まともな議論もないままに、野田政権は実質的にTPPに参加する事を昨夜表明した。国民が心配しているのは、外交の出来ない幼児的民主党政権の危うさである。普天間問題でアメリカの信頼を失った日本外交の選択肢はない。オバマ大統領から求められていたTPP参加に、日本国益を考えた回答など出せるはずがないと多くの国民は思っている。
TPPは、締結すれば国際条約であり、国内法に優先する。都合の良い日本特有の玉虫色の解釈などは存在せず、決まった事と違う行動があれば、すぐ訴訟になり、多額の損害賠償を請求される厳しい世界である。
TPPは、国際分業の市場原理のみで物流が動く。関税自主権と、国民が良しとして国内秩序を守ってきた規制や法律は、撤廃される。日本らしさの日本文化も、「まちづくり三法」で大規模小売店舗の進出から街の商店街を守ったのも束の間で失われてしまう。
農業は断固守ると野田総理は言う。経営面積を10倍に規模拡大して安い米を作るプランらしいが、仮に一割の農家を守れても九割の農家は失業になる。おまけに農協、共済、土地改良に働く職場も失う。大規模畑作の北海道、サトウキビの沖縄、畜産と乳製品関連産業、食料自給率は飛びぬけて世界最低になる事に覚悟があるのか。
この結果はいずれ歴史で証明されることになる。国民の支持のない及び腰の外交交渉など、百戦錬磨の大国から見れば赤ん坊の手ひねるようなものでしかない。それを選んだ国民の責任でもある。