例えば丹田が骨盤の中に存在すると認識しているならば、
骨盤の中の空間という「場」が丹田であり、
丹田は骨盤の「無用の用」ということになります。
また、骨盤は両脚によって支えられているため、
丹田は、ワイングラスのように脚に支えられた器の中の空間(無用の用)に存在する「場」ということになります。
つまり、この場合の丹田は下半身全体における「無用の用」です。
そして、丹田は身体全体における重心の役割をはたしているとされています。
この場合の丹田は重心としての「場」であり、
上半身、下半身あわせた身体全体における「無用の用」とし存在していることになります。
また、深呼吸の際、丹田に空気を出し入れする感覚を意識するならば、
丹田は、呼吸の「場」として「無用の用」を担います。
このように、同じ丹田という「場」であっても、
「場」の性質は状況に応じて変化し、
「無用の用」を生み出す「器」の構成も変化する特徴があります。
そして、「場」の性質と「場」を構成する要素について考察し、役立てるのが
「無用の用の医学」つまり「道の医学」の考え方です。