鳥海山の湧き水を集めて流れる月光川には、大規模な鮭のふ化場が複数あり、その河口に吹浦漁港がある。小規模ながらホッケ、鱈、はたはたなど日本海の鮮魚の味には定評がある。特に、鳥海山の伏流水が日本海に注ぎ込むところに生育する岩牡蠣(いわがき)は、夏場が旬で食通にはたまらない絶品である。
ところが、この月光川河口に異変が起き漁船やプレジャーボートが航行できなくなったのだ。もともとこの河口は地形状、土砂が堆積しやすく、毎年浚渫をしていた。そこに、海岸を護岸するためにテトラポットが敷設され、一層土砂堆積がひどくなり、とうとう船の航行が出来なくなってしまったのだ。管理者の山形県は、財政健全化政策をここ数年優先ささせて、放置してきた傾向にあった。何度も要望活動もされてきたが要望かなわず、とうとう膨大な砂浜に月光川河口が変質してしまった。
たまりかねた地元関係者は、県の許可を取り私費で川底の確保をはかった。広大な河川敷化した砂浜に1本のバックホーで立ち向かう姿は、痛々しい光景である。山形県は、河川を管理する責任を負っている。早急な対策が待たれる。