Nonsection Radical

撮影と本の空間

食い逃げ

2009年09月04日 | Weblog
某月某日
会社帰りに寄り道し牛丼を食べた。
このところ体調が悪く、肩から背中にかけて鉄板が張り付いたように重く硬く張っている。
偏頭痛もひどく、外耳炎が再発し耳鳴りもひどい。
左足の足底腱膜炎が再発し、足を踏み出すたびに釘を踏みつけたように痛みが走る。
土踏まずをサポートするソックスを履き、オーダーした中敷を入れたウォーキングシューズを履いているのだが、それでも痛みは取れない。
足をかばうような姿勢をとる結果、カラダがねじれて腰痛も再発だ。
この間べろりと剥がれた右指の皮は薄く再生してきたのだが、指先から爪が剥がれてきた。
心身ともに最悪な状態だが、野暮用で退社後外出したわけだ。

そこの牛丼屋はこれまで何度か利用したのだが、カウンター担当に中国人留学生らしいジョシが働いている。
名前はショウさんと名札がついている。
たどたどしい日本語で対応している。
今日はかなり店が混雑していたのだが、カウンターにはショウさん一人しかいない。
持ち帰りの客も多く、厨房から出た品を袋詰めし会計し、来客のオーダーを聞きとかなり余裕のない状態だ。
持ち帰り品を奥で袋詰めしている時に、食べ終わったオヤジが「おかんじょ~」と叫ぶがショウさんは「ハイ~」とは言うが袋詰めが終わらない。
「お か ん じょ~」とつぶやきながらオヤジはレジの周りをうろついていたが、フラリと店外に出た。
持ち帰り品を持ってカウンターに現れたショウさんは客に牛丼を渡して、カウンターの上の食器を片づけ始めた。
そしてさっきのオヤジの食器を片づけたのだが、オヤジはすでにいないし、食器の周りにはオーダー用紙しかなく、お金はおいてなかった。
ショウさんは店内を見渡したがあとの祭りだ。
オーダー用紙を握りしめ呆然とするその顔は幾分青ざめていた。

satoboも食べ終わったので、さっきのオヤジの分はどうなるのか聞こうと思った。
せっかく一所懸命働いているのに食い逃げの分を自腹で弁償させられるのだと可哀相に思ったのだ。
もしそうならsatoboが「立て替えて」あげようと思ったのだ。
わずかな金額だし、せっかく「先進国」に留学して、生活のためにアルバイトしているのに、食い逃げのカネを弁償させられるのは日本に対するイメージが悪くなる。

客のオーダーが一段落したのか厨房に入っていたダンシが出てきたので、ショウさんは「オカネガナインデス」と話しかけた。
二人で何事か話していたが、ショウさんは指示されたのかオーダー用紙を手にレジを打ち始めた。
どうやら注文を取り消す操作をしているらしい。
弁償は逃れたようだ。
安堵してオーダー用紙とお金をショウさんに手渡し、足を引きずりながら店をあとにしたのだった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新珠 三千代

2009年09月04日 | Weblog
某月某日
ここ数日隠遁生活を送り、このままフェードアウトしようかと思っていた。
文章を作るというのが出来ない頭の作りになってしまった。

本日はsatoboの御生誕祝祭日だったらしい(推定34才)。
いつものように帰宅後、下のムスメがやおら「ハイ、プレゼント」とビニール袋(正確にはポリエチレン袋)を手渡した。
「は?」と問うと「誕生日」と言う。
袋の中にはニッカウイスキー「クリアブレンド」が入っていた。
いつもsatoboが飲んでいる安ウイスキーだ。
ムスメはsatoboがこれを気に入っていると思っているらしい。
値段は普通で800円ぐらい。セールで690円ぐらい。
働かない頭であるが、おもわず心の中で「あのね、なにもこの酒が好きで飲んでいるわけじゃぁないのよ」と淋しくつぶやいた。
satoboは飲んべえであるが、酒は選んでいる(つもり)。
金がなくても消毒用アルコールは飲まない(経済的だが)。
そしてサントリーも基本的には飲まない。
サントリーは実家の地酒である。
しかし残念な事にサントリーはマズい。
もっとも「山崎」クラスになると「やっと」飲める味となる。
それ以下のダルマや角や白となると水を飲んだ方がマシ、というクラスだ。
一方、ニッカはクリアブレンドクラスでも飲める。
生真面目な作りだ。
スコッチだと赤ラベル以上だと大丈夫だ。
これぐらいウイスキーでも味が違うのだし、味の違いがわかる。
最近は「ハイボール」が流行らしいが、ハイボールはウイスキーの味を消して飲むものなので、アルコール飲料として、またはチューハイ代わりとして人気を得たのだろう。
もちろんsatoboは生一本だからウイスキーの味が重要なのだ。

そんなウイスキー談義をしたいわけではない。
本日のような「記念日」というのがsatoboには無用なものだと言いたいのだった。
誕生日をなぜ祝うのか、結婚式、葬式、お盆、入学式等々改まったことの意味合いが理解できない。
ずっとずっと平々凡々な日々が一番良いと思っているのだ。
なにも記念すべき事がない日。
なんて幸せな日なんでしょう。

家業の事で実家に携帯電話していると、satoboに有線電話で誰からかかかってきたらしい。
代わると姉からで、いきなり「ハッピーバースデー」と言われた。
こんなこと半世紀もなかった事なのに。
いろいろと姉家族にも変動が押し寄せ、心境の変化があったのだろうと、慰めと励ましの会話をする。
すると上のムスメ夫婦が現れ、電話中にもかかわらず何やら「小物」を手渡す。
適当にあしらって通話を進めたのち、ムスメ夫婦が帰ったあとに「小物」をあらためるとハンドタオルだった。
意味がわからない。
くれるならもっと実用的なものをくれ。
洗濯のため洗濯機に入れたその瞬間、そのタオルはどこかに消え、二度とsatoboが使う事がない事ぐらい想像できそうなのだが。
なんでこんなことをするのが好きなのだろう。
satoboは全然好きではない。
イベントというのは好まないのだ。
それをなぜわかってくれないのか。


コメント (10)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする