メディアにおける赤ちゃんポストの描き方は、日独で全く異なっている。
先日、シュテルニパルクの赤ちゃんポストに、死んだ赤ちゃんが預け入れられた。その時の報じ方は、日本の報道とは全く異なるものだった。どのメディアも、赤ちゃんポストを非難していなかった。むしろ、共感的だった。
日本では、(変わらず)犯人探しと赤ちゃんポストバッシングだった。同じ「モノ」なのに、どうしてここまで捉え方や描き方や報じ方が違うのだろう。
12月19日のBILD紙(ネット版)の記事をここに記録しておく。翻訳もつけておく。
„STERNIPARK“ IN WILHELMSBURG
Abschied vom Kind
aus der Babyklappe
-赤ちゃんポストの子どもとの別れ―
Wilhelmsburg – Der weiße Sarg war mit roten Moosröschen geschmückt, in der Kapelle wurde „Weißt Du, wie viel Sternlein stehen?“ gespielt. Bewegender Abschied am Donnerstag von der kleinen Maria.
「ヴィルヘルムスブルク―白い棺には赤いモスローズが飾られていた。礼拝室では、「Weißt Du, wie viel Sternlein stehen?(どれだけの星があるか知ってるかい?)」が演奏された。木曜日、小さなマリアとの悲しい別れだった。
Dem Baby, das in der Nacht zum 21. November tot neben seinem Bruder in die Wilhelmsburger Babyklappe von „SterniPark“ gelegt wurde.
11月21日の夜、この赤ちゃんは、「シュテルニパルク」のヴィルヘルムブルク・赤ちゃんポストに、(双子の)兄弟と並んで入れられた赤ちゃんだった。
Mittlerweile steht fest: Das Mädchen wurde tot geboren. „SterniPark“-Mitarbeiterin Ayse Cinbirt (41) nahm sie aus der Babyklappe: „Sie war ein so hübsches Baby, in ein blauweißes Handtuch gewickelt. Es sah aus, als würde sie schlafen.“
しばらくして、この女の子は死産だったということが明らかとなった。シュテルニパルクの支援員、アイゼ・ツィンビルト(41)はこの子を赤ちゃんポストのベッドから抱き上げた。「彼女はとてもかわいい赤ちゃんでした。青と白のタオルに包まれていた。まるで眠っているかのようだった。
Weihbischof Hans-Jochen Jaschke (73) in seiner Predigt: „Die Engel im Himmel achten besonders auf die Kleinen. Auf die lebendigen und die toten.“
補佐司教のハンス-ヨッヒェン ヤシュケ(73)は、説教(Predigt)の中でこう言った。「天にいる天使はこの小さな赤ん坊たちを特別に配慮してくれるだろう。生きて助かった男の子も、そして、亡くなった女の子にも」
Marias Bruder bei Pflegefamilie.
マリアの兄(or弟)は、養父母のもとに預けられた。
Marias Zwillingsbruder Felix kam zunächst zur Untersuchung ins Kinderkrankenhaus. Er ist gesund, lebt jetzt bei einer Pflege-Familie. „SterniPark“ - Chefin Leila Moysich (34): „Ich hoffe, dass sich seine leibliche Mutter unter unserer Notrufnummer bei uns meldet. Denn noch könnte es eine gemeinsame Zukunft für sie und Felix geben.“ Das Notruftelefon: 0800-456 07 89.
マリアの双子の兄(or弟)のフェリックスは、小児科での検査を行った。彼は健康だった。そして、今、養父母家族の下にいる。「シュテルニパルク」の代表、ライラ・モイズィッヒ(34)は、こう語る。「この赤ちゃんのお母さんが私たちのホットラインに問い合わせてくれることを願っています。まだ、お母さんとフェリックスが共に暮らす未来は残っているんです」。ホットライン…。
何度か実際にお会いしたライラさんの最後の言葉に、もう、何とも言えない「母親への愛情」を感じずにはいられなかった。
それでも、母親をかばおうとするのか、と。そして、フェリックスのために、母親とのコンタクトを求めるのか、と。
そして、BILD紙も、それについて、一つも咎めていない。ただ、「事実」を伝えている。
日本であれば、赤ちゃんポストの運営者に責任を求め、そして、母親をバッシングして、おしまいだろう。
何なんだ、この日独間のギャップというか、明らかな違いは。。。
同じ時期に、日本とドイツの赤ちゃんポストで、亡くなった赤ちゃんが預けられた。
けれど、その報じ方は全く異なるものだった。
緊急下の女性への理解度の違いが、この差異の決定的な違いとなっているように思えた。