知事答弁がゆれている。基本的には、前知事との違いを強調し当選したのだから、知事発言は直近の県民の意志と受けとれ、正当性がある。その一方で、議会の全部か、大半が賛成して進めてきた行政の継続性にも重い責任がある。知事と議会が論点を整理し、県民に迷惑のかかる行政の停滞だけは避けなければならない。吉村知事は、トップダウンの手法ではなく「対話を重視したい」と議会で何べんも発言している。議会との対話は最も重視すべき対話であると思う。
中学2、3年への少人数学級の導入は、知事公約である。それを受けて県教委は、「平成22年度から順次進めたい」と委員会で答弁していたが、知事の強い意向を受けて来年度から8学校で実施する事になった。泥縄的変更に不安もあり、教師の手当てにも不安が残る。万全を尽くすと思うが、何よりも県教委の独立性、安定性、公平性に疑問は残る。最上川世界遺産事業もゆれている。知事の不用意な発言が混乱に拍車をかけた。副知事設置条例の見直し提案も、議会との対話不足から混乱している。東京銀座のアンテナショップ、山形セレクションもしっかりした検証もないまま知事発言が独り歩きを始め、重苦しい雰囲気が残った。
マスコミは、前知事を大半が支持した自民党会派との対立をことさら面白おかしく取り上げて報道する。しかし、自民党会派は極めて冷静に議論をしている事は事実だ。
知事発言は重い。しっかりした検証の上に、石橋をたたいて発言すべきである。ゆれる発言からいい政治は生まれない。