「おくりびと」が映画賞のノーベル賞ともいわれるアカデミー賞外国語映画賞を受賞した。誰もが迎える死とどう向き合うのか。生と死をつなぐ納棺師の青年をテーマにした物語である。その所作の神秘的美しさと、死の尊厳へのいたわりがグローバルな共感を呼び受賞となったのではと思う。「おくりびと」は海外でも既に38ヵ国で公開が決まっており、配給元の松竹に上映希望が殺到しており計100ヶ国にもなると報道されている。
ロケ地として、どうして庄内が選ばれたのか興味の湧くところである。滝田監督は3年前に庄内入りし現地で作業している内に「この映画はこの土地で撮るべきだと感じた。地方は疲弊し元気を失い、映画館も潰れていく。しかし、消えていくものにこそ、今、失われている美しさがある」と語っている。主役の本木さんは「方言が持つ独特のテンポが、いい味付けになった」と述べている。
庄内のロケーションが世界に発信される。「天・地・人」の比ではない広がりを持つ。せっかく引き出してもらった庄内の良さを、どうつないで行くか。今度は私たちの仕事である。県のホームページへの掲載は勿論のこと、国際的に発信できないのか。度肝を抜くような企画はないのか。納棺師や死と生をつなぐ学科を東北公益文科大学などで学ぶ事は出来ないだろうか。一過性の観光スポットで、記念撮影して「はい、終わり」にはしたくない夢が私にはある。