Balcony Days

もうしばらくは香港暮らし

R.I.P

2021-03-27 11:39:03 | 想うままに
仲の難しい兄弟だった

好んだおもちゃも 好きなお料理も 趣味も 生き方も

何もかもがぜんぜん違ってて悲しいくらい合わない

5分と近くにいたら殴り合うかと思うくらいの雰囲気

「だいじょぶよ お兄ちゃんには勝てないから手は出さないしお兄ちゃんからはふっかけないから うふふ」

って義母たちは笑ってた

女の人にモテて お料理が上手で 楽しむことが大好きで お酒に強くて

昼間はカフェにいて 夜はバーにいる そんなイメージ 生活感ゼロ

優しくて 飄々として誰にも捕まらないみたいな人

若い頃はオートバイ乗りで雑誌の表紙にも載って

関係業界からスカウトが来たけど大事な跡取りを義母が離さなかったそう 

サーフィンとゴルフとサッカー どれも素人の域を超えて楽しみ

二科展の常連で

義母が亡くなったとき その年のクリスマスのために義母が買ってきた造花のポインセチアの束を鷲掴みにして

「これだけでいい」 

と ぷいっと出て行ってしまった

あの日のあの背中を思い出している

ワタシにただの一度も嫌な顔を見せず意地悪なことも言わず

たくさんいた女友達みたいに気さくに接してくれて

「メシくった?」 が挨拶代わり

まだって言ったらもちろん美味しいものが出てくる

いつもどおりに床についてもう起きて来なかった

義母とおなじさよならでした

高齢の実母と過去にバイパス手術を受けている実兄とは

帰国のたびにこれが最後かもと別れて来たし

今は双方の国に規制があるので何があっても帰れない

その覚悟はしていたけれど義兄のことは想定外だった


悲しくてしょうがないや