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ユロフスキー指揮ロンドンフィルによる『十字架上のキリストの最後の7つの言葉(オラトリオ版)』!

2011年06月05日 | オススメ、クラシックCD&コンサート!
ハイドン:『十字架上のキリストの最後の7つの言葉』
ウラディミール・ユロフスキー指揮 ロンドンフィルハーモニー管弦楽団・合唱団
LPO

さて、こちらはだいぶ前に買ったんですが、感想を温めていた!?ハイドンの『十字架上のキリストの最後の七つの言葉』(オラトリオ版)をユロフスキ指揮、ロンドンフィルハーモニー管弦楽団&合唱団のニューリリース盤を購入いたしました!このユロフスキー指揮ロンドンフィルシリーズですが、輸入盤ではかなり廉価で売っているのでお買い得でございます!以前もチャイコの交響曲1&6番を買っちゃいましたしね。

それはさておき、この作品を初めてCDで買ったのは弦楽合奏版(セント・ルーク室内管弦楽団)でしたが、劇的な内容の割りにはやはり弦楽合奏だと迫力不足ということで、次に買ったのがやはり合唱入りのオラトリオ版。エキルベイ指揮、ベルリン古楽アカデミー&アクセンチュス合唱団は古楽器での演奏でした。ということで、今回のロンドンフィル盤は現代楽器での演奏ですが、やはりソリスト&合唱団が入ると弦楽合奏版に比べて「宗教曲」の趣が出ますし、ハイドンの意図していた狙いが反映された演奏になっているのではないかと思われます。

HMVのリンクは、こちらからチェック!!

【キリストの最後の7つの言葉】
「父よ、彼らをお赦し下さい」「あなたは今日わたしと一緒に楽園にいる」「婦人よ御覧なさい。あなたの子です」「わが神、なぜわたしをお見捨てになったのですか」「渇く」「成し遂げられた」「父よ、わたしの霊を御手にゆだねます」

これら「最後の7つの言葉」として知られる、死を目前にしたイエス・キリストの7つの言葉に基づく作品は、ハイドンのほかにも、シュッツ、グノー、デュボワ、マクミラン、クルターク、グバイドゥーリナ、トゥルヌミールなどさまざまな作曲家によるものがありますが、代表的な存在はやはりハイドンでしょう。現在、様々なバージョンで知られるハイドンのこの作品ですが、もともとは、スペイン、カディスのサンタ・クエバ教会での聖金曜日の礼拝の際に『最後の7つの言葉』の一つ一つについて説教をする司教が、会衆を黙想させるのに効果的なオーケストラの音楽を希望した、という依頼を受けて作曲されたものでした。

【初演の成功と複数ヴァージョンの出現】
教会での1786年の初演は成功してすぐに楽譜も出版され、さらにハイドンは演奏機会が増えるよう(?)、翌1787年には弦楽四重奏版も書き上げます。同じ年には、出版社により鍵盤楽器ヴァージョンもつくられ(校訂はハイドン)、さらに後の1795年には合唱つきのオラトリオ版まで書かれたという念の入りようでした。また、演奏の際に、福音書朗読を組み合わせるという本来の姿の復元だけでなく、グレゴリオ聖歌を挿入するといったこともおこなわれるようになり、さらにオラトリオ版の合唱パートを重唱にして弦楽四重奏と組み合わせたりと、『最後の言葉』のインスピレーションは、ハイドンの手を離れてからも影響力が強かったことが良くわかります。

【オラトリオ・ヴァージョン】
ロンドン滞在中に、『メサイア』などヘンデルの大規模なオラトリオ上演を体験して深く感銘を受けたハイドンは、ウィーンに帰ってしばらくして『天地創造』を作曲しますが、その前に取り組んだのが『十字架上のキリストの最後の7つの言葉』のオラトリオ・ヴァージョンの完成でした。きっかけはロンドンからウィーンに戻る途中、ドイツのパッサウにある大聖堂で、自分の『十字架上のキリストの最後の7つの言葉』が、地元の楽長のヨーゼフ・フリーベルトの手によって編曲されカンタータとして演奏されているのを聴いたことでした。

その編曲に刺激を受けたハイドンは、楽譜を受け取ると詩人ラムラーによって書かれた歌詞を友人のスヴィーテン男爵に手直ししてもらい、それをもとに自身で新たに編曲し直し、さらにヘンデルの影響もあって、曲中に「序曲」を追加して演奏効果を高める工夫もおこなっています。全曲は7つの言葉に対応する7つのソナタ楽章と、キリスト昇天時の天変地異を描いた急速で迫力のある「地震」の楽章から成っており、終曲の「地震」以外はゆったりとした楽章が続く、1時間を越える大曲となっているのが特徴です。

【収録情報】
ハイドン:『十字架上のキリストの最後の7つの言葉』Hob.XX-2
1.イントロダクション
2.ソナタ第1番「父よ、彼らをお赦し下さい」
3.ソナタ第2番「あなたは今日わたしと一緒に楽園にいる」
4.ソナタ第3番「婦人よ御覧なさい。あなたの子です」
5.ソナタ第4番「わが神、なぜわたしをお見捨てになったのですか」
6.序曲
7.ソナタ第5番「渇く」
8.ソナタ第6番「成し遂げられた」
9.ソナタ第7番「父よ、わたしの霊を御手にゆだねます」
10.「地震」

【演奏者】
リサ・ミルン(ソプラノ)、ルクサンドラ・ドノーゼ(メゾ・ソプラノ)、アンドリュー・ケネディ(テノール)、クリストファー・マルトマン(バリトン)、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団&合唱団、ヴラディーミル・ユロフスキー(指揮)

録音時期:2009年11月28日
録音場所:ロンドン、ロイヤル・フェスティバル・ホール
録音方式:デジタル(ライヴ)


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