日本国には約2700名余りの検察官が在職している。犯罪捜査も可能だが、裁判所に起訴の有無を判断するのは検察官のみで、司法への入り口として国民生活と密接な関係のある国家公務員である。
その検察官のトップが検事総長で、次長検事、検事長、検事及び副検事に区分される。検事総長は大臣待遇とされ、次長検事は副大臣待遇、検事長は政務官待遇の認証官であり、内閣によって任命され天皇から認証される。
日本国は三権分立によって民主主義が守られている。法律を定める立法権、法律に沿って政策を実行する行政権、法律違反を罰する司法権のバランスの上に国民生活が守られている。
ところが、今国会で国家公務員法の定年延長改正に合わせて、検察庁法改正案も出された。検察庁法では検事総長は65歳、その他検察官は63歳に達した時に退官すると規定され、人の裁量が一切入らない年齢で定年が定められている。しかし、検事総長は慣例として63歳で退任している。
ところが、内閣は定年延長の必要があると認める時は人事院の承認を得て1年を超えない範囲で定年の延長が出来るとし、慣例解釈を変えた法案提出をした。
検察行政に内閣の意図で人事介入を許すことになる。検察行政が恣意的な運用と国民が感じた時、国家秩序は崩壊しかねない。検察行政にまで忖度がはびこると「世も末」と感じる人はたくさん居る。