参議院選挙の公示日夕方6時。小泉進次郎代議士の街頭演説会に清水屋前の沿道は人垣で溢れた。小泉代議士は自民党青年局長で、党の看板代議士でもある。彼の魅力はどこにあるのか当事者ながらミーハーを決め込んだ。
その前日のお昼頃、庄内弁についての問い合わせが関係者からあった。彼の定番である演説の枕詞の方言についてであった。「こんげ集まってもらって、もっけだの」がいいのではと進言した。
小泉さんは少々遅れて到着した。車から降りるや否や、待ち構えていた沿道から「きゃあー」の歓声があがった。手を振るとまたそれに「きゃあー」である。異様な群衆心理がもう出来上がっていた。
「こんげ集まってもらってもっけだのー」と演説は始まった。「今回の全国遊説は、過疎地と離島、被災地に決めている。秋田から飛島に行ってきた。飛島では島民が大勢、岸壁に大漁旗と太鼓で歓迎してくれた。おそらく私が初めてだろうと思う。今回の選挙は、政治の安定と古い自民党と決別する二つの意義がある。景気の実感は皆さんの所までまだ届いてないかも知れないが、必ず届ける。日本のために皆さんの声を聞く。これが私たちの使命だ」
難しい事をやさしく、やさしい事が深い。それを愉快に語る演説に説得力があった。彼の人気の秘密はここにある。そして行動力で実証されている。
握手を求める聴衆にもみくちゃにされながら、時間ぎりぎりまで答える姿に政治家の本領を見た。