙二さんが先月、82歳で亡くなった。被爆者の平均年齢は80歳に迫る。運動の次世代への継承は大きな課題だ。
広島で被爆した北海道被爆者協会の越智晴子会長(90)は「何が起きたのか歴史を知ることが幸せにつながる」と話し、核兵器の実相を理解することが核廃絶への道と訴える。
核軍縮を進めなければならない。だがこれに逆行する動きがある。
核拡散防止条約(NPT)未加盟のインド、パキスタン、イスラエルは核兵器を保有し、北朝鮮、イランの核問題解決も急務だ。テロ組織への核流出の危険も高まっている。空洞化したNPT体制の立て直しが不可欠だ。だが日本は今年4月、NPT準備委員会で70カ国以上が賛同した「核の不使用」の共同声明に賛同せず内外の強い批判を浴びた。
声明は「いかなる状況下でも」核兵器が再び使用されないことが人類生存のためになる、と訴えた。この表現が「核の傘」の政府方針と矛盾するという。 米国の核に安全保障を依存する現実が、被爆国としての核廃絶の理想を曇らせているとすれば残念だ。
核抑止論を克服し、核廃絶への道を探っていかなければならない。
一方、東京電力福島第1原発事故で「核の平和利用」も幻想にすぎなかったことが明らかになった。放射能汚染水は今も海に流出している。原発事故は収束してもいないのに、安倍晋三首相は原発輸出に熱心だ。これでは世界に危険をばらまく行為とみられても仕方ない。
核兵器廃絶と脱原発を訴え続けていく。それが日本の役割のはずだ。